【桜花賞】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【桜花賞】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 ワイドラトゥール【評価C】
 藤原厩舎[西] 北村友騎手

[1週前] 北村友騎手 [3月28日(木)追い]
【栗東坂路】 稍 54秒4-39秒0-24秒8-12秒1 馬なり
[今週] 北村友騎手
【栗東CW】 良 54秒6-38秒1-11秒7 馬なり

CWコースで単走。直線を向いても手前を替えるまでにかなり時間がかかり、フォームもやや丸まっている感じ。もう少し伸びやかに動いてほしかった。可動域が小さそうだ。

■1枠2番 クイーンズウォーク【評価B】
 中内田厩舎[西] 川田騎手

[1週前] 調教師 [3月28日(木)追い]
【栗東CW】 稍 84秒5-68秒5-53秒0-37秒4-11秒5 直強め
[今週] 川田騎手
【栗東CW】 良 84秒1-68秒7-53秒2-37秒5-11秒2 馬なり

 CWコースで併せ馬。直線を向いて、パートナーがリードを保っても慌てず騒がず。必死に追われる相手とは対照的に、余裕十分に迫ってみせた。ゴール線では遅れたようだが全く気にしなくていい。
この評価をした上で1点補足。
今回の追い切りは明らかにオークスに向けてのおつりを残していることは確実なので、この馬自身さらに上があるという意味で【B評価】にとどめたが、ポテンシャル自体は「ここで即通用してもおかしくない馬」であることは申し上げておく。
実際に、クイーンC終了後には「しっかり結果を出しただけじゃなくて、鞍上も『あの走りができれば桜花賞でもやれそう』ってことだったみたいで、色々収穫があったんですよ。少しでも体調に不安があればぶっつけでオークス狙いだったみたいだけど、仕上げていく過程もどこも問題ないどころか、鞍上の評価がだいぶ良くなってるんですよね。あくまでオークスが本線っていう位置づけは変わってないけど、今の感じなら意外に桜花賞でもやれてしまいそうすよ!」と陣営が語っていることも忘れてはならない。
ある程度気楽な立場挑む川田騎手となるだけに、切るまでは考えるべきではないと見立てている。

■2枠3番 イフェイオン【評価C】
 杉山佳厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 助手 [3月28日(木)追い]
【栗東CW】 稍 83秒9-67秒0-51秒6-36秒7-11秒4 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 55秒1-39秒8-25秒5-12秒5 末強め

坂路で併せ馬。相手に迫ろうとしたときに徐々に離れてしまった点はマイナス。改めて馬体を寄せ、先着はしたが、首が上がって多少なりとも気持ちの不安を示していた。ただし、1週前栗東CW1F11秒4は自己ベストであり、前走の走破時計は平凡も未勝利勝ちの時計は優秀。他馬を気にするところが随所に出るが、この枠から「逃げ」のようなケースがあり得れば一発のポテンシャルはある。GIでそうは上手くは行かぬケースの方が多いが、そういうキャラクターの馬であるということは、覚えておいてほしい。

■2枠4番 キャットファイト【評価B】
 上原博厩舎[東] 松山騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 66秒8-51秒5-36秒6-11秒4 G前仕掛け
[今週] 助手
【美浦坂路】 良 55秒2-40秒4-25秒0-12秒2 馬なり

1週前はコースで3頭併せ。ビシッと追って1F11秒4。今週は輸送を考慮して坂路で単走。回転ピッチが速く、ゴールに向かって一直線の伸び脚。数字以上に切れており、好調をガチッとキープ。あとは力関係の差。

■3枠5番 シカゴスティング【評価B】
 庄野厩舎[西] 浜中騎手

[1週前] 浜中騎手 [3月28日(木)追い]
【栗東坂路】 稍 52秒9-38秒1-24秒3-11秒9 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒6-38秒7-24秒9-12秒3 馬なり

目立つほどの動きではないかもしれないが、坂路4ハロン52秒6なら時計は十分に及第点。落ち着いて走れているし、この馬なりには状態は良さそう。

■3枠6番 ハワイアンティアレ【評価B】
 松永幹厩舎[西] 池添騎手

[1週前] 池添騎手
【栗東坂路】 不 52秒8-38秒3-24秒8-12秒3 強め
[今週] 池添騎手
【栗東CW】 良 81秒7-65秒9-51秒3-36秒9-11秒7 馬なり

Wコースで併せ馬。道中は首が高く、やや重心が上にあるが、四肢の回転はなかなか。あっという間にパートナーに追いつき、抜き去ったあたり、状態の良さが目立った。「追い切りに乗った池添ジョッキーは『何気にいいっすよ。小さい馬だけど、バネがあっていい』と褒めていた」ことはお伝えしておく。さすがに勝ち負けできるポテンシャルがあるとは言えないが、5着くらいはあっても驚けない。器用とまでは言わないけど、小さい馬だから上手く立ち回れれば。

■4枠7番 スウィープフィート【評価S】
 庄野厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 不 54秒3-39秒2-24秒9-12秒1 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒7-38秒1-24秒3-12秒0 馬なり

坂路で単走。一見して分かる、はずむような脚さばき。それでいて前脚がチップを叩くパワーは非常に強く、伸びやかに動いている点もいい。もう少し首の動きと連動してリズムが出てくるとベストだが、迫力を感じさせる動きにはホレボレする。最後まで前脚はしっかりと回転し、バテることはなかった。

■4枠8番 コラソンビート【評価S】
 加藤士厩舎[東] 横山武騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 不 79秒8-65秒9-52秒5-37秒5-11秒7 馬なり
[今週] 助手
【栗東CW】 良 79秒2-63秒9-50秒6-36秒7-11秒6 馬なり

栗東に入ってCウッドで最終調整。持ったままの手応えで6ハロン79秒2は強烈だし、これでラストまで脚色もしっかりしていた。毛ヅヤも冴えて見た目にも体調の良さが伝わる。同馬が大成するとしたらスプリンターの可能性大。それだけは、ここで公言しておきたいと思う。ただし、2走前の阪神JFにてマイルを1分32秒台で駆けれたことも事実である。正直、ラストの止まり方を見るとギリギリの感は否めない。とはいえ、それでもG1レベルの時計で回ってこれることは証明したのだから、ここで無視をするのも得策ではなかろう。あの程度なら、仕掛けのタイミングに他馬の動向一つで逆転も十分。つまり、ここもノーチャンスではないということ。坂路でサラッとした内容ばかりだった前走時と違って、この中間はコースで意欲的に攻めてきた点にも好感しかなし。小柄ながら意外と上積み大で侮れず。

■5枠9番 アスコリピチェーノ【評価A】
 黒岩厩舎[東] 北村宏騎手

[1週前] 北村宏騎手
【栗東CW】 不 82秒2-67秒3-52秒9-37秒8-11秒2 稍一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 良 80秒6-65秒8-51秒5-36秒8-11秒6 馬なり

前走時も外厩先から直接の栗東入りだったが、この中間の過程も全く同様。もはや、関東に所属する身でありながらも、ほとんど関西馬のような競争生活を送っている同馬だが、これも栗東に滞在するメリットが大きければこそだろう。考えてみれば、当然のことである。昔ほどではないとはいえ、デリケートな若き牝馬が関東から阪神へ長距離輸送を経た上でG1で勝ち負けレベルの状態を保つとなると簡単ではないのだ。仮に何とか輸送をクリアしたとしても、当日は異様なG1の空気が待っている。果たして、この時期の牝馬に、そこまでのタフさを求めるべきであろうか。先を思えば思うほど、答えはノーでしかあるまい。ある意味で選択肢が増えた今だからこそ、輸送の負担を限りなく0できる関東馬による栗東留学というのが当たり前になりつつあるということか。そして、これに加えて栗東留学には、もう一つメリットがある。それは美浦よりも優秀な栗東の坂路が使用できること。詳細は省くが、同じ坂路でも栗東のモノの方が無理なく鍛えられてしまうのである。それを利用し、この中間も乗り込みは順調。よりメリハリも効くようになり大人びてもきたとなれば、ここも有力。連勝も十分。

■5枠10番 セキトバイースト【評価C】
 四位厩舎[西] 藤岡佑騎手

[1週前] 藤岡佑騎手
【栗東CW】 不 97秒0-80秒4-66秒1-52秒0-37秒4-11秒7 末一杯
[今週] 藤岡佑騎手
【栗東CW】 良 52秒6-37秒6-11秒2 馬なり

CWコースで単走。道中は全く軽いペース。直線を向いてエンジンに火が付いた。軽快にかき込む感じのフォームで、パワーは感じないが、いい意味での軽さがある。

■6枠11番 ライトバック【評価A】
 茶木厩舎[西] 坂井騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 不 80秒6-66秒6-52秒3-36秒8-11秒7 一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 良 84秒4-69秒4-54秒3-38秒7-11秒9 馬なり

CWコースで3頭併せ。最後方から追走し、いったんは前2頭の背後につけて我慢。2頭が左右に分かれると、その間を突くという実戦さながらの稽古だ。空いてすぐにトップスピードに入ったあたりがセンスの良さ。そして突き抜けた。抜け出してから手前を替えるあたり、精神面の余裕もある。

■6枠12番 ステレンボッシュ【評価A】
 国枝厩舎[東] J・モレイラ騎手

[1週前] 国分優騎手
【栗東CW】 不 98秒9-82秒2-68秒0-53秒6-38秒5-12秒1 馬なり
[今週] 助手
【栗東CW】 良 82秒7-67秒5-52秒0-37秒1-11秒7 馬なり

約4ヶ月振りの実戦となるが、外厩でキッチリと基礎構築が行われ、その上で3週前から早々と栗東入りして調整されてきているとくれば、何を心配することもあるまい。しかも、その研ぎ澄ます作業を担うのは栗東留学のノウハウを知り尽くしていると言っても過言ではない関東の誇る名門、国枝厩舎とくれば何を疑う必要もなかろう。Cウッドで併せ馬を行い同入フィニッシュだった。コラソンビートのようなスピード感はないものの、もう少し長いところで良さが出そうな走り。仕上がり自体は上々だ。
ただし、気になる点も存在する。それは、この中間の同馬のテンションの高さ。もちろん、癇の強かった父エピファネイアの血を濃く受け継いでいるだけに、そもそもがうるさい傾向のあった馬ではある。とはいえ、経験を積みつつ前走の段階だと、かなり冷静な姿が見て取れていただけに、いささか今回に限っては危さを感じなくもないのだ。これが、久々の実戦で走りたい気持ちが強過ぎるだけというレベルのままであれば問題ない。だが、もし、ここから拗れてパニックレベルまで到達するようなら…。追って追って加速を得るタイプであればこそ、集中して溜める作業をこなせるかどうかは重要。当日の気配のチェックをお忘れなく。

■7枠13番 テウメッサ【評価B】
 金成厩舎[東] 岩田望騎手

[1週前] 岩田望騎手
【栗東CW】 不 83秒9-67秒8-52秒5-37秒0-11秒3 馬なり
[今週] 岩田望騎手
【栗東CW】 良 86秒8-70秒5-54秒2-38秒3-11秒8 馬なり

栗東調整。Cウッドを単走でサッと軽快に駆け抜けた。毛ヅヤも冴えて思ったよりいい馬だったが、やはりG1でどうこうというオーラではないかも。

■7枠14番 ショウナンマヌエラ【評価B】
 高野厩舎[西] 岩田康騎手

[1週前] 岩田康騎手
【栗東坂路】 不 54秒1-39秒3-25秒7-12秒8 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 56秒7-40秒7-25秒9-12秒5 馬なり

しっかりとバネの利いた、弾むようなフットワーク。時計は平凡でもまだ余力があったし、先週までで馬はきちんとできている。順調だ。

■7枠15番 エトヴプレ【評価B】
 藤岡厩舎[西] 藤岡康騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 不 52秒9-38秒9-25秒3-12秒8 馬なり
[今週] 藤岡康騎手
【栗東CW】 良 82秒6-65秒7-51秒6-36秒6-11秒8 強め

CWコースで併せ馬。道中から四肢の動きに活気があって好感が持てた。パートナーが容赦なくスピードを上げたため、遅れを取ったが、食らいつこうとファイトを見せた点は買える。

■8枠16番 セシリエプラージュ【評価B】
 中村厩舎[西] M・デムーロ騎手

[1週前] 助手 [3月28日(木)追い]
【栗東坂路】 稍 53秒5-38秒3-24秒7-12秒5 馬なり
[今週] 田中健騎手
【栗東坂路】 良 51秒4-36秒9-24秒2-12秒1 馬なり

坂路で併せ馬。真っすぐ前を向き、真面目さは感じるが、時折、浮くような安定しないフォームが顔をのぞかせる点は気になる。これを弾んでいると取るか、浮いた感じと捉えるかは、人によって異なる可能性はあるが私は前者の捉え方。しかし、その様な見え方はしてしまうのだが、バテはしなかったことを考えれば、むしろ前走よりは体調自体は良くなっているということは申し上げておく。

■8枠17番 マスクオールウィン【評価B】
 牧厩舎[東] 津村騎手

[1週前] 津村騎手
【美浦南W】 稍 82秒1-66秒8-52秒4-37秒5-11秒6 馬なり
[今週] 津村騎手
【美浦南W】 良 85秒1-68秒9-53秒6-38秒5-11秒5 馬なり

1週前は長めから3頭併せ。ペースを上げても余裕があり、ラストは持ったままスパッと切れた。今週は単走で馬の気に任せたが、ダイナミックなフットワークから、ラストもグイッと伸びて1F11秒5。ひと追いごとに体も引き締まり、ここを目標にきっちりと仕上げた。

■8枠18番 チェルヴィニア【評価A】
 木村厩舎[東] B・ムルザバエフ騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 不 98秒2-81秒8-67秒2-52秒5-37秒6-11秒9 馬なり
[今週] 助手
【栗東CW】 良 85秒4-69秒1-53秒4-38秒2-11秒6 馬なり

もちろん休み明け感はあるのだが、それを含めても余りあるスケール感。栗東に入ってCウッドで調整されたが、迫力満点のフットワークで3頭併せの最先着を果たした。オーラを感じる。
同馬のキャラクターについて触れておくと、脚が長いこともあって、とにかくアクションの大きいタイプ。その結果として、小回りが効かない=不器用なところはあるが、それでも勢いさえついてしまえば、グングンと加速してくるのは、ここ2戦の圧勝振りからも明らか。
父がモーリスの半兄ノッキングポイントと基本的には似たキャラクターではあるのだが、同馬は父がハービンジャーの影響だろうが、前だけでなく後ろも不足なく発達しているのがセールスポイント。言うなれば前輪駆動の兄と四輪駆動の妹といったところか。まぁ簡単な話が身体能力に恵まれているということ。末脚の型こそ持続力系だが、それでも最後の最後にラップにして10秒台を刻めるほどのトップスピードの質も兼ね備えた馬。おそらく完成すれば、コンスタントにラストの上がり3Fで32秒台をマークしてくるのでは。とんだ怪物候補、それが同馬なのである。ただし、残念ながら現状は未完の大器でしかない。何せ、身体面に比べて精神面が未成熟なのだ。結局、まだ競馬を理解しきっていないということ。故に、この中間も我慢することを教えている段階でしかない。素材は確かだが、実戦で不測の事態が起きたら脆いかも。勝つなら圧勝、駄目ならサッパリといったところか。