【アイビスサマーダッシュ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評
■1枠1番 リプレーザ【評価C】
大根田厩舎[西] 幸騎手
[1週前] 助手 [7月13日(土)追い]
【栗東CW】 稍 59秒9-43秒0-14秒2 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒9-38秒2-24秒3-12秒2 末強め
坂路で単走。内側に体を向けながら登坂するのがこの馬の形か。最初から最後までペースは一定。苦しそうな感じも見せず、淡々とゴールまで上がった。
■1枠2番 ショウナンマッハ【評価B】
茶木厩舎[西] 石橋騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 52秒3-37秒6-24秒2-12秒1 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒4-37秒0-23秒6-11秒7 一杯
坂路で単走。パワフルな脚さばきで迫力はあるが、やや気持ちが散漫なのが残念。左右にブレようとしている。ラストはいっぱいに追われ、大きい完歩で11秒7。ちなみに坂路ラスト2F23秒6(一杯)は自己ベストで最後は見せ場があった。
■2枠3番 ロードベイリーフ【評価C】
森田厩舎[西] 和田竜騎手
[1週前] 助手 [7月10日(水)追い]
【栗東CW】 良 84秒3-68秒6-54秒4-39秒4-12秒2 馬なり
[今週] 和田竜騎手
【栗東坂路】 良 51秒9-37秒6-24秒8-12秒5 末強め
坂路で単走。今回は最終追いが中間唯一の速い時計。フォームは迫力があってなかなかいいが、進路が左右にブレて、ややフラフラした点が気になった。最終追いの時計だけ見れば今年が優勢だが、調整内容が昨年と異なっている点は気がかり。
■2枠4番 ジャスパークローネ【評価A】
森秀厩舎[西] 団野騎手
[1週前] 助手 [7月19日(金)追い]
【栗東坂路】 良 52秒1-37秒9-24秒6-12秒1 馬なり
[今週] 団野騎手 [7月25日(木)追い]
【栗東坂路】 重 55秒7-40秒4-26秒8-12秒8 馬なり
前走に関しては満場一致で参考外と言わざるを得ない。何せ、同馬は逃げという戦法でしか結果を出したことがない。
それが出遅れて後方から枠なりに外々を回った前走のレース振りのどこに意味があったと言えよう。まず、あれが力を発揮しての結果でないことは明らか。あの着順を気にする必要など一切あるまい。当たり前だが、問題はまともに走った時にどうかだけ。
木曜の坂路を単走でサッと駆け上がった。時計は地味でもまだまだ余力があったし、脚の出もスムーズ。前走よりは走れそうな感じだ。
前走の中間というのは海外帰りで必ずしも順調という過程ではなかった。その辺りが微妙に同馬の当日の気分に影響し出遅れたというのもなくはないのでは。その点、今回は一叩きされて目に見えて活気に満ちているとくれば、もはや恐さしかなし。ここは一変を警戒すべき。
■3枠5番 マウンテンムスメ【評価B】
天間厩舎[東] 藤田菜騎手
[1週前] 助手
【美浦南W】 重 66秒8-51秒4-37秒1-11秒2 強め
[今週] 助手
【美浦南W】 良 69秒7-54秒2-39秒2-11秒0 直強め
1週前は5Fから速いところを乗ったが、追って重心が沈み、ラストも切れのある伸び脚。5F66秒8ー3F37秒1ー1F11秒2。今週はしまい重点に追われ、1F11秒0は自己ベスト。回転ピッチが速く、ゴーサインにもしっかりと反応できている。丸みのある馬体に覇気も旺盛。うまく仕上がった。
■3枠6番 クムシラコ【評価C】
石毛厩舎[東] 内田騎手
[1週前] 助手 [7月18日(木)追い]
【美浦坂路】 重 57秒4-42秒0-27秒7-13秒5 馬なり
[今週] 嶋田騎手
【美浦南W】 良 81秒8-66秒4-51秒8-37秒9-11秒8 G前仕掛け
嶋田を背に併せ馬。外から抜き去った割には派手さはなく、フットワークの切れ、迫力ともにひと息。前肢の硬さもあって、出来は平行線。
■4枠7番 ハギノメーテル【評価B】
寺島厩舎[西] 藤懸騎手
[1週前] 小崎騎手 [7月10日(水)追い]
【栗東芝】 稍 83秒7-66秒4-51秒3-37秒5-11秒9 馬なり
[今週] 助手
【栗東CW】 良 85秒6-69秒0-53秒8-38秒0-11秒6 馬なり
Cウッドコースで格下相手に先行→同入。まだ余力はあったが、あまり見映えのしない内容であったことは確かで、トモが甘くてワンパンチ不足のところはあるけど、デキの良さは目につく1頭。ただ大敗続きでもあり、あまり過度な期待は酷か?
■4枠8番 マイヨアポア【評価A】
和田郎厩舎[東] 石川騎手
[1週前] 石神道騎手
【美浦南W】 重 65秒5-51秒7-37秒7-12秒0 馬なり
[今週] 石神道騎手
【美浦南W】 良 70秒9-53秒9-38秒6-11秒6 馬なり
1週前の併せ馬では5Fから軽快に飛ばしながらも、直線は僚馬に合わせる余裕の伸び脚。5F65秒5ー3F37秒7ー1F12秒0。5F65秒5は自己ベスト。今週はしまい重点に馬場の内側を通ったとはいえ、余力たっぷりに1F11秒6と切れに切れた。どっしりと構えた雰囲気も良く、仕上げに満足。
■5枠9番 グレイトゲイナー【評価C】
森秀厩舎[西] 笹川翼騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 52秒0-38秒4-24秒8-12秒2 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒0-37秒8-24秒8-12秒1 一杯
坂路で単走。首が横に曲がって、あまりいい印象を受けない。残り1Fでは真っすぐに前を向いたから、この馬なりのメリハリのつけ方なのかもしれない。あまりスピード感はないが、それでもラスト12秒1なのはさすが。前走が馬なりオンリーの仕上げだったことを思えばしっかりと負荷はかけてきている。
■5枠10番 ファイアダンサー【評価B】
鈴木慎厩舎[東] 戸崎騎手
[1週前] 助手 [7月18日(木)追い]
【美浦南W】 重 66秒7-51秒7-36秒9-11秒5 一杯
[今週] 戸崎騎手
【美浦南W】 良 67秒9-52秒8-38秒5-12秒1 馬なり
戸崎が騎乗して感触を確かめたが、数字以上のスピード感。直線向いてもリズムを保ったまま、軽やかに伸びきった。5F67秒9ー3F38秒5ー1F12秒1。入念な乗り込みで体もきっちりと仕上がっており、この馬なりに態勢は整った。
■6枠11番 アビッグチア【評価C】
水野厩舎[東] 丸山騎手
[1週前] 助手 [7月10日(水)追い]
【美浦南W】 良 64秒9-50秒6-37秒0-11秒9 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 67秒8-52秒7-38秒2-12秒3 馬なり
メンコ、チークピーシーズを着用しての追い切り。気難しさこそ出していないが、前向きさを欠いてフットワークも至って平凡。5F67秒8ー3F38秒2ー1F12秒3。中1週は自身初で、前走からの変わり身もさほど見込めない。
■6枠12番 ウイングレイテスト【評価A】
畠山厩舎[東] 松岡騎手
[1週前] 松岡騎手 [7月18日(木)追い]
【美浦南W】 重 63秒2-49秒1-35秒6-11秒3 直強め
[今週] 松岡騎手
【美浦南W】 良 68秒6-52秒9-37秒9-11秒0 馬なり
美浦に戻ってからも順調に時計を重ねており、1週前は併せ馬でビシッと追われ6F80秒4ー5F63秒2ー3F35秒6ー1F11秒3の好時計。併せた相手にキッチリと先着を果たした。この1本で出来が上向き、今週はしまい重点の内容だったが、直線は弾むようなフットワークから、持ったまま鋭伸。1F11秒0を楽に叩きだした。パンパンに膨らんだ馬体からも、出来には太鼓判を押せる。
そもそも晩成だったということなのだろうが、それにしても年齢を重ねつつ、ここまで内在する純粋なスピードが解りやすく向上した馬というのは、中々記憶にない。それこそ、5歳までは芝のマイルを1分33秒前後まででしか駆けられず四苦八苦していたのだ。それが6歳になると芝のマイルは1分32を楽に切れるようになり、距離短縮にまでもアッサリと対応できるように。挙句に、とうとう前走ではスプリント戦ですら楽に勝負になってしまったのだから驚く。この辺りは時計のかかる荒れ馬場専門だったはずが、晩年は高速決着のG1でも勝ち負けできていた父スクリーンヒーロー譲りということか。何はともあれ、ここ2年の同馬のレース内容ならば、初の直線1000メートルでもスピード負けすることはあるまい。ただし、圧倒できるかとなると疑問もなくはない。何せ、斤量など軽いに越したことがない直線競馬で今回の同馬は59キロという酷量を背負わされるのだ。さすがに、この斤量だと圧倒できるぐらいの速度差がないと厳しいと言わざるを得ない。ベテランらしくデキに大きな変動はなく、前走同様に好調域は保てているものの、全幅の信頼を置くまでには至らないか。
■7枠13番 チェイスザドリーム【評価B】
矢作厩舎[西] 坂井騎手
[1週前] 坂井騎手
【栗東坂路】 稍 49秒1-36秒5-24秒6-12秒8 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒7-38秒3-25秒1-12秒5 馬なり
初芝も何のその、一切速さ負けすることなく番手から堂々と押し切ってみせた前走。あの辺りはダートとはいえ、1200メートル以下の超短距離戦で負け知らずなだけはあるということか。おそらくスピードで振り切る一戦でこそ、同馬は本領発揮できるのだろう。ただし、これは逆に言うならば、変にギアをイジる必要が出てくると持ち味が半減すると言うことでもある。正直なところ、前走というのは恵まれた面も多分にあった。
直線競馬では有利でしかない外枠、更にはアッサリと隊列が決まったことで終わってみれば前で決まるレースを2番手から進めることもできた。要は労せず理想の形に収まれてしまっていたのである。しかし、もし途中で他馬に絡まれていたら…。もしくは内枠だったら…。少なからず前後、もしくは左右への操縦が強いられたとするならば、あそこまでの強さを発揮できたかどうか大いに疑問と言わざるを得ない。前走時に比べれば、今回の方が明らかにテンに速い馬が集まっているからこそ、この些細な不安点は膨らむばかり。追い切りは坂路で単走。夏場だけに柔らかみがあって踏み込みも深く体調そのものは決して悪くない。ド迫力の脚さばき、ということはないが、まとまりのある安定したフォームで丹念にピッチを刻んだ印象。この馬の特徴をうまく出しており、これはこれで評価できる追い切りだが、聞けば「中間に49秒台が出て瑠星がちょっとやり過ぎて疲れた感じがあったから、今週は抑えて何とか53秒台。調整はそこまでいい過程じゃないけど、この条件は魅力」との話し。スピードを活かせる外枠を引けたのもいい。前走を再現できる可能性がどこまであるか、半信半疑な面もあるが高適性には注目。
■7枠14番 デュアリスト【評価A】
福永厩舎[西] 小沢騎手
[1週前] 小沢騎手
【栗東坂路】 稍 51秒4-36秒7-24秒1-12秒2 末強め
[今週] 小沢騎手
【栗東坂路】 良 54秒0-37秒1-24秒3-12秒4 馬なり
坂路で単走。道中から覇気は十分。全身をしならせ、四肢をめいっぱい使っての登坂。最後、バテそうになりながら、手前を替えて踏ん張ったあたりにも好感が持てた。そもそも福永調教師はジョッキー時代から「千直はダートの短距離馬」という信念を持っている。だからこのレースを狙って仕上げてきたのだろう。ただ、鞍上の選択に関しては疑問符が。勝てると踏んでの挑戦であれば、別の選択肢もあったと思うだけにその点は気がかり。ただ枠も悪くなく、上位に食い込んで来ても驚けない。
■7枠15番 モズメイメイ【評価A】
音無厩舎[西] 国分恭騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 52秒2-37秒7-24秒3-12秒1 馬なり
[今週] 国分恭騎手
【栗東坂路】 良 52秒8-37秒6-24秒2-12秒1 馬なり
坂路で単走。非常に活気にあふれ、四肢がよく動いて、ピッチ数を稼いでいる。最後はバテそうになったが、そこからひと踏ん張りできた。
振り返れば、前走の3着から解ったことの意味は大きいのではないだろうか。ここ最近は無理に抑え込もうとしてリズムを崩し競馬にならず大敗を繰り返してきていた。しかし、今までの好結果を振り返れば、どうなった時が同馬が力を発揮するかなど一目瞭然。
4勝中3勝が逃げ切り勝ち。そう、あくまで自分のリズムで走れた時に限られているのだ。そこで問題となるのが前走である。一見すると中団からの差す競馬に開眼したかのように見えなくもない。だが、事実は違う。前走は前半3F32秒3の激流も激流だった一戦。そう、結果として中団にいただけで同馬的には久しぶりに自分の気分を害さないスピードで道中を過ごせていたのだ。だからこそ久方振りにラストで脚を使えたとみる。結局は基礎スピードが高過ぎるが故に折り合いが難しいタイプということ。逆に言えば、同馬は速さが求められれば求めらるほど噛み合う可能性が高まるのである。
この中間も前脚を投げ出す独特のフォームは健在で力強さも文句なし。条件は推定ベスト。要警戒。
■8枠16番 ディヴィナシオン【評価B】
森秀厩舎[西] 松山騎手
[1週前] 助手 [7月18日(木)追い]
【栗東坂路】 良 51秒8-37秒6-24秒8-12秒5 馬なり
[今週] 松山騎手 [7月25日(木)]
【栗東坂路】 重 55秒3-39秒9-25秒4-12秒3 馬なり
坂路を馬なり単走で。馬場の渋化した木曜だけに時計は気にしなくていいし、実際にまだ余力も十分感じられた。馬体の張りも良く、この馬なりに順調に調整できている。
■8枠17番 テイエムスパーダ【評価A】
木原厩舎[西] 酒井騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 57秒3-41秒4-26秒3-12秒7 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒3-38秒1-24秒0-11秒8 一杯
坂路で単走。非常に躍動感があり、跳ねるようなフォーム。多少、夢中になっている感じもあり、もう少し冷静に運べれば、よりよい追い切りになるのでは。
そもそも2戦続けての殿負け。普通に考えれば、ノータイムで消してしまうところだろう。ただし、あえて今回は買い目に加えておくことをお薦めしたい。なぜなら、ここ2戦というのは、同馬の持ち味が全く生かせていないのだ。では、この馬の持ち味とは何か。それは知れたこと、芝1200メートルでの驚異の持ち時計が示す通り、類稀な基礎スピードの高さにこそある。勘違いしてはいけない。仮に48キロと斤量に恵まれたからといって、どんな馬でも芝の1200メートルを1分5秒台などでまとめられるわけではないのだ。そんなことが可能なのは、単純に内在している基礎スピード値が飛び抜けていない限り不可能なのである。では、そんな馬が近2走で何故ボロボロとなったのか。それも知れたこと。2走前はドロドロの馬場で武器が削がれ、前走に限っては、自身より速い怪物レベルを追いかけてしまったがためのオーバーペース。それでしかない。その点、今回は開幕週の直線競馬と求められるのは、それこそ同馬の持ち味オンリー。加えて、恐ろしい怪物もいないとくれば穴党ならば食指が動いて当然のタイミングでは。しかも、一叩きされて解りやすく登坂振りにも躍動が増しているとくれば狙う価値は大ありでは。
■8枠18番 メディーヴァル【評価S】
寺島厩舎[西] 小崎騎手
[1週前] 助手 [7月18日(木)追い]
【栗東CW】 良 72秒6-56秒4-40秒0-12秒3 馬なり
[今週] 小崎騎手
【栗東CW】 良 81秒5-66秒1-52秒1-37秒4-11秒6 馬なり
CWコースで併せ馬。道中からパートナーを十分に意識。直線を向いてもパートナーの方に意識が向いている。闘争心を高めるという意味では悪いことではない。相手が迫ったところで手前を替え、頭差だけリードを保ったままゴール。豊かな勝負根性を感じさせた追い切りだった。北九州記念は見せ場がなかったけど、稽古の動きはいいし、デキ自体は上向き。好枠を引いて一発の期待値が高まる。