現場の裏話コラム|vol.29|キズナ産駒の衝撃:新馬戦で繰り広げられたクラシック候補の熾烈な戦い

現場の裏話コラム|vol.29|キズナ産駒の衝撃:新馬戦で繰り広げられたクラシック候補の熾烈な戦い

ダービーが終わり、先週からは新馬戦がスタートした。毎年、開幕週には素質馬がそろい、早くも「クラシック候補」といわれる逸材が激突したりもする。先週の新馬戦で注目を集めたのは土曜の京都。キズナ産駒の2頭が人気を集めた。キズナといえば、いまや「ポスト・ディープインパクト」の最有力候補とまでいわれている種牡馬。現3歳世代では、皐月賞を制したジャスティンミラノを筆頭に、スプリングSを無敗で制したシックスペンス、京都新聞杯覇者のジューンテイク、若駒S覇者のサンライズジパング、青葉賞2着のショウナンラプンタがダービーに出走。5頭出しを敢行し、存在感をアピールしている。
 そんなキズナ産駒の期待馬が激突。結果はダノンフェアレディが、ショウナンザナドゥを振り切り、2強対決を制した。この一戦にはオーナー同士の因縁も込められていたという。栗東の厩舎関係者は語る。「有名オーナーの馬がいきなり対決。しかも両オーナーとも、億単位の馬を買うようなタイプにも関わらず、これまで牡牝のクラシックには縁がなかった。ダノンは牡牝ともにクラシックVがなく、ショウナンも2014年のショウナンパンドラ(秋華賞のみ)。最近はダノンがかなり好調だったが、クラシックには手が届いていなかった。高額馬を買ったリターンとしては、両オーナーとも物足りない成績とも思える。それが今年のダービーでダノンデサイルが伏兵でV。ダノンのオーナーは大喜びだったが、一方でショウナンラプンタを送り込んだショウナンの国本オーナーはがっくりしていたそうだ。お互い、ライバル心もあるようだからね。国本オーナーは『2歳世代は俺の馬に活躍してもらう』と気合いが入っていたようなんだけどね」
 その矢先、いきなり出鼻をライバルのダノンにくじかれたのだから、心中穏やかではないだろう。栗東トラックマンは語る。「ショウナンザナドゥは今年のノーザンファームで最も期待できる牝馬、ともいわれていたほど。セレクトセールで1億8500円でしたからね。国本オーナーもそれを信じていたようです。騎乗した池添騎手はショウナンパンドラで主戦を務めていたジョッキー。こちらもベテランに差し掛かり、騎乗馬が集まりにくくなっている中で、『ノーザンナンバー1』と評判の馬を乗せてもらえた。かなり気合いを入れての騎乗でした。『今後の賞金面を考えると、ここで勝てば楽だった。勝てなかったことは本当に悔しい』と新馬戦とは思えないほどの悔しさを見せていましたね」。
 ダノンのいい流れを止められなかったショウナン軍団。とはいえ、3着は7馬身も離しており、能力は証明したともいえる。ここから巻き返しがあるのか。オーナー同士の意地にも今年の2歳世代は注目していきたい。



栗東トレセン情報部:田所