【根岸S】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【根岸S】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


菅原でござざいます。
先週より故坂井千明に代わり追い切り全頭診断を担当させていただいておりますが、一頭一頭の診断を行い評価を下すにつけ、千明さんの功績の大きさを噛み締めております。先週はAJCCにて上位評価4頭で馬券圏内を独占でき、まずは「菅原も負けてないぞ」といったお声を数多く頂戴いたしましたが、まだまだ坂井千明の功績を超えるまで、切磋琢磨してまいりたいと思います。

今週は「根岸S」の追い切り全頭診断を公開します。
提供監修は塩崎利雄となりますが、この追い切り診断がどこまで核心に迫れているか、私自身も非常に楽しみな一戦。
皆様の予想の一助となれれば幸いです。

それでは各馬の診断をどうぞ。


■1枠1番 アイオライト【評価B】
 武藤厩舎[東] 団野騎手

[1週前] 助手 [1月18日(木)追い]
【美浦坂路】 良 53秒7-39秒1-25秒4-12秒5 強め
[今週] 助手
【美浦坂路】 稍 53秒8-39秒7-25秒7-12秒4 強め

首が硬く頭の高いフットワークだが、前進気勢があって脚さばきは実にパワフル。追っての反応も良く、ラストも力強く伸びきった。4F53秒8ー3F39秒7ー1F12秒4。体もパンパンに張った状態で、好調をガチッとキープ。

■1枠2番 ヘリオス【評価B】
 西園正厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 助手 [1月18日(木)追い]
【栗東CW】 良 96秒9-80秒0-66秒1-52秒0-37秒6-12秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 稍 99秒7-83秒1-68秒5-53秒6-38秒1-11秒6 G前一杯

CWコースで単走。道中は行きたがる様子もなく、手前を替えるタイミングもバッチリ。残り1Fからのスピード感はいいものがあった。完歩がもう少し大きくなればベスト。

■2枠3番 フルム【評価C】
 浜田厩舎[西] 水口騎手

[1週前] 水口騎手
【栗東坂路】 良 52秒3-38秒5-25秒0-12秒3 一杯
[今週] 水口騎手
【栗東坂路】 良 53秒5-38秒7-25秒2-12秒3 馬なり

坂路で単走。四肢の動きは一定でキビキビ。首をもう少し使えれば盤石だが、悪くないフォームだった。ラストもスピード感があった。

■2枠4番 ライラボンド【評価C】
 杉浦厩舎[東] 小林勝騎手

[1週前] 佐々木騎手 [1月11日(木)追い]
【小倉ダ】 稍 65秒6-52秒0-39秒1-12秒4 馬なり
[今週] 小林勝騎手 [1月25日(木)追い]
【美浦南W】 良 85秒3-69秒2-53秒3-39秒1-12秒5 馬なり

小林勝を背にウッド単走で6F85秒3ー3F39秒1ー1F12秒5。長めから追われたとはいえ、直線は一杯に追ってモタモタした伸び脚。迫力、鋭さともに感じられなかった。前走からの良化は薄い。

3枠5番 ベルダーイメル【評価B】
 本田厩舎[西] 柴田善騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 良 87秒9-72秒4-56秒2-40秒1-13秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒3-38秒9-24秒6-12秒3 一杯

後半の傷んだ坂路でこの時計は優秀であり、ビシッと意欲的な内容にも好感。完歩が大きく、体重以上に力強さを感じさせるのもいいだろう。ガラリというほどではないが、前走より上向き。1600mは長く、1200mでは忙しい。去年は7着止まりではあるが、現時点でこの条件はベストとも言える。

■3枠6番 シャマル【評価B】
 松下厩舎[西] 川須騎手

[1週前] 川須騎手
【栗東CW】 良 98秒5-81秒6-67秒2-53秒1-38秒1-12秒1 一杯
[今週] 川須騎手
【栗東坂路】 良 53秒7-39秒3-25秒5-12秒4 強め

坂路で単走。自分のフォームがしっかりと決まっており、ラストでスピードが上がっても基本的にはそのフォームが変わらない。最後までスムーズで、体力の減りも少ないように見えた。ただ大型馬の長期休養明け。当日の馬体重を含めた馬体チェックは欠かさないで欲しい。

■4枠7番 エンペラーワケア【評価S】
 杉山晴厩舎[西] 川田騎手

[1週前] 川田騎手
【栗東坂路】 良 49秒7-36秒1-23秒6-12秒1 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 55秒1-39秒6-25秒9-12秒8 馬なり

坂路で単走。四肢の軽快さが目を引く。状態がいいのだろう。完歩が大きく、リズムも一定。最後まで苦しい感じを見せず、ひょうひょうと上がった点も良かった。
とはいえ、常識的に考えれば不安だらけと言わざるを得ない。何せ、関東圏への長距離輸送が初めてなのはもちろんのこと、そのついでに東京コースの経験もないのである。挙句に唯一のダートでの取りこぼしが揉まれることを嫌っての積極策だったことを思うと直線の長い今回の舞台に嫌な予感しかしないのは私だけだろうか。そんな経緯から「今回は試走か?」と思って厳しい目で見たのだが、評価は上記の通り熱のこもったメニュー。そもそも同馬はあまり体質は強くない方の馬だが、それでもここまで負荷をかけ、1週前に大外を回って4F49秒台と今までになくハードなメニューを敢行。経験を積むといった試走的なイメージではなく、剛腕を配してきたことからも勝ち負けも意識してきている可能性は高い。

4枠8番 ピアシック【評価B】
 森秀厩舎[西] 落合玄騎手

[1週前] 浜中騎手 [1月11日(木)追い]
【栗東坂路】 良 52秒0-38秒1-24秒7-12秒2 一杯
[今週] 助手 [1月25日(木)追い]
【栗東坂路】 良 53秒4-38秒4-24秒7-12秒2 馬なり

木曜の坂路を単走で。持ったままの手応えでラスト12・2秒は優秀だし、これだけのハードローテでも馬体に硬さはほとんど感じない。良くも悪くも平行線といったイメージか。

5枠9番 エクロジャイト【評価B】
 安田隆厩舎[西] 横山武騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 57秒5-42秒2-27秒0-13秒0 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 56秒4-40秒3-25秒6-12秒3 末強め

坂路で単走。前脚が高く上がり、脚さばきには迫力があるが、やや夢中になりすぎている感じ。首も使っているが同時に力みも感じる。もう少し楽に上がってほしいのは事実。昔はゆったり走れていたけど、段々とピッチ走法に変わってきている。だからこその距離を短縮だろう。小脚が利くような感じで重賞でどうかだけど、今は広いコースの1400m~1600mは合うイメージだし、状態自体はいい。スタート次第か。

5枠10番 サンライズフレイム【評価B】
 石坂厩舎[西] 藤岡康騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 51秒1-37秒4-24秒6-12秒5 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 51秒0-37秒6-24秒9-12秒5 強め

ここで上位人気に推されるのも至極当然のことだとは思っているが、結論から言えば精神面に不安が残っているという追い切り。
坂路で単走。道中はややゆったり。ラスト1Fで追い出されると、必死に脚を伸ばした。ただ、首が斜めを向いたり、替えたくないところで手前を替えてしまうなど課題も残った。恵まれた馬格、それに見合うだけの超A級のモンスターエンジンも搭載とデビュー時から身体能力の高さは明らかに抜きん出ていたが、未だに右へ左へフラフラする面が目につくのはどうなのか。この中間も集中力を欠くのは相変わらず。能力確かであっさり勝っても驚かないが、追い切りからは精神面で過信は禁物という動きが散見された。

6枠11番 パライバトルマリン【評価A】
 林厩舎[東] 戸崎騎手

[1週前] 戸崎騎手
【美浦南W】 良 68秒0-52秒3-37秒3-11秒4 馬なり
[今週] 戸崎騎手
【美浦南W】 稍 70秒0-53秒9-38秒7-11秒7 馬なり

1週前は戸崎騎乗で併せ馬。古馬相手に抜け出して4馬身の先着。1F11秒4を叩きだした。今週も戸崎騎乗で併せ馬。無理せず馬の気に任せたが、相手を圧倒するシャープな伸び脚。1F11秒7も、手綱を緩めればいつでも突き放せる勢いだった。馬体も引き締まっており、出来は前走以上。同馬の能力レベルが今回のメンバーに入っても全く見劣らないことは4走前の内容だけで十分であろう。何せ、その4走前に最後の最後まで交わさせなかったブライアンセンスは好メンバーの揃った先週の東海Sで見せ場十分に4着に入線している。気になる初距離の1400メートルに関しても、そもそもがスピードの勝ったタイプ。今なら控える競馬も出来そうで軽視は禁物。

6枠12番 タガノビューティー【評価S】
 西園正厩舎[西] 石橋騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 良 82秒2-66秒6-52秒4-38秒1-12秒2 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒9-38秒3-24秒9-12秒7 叩き一杯

坂路で併せ馬。真っすぐ前を見て首をリズミカルに上下。僚馬の視線が斜め前を向いており、この馬の集中力がより際だった。ムチを入れてしっかりと追うのは、この厩舎の流儀。手応え的にはパートナーの方が上回ったが、気持ちはしっかり高まったはずだ。そもそもこの馬、毎週のようにビシビシと追われているものの、サッパリ鋭さなど感じさせないタイプ。それこそ、この姿は2歳の頃から全く変わっていない。なぜに、こんな調教駆けしない馬が実戦のダートになるとコンスタントに鬼脚を使えてしまうのだろうか。実に不思議なものである。調教とレースは似て非なるものとはいえ、走るという行為が同じであることを思えば、少なからず因果関係ぐらいはありそうなのだが…。何はともあれ、そういうタイプ。調教で反応が鈍いように映ることを割り引く必要など全くない。ビシビシ追われてシッカリ僚馬に対して負けん気さえ見せていれば、この馬は久々であろうと何だろうとレースだと堅実にラストで脚を使えることは今までの実績が証明済み。
あとは長く使えるように見えて実は「一瞬の脚」をどこで使うか。鞍上の手腕がここでも問われる。

7枠13番 オマツリオトコ【評価B】
 伊藤圭厩舎[東] 石川騎手

[1週前] 石川騎手 [1月18日(木)追い]
【美浦南W】 良 82秒1-66秒4-52秒0-37秒9-12秒0 一杯
[今週] 石川騎手
【美浦南W】 稍 85秒0-69秒0-54秒4-39秒7-12秒6 馬なり

1週前は一杯に追って、馬なりの相手に食らいつくのが精いっぱいの伸び脚。ブリンカーが手離せないようにトボけた性格の馬である。今週は石川を背に併せ馬。馬場の大外を回してしっかりと負荷をかけたが、動きにメリハリはなく時計も平凡。大きく変わった印象はないが追い切りで判断をするのは危険な馬。確かに、持ち時計はないし、芝スタートも空っきし。一見するとそのように受け取れなくもない。しかし、果たして本当にそうなのだろうか。同馬がデビュー戦のダートの1000メートルを圧勝していることをどう判断するか。少なくとも、スピードなくして1000メートルを圧勝などできるはずがない。そういう視線で見ていくと不可解なことばかり。道悪とはいえ、芝の函館2歳Sの好走。中央ダートのヤマボウシ賞での快勝振りに、5走前の武蔵野Sで見せた末脚の鋭さ…。むしろ、馬力ありきの状況でのスピード勝負にこそ適正があるのではないか。1週前にビシッと攻めたことで珍しく「気」は入った。オールダートのここなら穴で一考も。

7枠14番 アルファマム【評価A】
 佐々木厩舎[西] 菅原明騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 52秒4-37秒9-24秒6-12秒3 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒7-37秒9-24秒4-12秒3 馬なり

坂路で併せ馬。最終追い切りでの併せ馬は3歳以来の事。だいぶ後方から追いかけた。フットワークは機敏で、並びかける時の迫力もいいものがあった。首の使い方も文句なし。ゴールではわずかに遅れたようだが気にしなくていい。牝馬の一頭だがここに入っても出来は見劣らない。

8枠15番 ケンシンコウ【評価C】
 小西厩舎[東] 田辺騎手

[1週前] 田辺騎手
【美浦坂路】 良 54秒5-41秒4-28秒9-15秒3 強め
[今週] 田辺騎手
【美浦坂路】 稍 54秒4-40秒4-26秒9-13秒8 強め

1週前は坂路で1F15秒3。追ってモタモタして、最後は息切れ。今週も田辺騎乗で気合を入れたが、反応できずに平凡な伸び脚。攻め駆けしないタイプとはいえ、全く動けていない。体も緩く、不安の残る仕上げ。

8枠16番 アームズレイン【評価C】
 上村厩舎[西] 松若騎手

[1週前] 調教師
【栗東CW】 良 82秒6-67秒9-53秒3-38秒1-11秒7 馬なり
[今週] 調教師
【栗東坂路】 良 52秒1-37秒7-24秒8-12秒8 馬なり

坂路で併せ馬。僚馬と比べて首は高い。その点は気になってしまうので評価は高くは付けられないのだが、ただ、それでも楽に僚馬をリードするのだから大したもの。完歩の大きさも最後まで変わらなかった。