現場の裏話コラム|vol.13|ダート界の激動!最優秀ダート馬争いが新たなる章へ
有馬記念、ホープフルSが終わって、2023年度のJRAの競馬が終了。
そう思っていたら、ひと息つく間もなく1月の正月開催が終わって2開催目に突入。
2月となればフェブラリーSであり、つまり新年のGⅠが、もうスタートするわけだ。
フェブラリーSの季節がくると、数年来くすぶり続けていることが話題に上がる。
それは「スタート直後に芝を走るコースで、ダートレースのチャンピオンを決めることに意義はあるのか」というものだ。
確かに一理ある。
なぜスタート直後に芝コースを横切らなくてはならないのか。この答えは簡単で、他の競馬場に根幹距離の1600m戦がないことに起因する(ダートコースに設けることができない)からだ。この問題を解決するのは厄介だろう。
ところが、今回はまったく別の意味で、フェブラリーSの存在意義が問われることになった。きっかけはJRA賞の最優秀ダート馬の選考レースだ。
フェブラリーSとチャンピオンズCのJRAダートGIを完全制覇したレモンポップと、ダートで行われるドバイワールドCを日本馬として初制覇、また東京大賞典連覇という快挙を達成したウシュバテソーロとで、票が割れたのだ。
票が割れること自体は、ある程度、想定されたことだった。あくまで国内(JRA)での内容にこだわるのか、地方、海外を含めた戦績を評価するのか。投票者の考えがわかりやすく反映するため、議論が活発になるのは当然でもあった。
結果は大方の予想通りに、国内重視組(レモンポップ)が40票の差をつけて、地方海外重視組(ウシュバテソーロ)を抑えた。一騎打ちには違いなかったが、総票数295のうちの40票差は、大差とまではいかないが、決して僅差でもないだろう。国内GⅠ3勝のエフフォーリアと、海外でGⅠを3勝したラヴズオンリーユーが年度代表馬を争った一昨年にも感じたが、いつまで経っても、記者達の意識は変わらないようだ。
それはそれとして、この2頭が今季も別路線になった場合、決着の付けところがない、ということになる。馬券的な妙味もあるが、強い馬と強い馬の対決は注目の的だし、こうした因縁が2頭の間にあれば尚更だ。
それがどうやら現実のものになりそうである。レモンポップもウシュバテソーロも現役続行を決定し、今季緒戦を2頭揃ってサウジカップと表明した。〝最強ダート馬決定戦〟が見られることになったわけだ。そのうえ1着賞金が日本円で15億近いとあって、世界中から最強クラスがエントリー。ブリーダーズCクラシックの勝ち馬ホワイトアバリオがその筆頭だが、2着馬である日本馬デルマソトガケも遠征予定。
このレースが海外で争われるのだ。
それでもやはり本年末の最優秀ダート馬の選考にて、フェブラリーSとチャンピオンズC組を支持することになるのだろうか。その確認のためにも、日本馬に頑張ってほしい。これは捻くれた無理筋な願望になるのだろうか?
美浦トレセン情報部:吉本