現場の裏話コラム|vol.14|若手調教師の躍進と競馬界の新たな波

現場の裏話コラム|vol.14|若手調教師の躍進と競馬界の新たな波

先週の重賞はシルクロードSでルガルがV、根岸SはエンペラーワーケアがV。

前者は2着に3馬身差をつけ、後者は2馬身半差だった。スプリント路線、ダート路線に新星登場とマスコミは騒ぎ立てたが、某牧場関係の重鎮は「馬も確かにすごいけど、それよりも人ですよ。杉山調教師が2頭とも管理している。今のトレーナーではひとつ頭が抜けたのではないかな、というくらい最近の好調ぶりはすごいね」と杉山調教師をべた褒めした。

杉山調教師といえば、昨年はリーディングトレーナーの座を獲得した新鋭。前出の重鎮は「これまでのリーディング争いといえば、銘柄級の調教師が毎年競っていた。それが昨年は杉山調教師が獲得。今年で調教師は9年目、年齢はまだ42歳ですからね。新時代の到来、といってもいいくらいトレセン内では衝撃が走っていました。とはいえ、今年はどうなるかわからないというのも競馬界の常。それがどうですか。今年も好スタートを決めて、早くもリーディングトップの8勝を挙げています。さらに東西重賞をジャックするなど、勢いは止まりそうにないね」と話した。

杉山調教師は助手時代の菊花賞馬スリーロールスを担当していた腕利き。ただ社台系との深いパイプはなく、開業当初も良血がたくさんいたわけではなかった。

某エージェントは言う。「最近は開業直後から社台グループにいい馬を預けられ、成績を残す調教師も多い。ただ牧場サイドの言いなりになってしまうケースもあり、トレーナーとしての地力が強化されづらいというのもデメリットとしてあります。杉山調教師は地道に成績を上げ、名牝の3冠馬デアリングタクトも管理した。あの馬も決して血統がいいわけではなく、社台系の馬でもないですからね。手腕が評価され、最近は個人馬主から良血を預かることも増えてきた。地力も備わっているトレーナーなので、急激に失速することもないでしょう」と、当面は安泰との見方を示している。

ちなみにこの東西重賞ジャックは、昨年12月に上村調教師のチャレンジC(ベラジオオペラ)、ステイヤーズS(アイアンバローズ)以来となる。

この上村調教師もまだまだ若い新鋭の部類。前出のエージェントは「上村調教師も今年はリーディング2位と好調。徐々に地力をつけており、昨年は7位までジャンプアップしていました。こちらも社台グループにべったり、というタイプではない。いよいよ栗東の調教師会に大きな若手の波がきたのかな、という気もします」。今年はこの2人から目が離せない。

栗東トレセン情報部:田所