【エプソムカップ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【エプソムカップ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 トゥデイイズザデイ【評価A】
 池江厩舎[西] 津村騎手

[1週前] 助手 [5月30日(木)追い]
【栗東坂路】 良 53秒2-38秒8-25秒2-12秒3 末一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒1-39秒0-24秒9-12秒1 一杯

前走は、一週前に脚元がモヤッとして、予定していたCWでの追い切りが出来ず、その分本数が足りず。今回は坂路で単走。最初から最後までリズムが一定で、前脚も高く上がっている。最後まで気を抜かせない鞍上の姿勢もいい。ラストは12秒1だった。今回は同馬としては珍しく柔らかみが保てての臨戦の成功。それは直前で見せた父っぽいアクションからも明らか。決め手爆発なら圧勝まで。

■1枠2番 ノースザワールド【評価C】
 斎藤誠厩舎[東] 菅原明騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 81秒7-64秒8-49秒7-36秒2-11秒3 一杯
[今週] 助手
【美浦南W】 良 83秒5-66秒7-51秒5-37秒3-11秒2 馬なり

1週前で5F64秒8(一杯)と自己ベストを大幅更新したが、当週も前半からかなり行きたがっており、4コーナーでは押さえきれずに頭を上げるようなところもあった。直線では立て直して1F11秒2。元気がある一方で、実践での折り合いの不安を残す。

■2枠3番 ルージュリナージュ【評価B】
 宗像厩舎[東] 丸田騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 70秒5-54秒2-39秒1-11秒9 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 82秒8-66秒5-51秒8-37秒3-11秒5 馬なり

大きく前を走る僚馬2頭の内へ。バネの利いた軽やかなフォームはスピード感にあふれ、追われる2頭とは脚力の違いは明らか。最後は流す余裕がありながらも6F82秒8ー3F37秒3ー1F11秒5の好時計。うまくコントロールも利いて落ち着き十分。大きな上積みこそ見込めないが、出来は安定している。
結局、鍵は折り合えるかどうかということか。そういう意味では一叩きでガスが抜け、同馬としては冷静さを保てている今回は良い。距離もベストで前走以上は必至か。

■2枠4番 ヴェルトライゼンデ【評価B】
 池江厩舎[西] 戸崎騎手

[1週前] 水口騎手 [5月30日(木)追い]
【栗東坂路】 良 51秒3-37秒5-24秒4-12秒3 一杯
[今週] 水口騎手
【栗東坂路】 良 52秒3-38秒2-25秒1-12秒5 一杯

今回は約1年と2ヶ月振りの実戦…。常識的には、まず無視すべき状況であろう。ただし、同馬の場合はそうはいかない。なぜなら、過去に今回と同じぐらい長期休養明けだったにも関わらず、鮮やかに勝ち切ったという前例がある。
伊達に世代の中心としてクラシックロードのど真ん中を歩いていなかったと思わせるには十分な勝ちっぷりであった。あの時も今回も長久の理由は屈腱炎。俗に言う不治の病と呼ばれる難病である。ただし、逆に言えば完治しない=出走するからには最後かもしれない=悔いのない仕上げということ。そう、少なくとも肉体的には、ほぼ万全に近い状態まで整えての臨戦であることは既に確定事項なのだ。さすがに高齢、かつてほど坂路で時計は出ていない。だが、今回の直前で見せたように馬体が合った時に見せる負けん気は未だに凄みがある
坂路で併せ馬。僚馬の背後でたっぷりとチップを浴びせ、残り1Fで外へ。ラチ沿いを伸びて並びかけてみせた。非常に負荷のかかるトレーニング。おそらく、まだ終わってなどいない。長久明けと侮るなかれ。

■3枠5番 タイムトゥヘヴン【評価B】
 戸田厩舎[東] 北村友騎手

[1週前] 上野翔騎手
【美浦南W】 稍 67秒0-51秒7-36秒9-11秒2 馬なり
[今週] 上野翔騎手
【美浦南W】 良 65秒0-50秒2-35秒9-11秒1 馬なり

中間は上野騎乗で併せ馬を繰り返してきたが、常に優勢な動きを見せてきた。1週前は一杯に追われる相手を馬なりのまま突き放して2馬身の先着。5F67秒0ー3F36秒9ー1F11秒2。今週は掛かるぐらいの気合乗りで、直線もあっさりと抜け出して3馬身の先着。5F65秒0ー3F35秒9ー1F11秒1と時計も速く、それでも余力を持って走れているのは好感が持てる。ひと息入れたことで活気を取り戻した。状態はいい意味で平行線。あとは1800mで突き抜ける脚があるかないか。

3枠6番 レーベンスティール【評価A】
 田中博厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] 助手 [5月30日(木)追い]
【美浦南W】 良 79秒7-64秒8-50秒0-36秒5-11秒1 馬なり
[今週] 助手 [6月6日(木)追い]
【美浦南W】 良 83秒8-68秒1-53秒1-38秒2-11秒5 馬なり

大分、幼さが抜けてきたとはいえ、それでも決して精神的にタフではない同馬。この辺りは父リアルスティールの繊細な一面を強く引き継いでしまったと言えよう。そんなタイプだと幾らリセットがかけてあったとしても、陣営としては様子を見つつの慎重な調整となるものではないか。そう、前走というのは、まさにそんな感じだったのである。
そんな仕上がり8分の前走。4コーナーでアクシデントまであったとなれば、この馬の性格上、まともな精神状態で最後まで駆けられなかったのも仕方がなかった。
その点、今回は段違い。短期ながら放牧に出しリセット、その上で1週前に調教駆けする馬を相手にDWコースで5F64秒台の猛調教を敢行してきている。
当週も美浦Wで3頭併せ。2頭で挟んで実践を意識させたが、押さえきれないほどの手応えで早々と抜け出し、最後は相手を待って余裕のフィニッシュ。6F83秒8ー3F38秒2ー1F11秒5。この馬らしい気の強さが前面に出て、フォームも力感十分。体も引き締まっており、巻き返しに向けてうまく調整できた。

4枠7番 マイネルケレリウス【評価B】
 奥村武厩舎[東] 石川騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 67秒2-52秒2-38秒3-11秒3 G前仕掛け
[今週] 石川騎手
【美浦南W】 良 84秒0-67秒8-52秒9-38秒4-11秒7 馬なり

石川が騎乗。ここまで併せ馬を3本消化して、ひと追いごとに素軽さアップ。今週は他厩舎の2歳馬が追いかけてきたが、楽な手応えのままあっさりと突き放して見せた。6F84秒0ー3F38秒4ー1F11秒7。しなやかなフォームに肌もピカピカの状態。前走の出来をガチッとキープ。

4枠8番 ワールドウインズ【評価C】
 笹田厩舎[西] 内田騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 54秒4-39秒8-25秒7-12秒6 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒7-38秒6-25秒1-12秒3 一杯

坂路で併せ馬。僚馬と横の距離を取りつつ、徐々に詰めていく追い切り。差を詰めるたびに闘志を増している様子で、陣営の狙いは達成していると思われる。

■5枠9番 レッドランメルト【評価C】
 国枝厩舎[東] T・オシェア騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 82秒7-66秒5-52秒1-37秒3-12秒1 馬なり
[今週] T・オシェア騎手
【美浦南W】 良 64秒5-49秒8-35秒9-11秒3 強め

オシュア騎乗で併せ馬。走りのリズムが悪く、直線も追い比べではじけず。5F64秒5ー3F35秒9ー1F11秒3。意欲的な内容は評価できるがスピード、切れの甘さが目立った。休養が長引いてまだ重い。

■5枠10番 シルトホルン【評価B】
 新開厩舎[東] 吉田豊騎手

[1週前] 石田騎手 [6月2日(日)追い]
【美浦南W】 重 71秒7-55秒8-40秒9-12秒8 馬なり
[今週] 吉田豊騎手
【美浦南W】 良 80秒0-64秒6-51秒2-37秒2-11秒4 馬なり

吉田豊が騎乗。大きく前を走る2頭をあっさりと捕らえると、最後まで手応えたっぷりに伸びて8F80秒0ー3F37秒2ー1F11秒4の好時計。外の馬には同入も、中の馬には2馬身の先着でフィニッシュ。攻めの強度を上げたが、それをきっちりと実にした印象だ。体も膨らんでおり、出来はかなりいい。B評価の中でも上位。

■6枠11番 サイルーン【評価A】
 堀厩舎[東] 岩田望騎手

[1週前] 助手 [5月30日(木)追い]
【美浦南W】 良 82秒5-65秒5-50秒2-35秒7-10秒9 一杯
[今週] 助手
【美浦坂路】 良 55秒8-40秒5-25秒3-12秒2 馬なり

ウッド、坂路を併用して乗り込まれ、ひと追いごとに迫力を増してきた。23日にはウッドで1F11秒2を馬なりでマーク。1週前は3頭併せ。前を走る2頭を目標に進み直線は内に潜ったが、並ぶ間もなく抜き去って5F65秒5ー3F35秒7ー1F10秒9。中の馬に2馬身、外の馬に3馬身先着を果たした末脚は威力満点だった。1週前にしっかりと追っていることもあって直前は坂路。無理せず馬の気に任せたが、脚力の違いで僚馬を圧倒。最後まで余裕を持って力強く伸びきった。体も無駄がなく仕上がっており、ここ目標に万全の出来。鞍上も京都で沢山頼まれていたが、『この馬なら乗りたい』と東京に行くのでチャンスは大いにあるとみる。

■6枠12番 グランスラムアスク【評価C】
 矢作厩舎[西] 御神本騎手

[1週前] 調教師
【栗東CW】 稍 80秒6-65秒6-52秒0-38秒2-12秒6 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 56秒9-39秒9-25秒2-12秒1 末強め

坂路でラスト1ハロン12秒1と上々の伸び脚は見せた。ただ、しまい重点の内容に加え、本数も少なく急仕上げ感は否めないかも。使ってからが妥当。

■7枠13番 ラケマーダ【評価S】
 千田厩舎[西] 石橋騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 稍 85秒5-69秒8-54秒3-38秒6-11秒8 末強め
[今週] 助手
【栗東CW】 良 85秒9-69秒3-53秒4-37秒9-11秒8 末強め

CWコースで単走。道中から大きな完歩で直線を向くと活気十分な脚さばきに。ラスト1Fでは姿勢が低くなり、首の使い方もよくなってトップスピードに。ラストは11秒8を刻んだ。出来の良さには太鼓判を押せる。あとは初の重賞挑戦で力が足りるかどうか。

■7枠14番 カレンシュトラウス【評価B】
 平田厩舎[西] 北村宏騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 55秒1-39秒7-25秒8-12秒6 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒4-38秒3-24秒7-12秒1 一杯

坂路で併せ馬。格下相手に先行していたとはいえ、一瞬の加速を見せて楽々先着を果たした。大型だけに休み明け叩き3戦目でいよいよ走りごろか。

■7枠15番 アルナシーム【評価B】
 橋口厩舎[西] 横山典騎手

[1週前] 横山典騎手 [5月30日(木)追い]
【栗東CW】 良 93秒5-76秒5-62秒1-49秒6-36秒5-12秒0 一杯
[今週] 横山典騎手 [6月6日(木)追い]
【栗東CW】 良 51秒6-35秒6-11秒2 馬なり

木曜のCWを単走・馬なりで。半マイルからなので切れて当然ではあるが、それでもラスト1ハロンの伸びは優秀だった。好状態はキープだ。

■8枠16番 グランディア【評価C】
 中内田厩舎[西] 三浦騎手

[1週前] 助手 [5月30日(木)追い]
【栗東CW】 良 83秒1-67秒2-51秒9-36秒7-11秒0 一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 良 84秒3-68秒1-52秒9-37秒3-11秒2 強め

CWコースで単走。近くで別の併せ馬が行われていたためか、気持ちが高ぶりすぎている感じがあった。その併せ馬を置き去りにするあたりはさすがで、あとは落ち着きひとつ。外を回るとフワッとするし、抜け出すとソラを使うから馬込みに入れて内を突くしかないタイプだけに、うまく捌けるかどうか。

■8枠17番 ニシノスーベニア【評価B】
 上原博厩舎[東] 田辺騎手

[1週前] 助手 [6月1日(土)追い]
【美浦南W】 重 66秒6-51秒0-36秒1-11秒0 一杯
[今週] 助手
【美浦坂路】 良 53秒7-37秒8-24秒5-12秒1 馬なり

1週前ウッド、直前坂路はいつものパターン。1週前は5F66秒6ー3F36秒1ー1F11秒0。ビシッと気合を入れたが、フォームの乱れはなく、一直線の伸び脚。今週の坂路は単走ながらキビキビとした身のこなしから、最後まで手応え十分に力強く伸びきった。大型馬ながら緩さ、重苦しさは一切なし。出来は高いレベルで安定している。

■8枠18番 セルバーグ【評価C】
 鈴木孝厩舎[西] 丸山騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 稍 81秒5-65秒8-51秒2-36秒4-11秒4 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒5-39秒1-25秒0-12秒1 末強め

坂路で単走。軽快に上がってきたが、ラストで首が右を向いてしまい、鞍上が叱るシーンも。苦しがったのだろうか。それでもラスト12秒1なら上々で走りへのモチベーションを保てている。この馬は自分の形に持ち込めるか否かだけが重要。追い切りではC評価だが、マークの薄くなる逃げ馬は常に注意は必要であることは、頭の片隅に置いておかねばならない。