現場の裏話コラム|vol.21|悲願の重賞制覇:クラシックへの新たな期待

現場の裏話コラム|vol.21|悲願の重賞制覇:クラシックへの新たな期待

先週の高松宮記念ではマッドクールがV。新たなスプリント王者が誕生した。
もちろん、この勝利も栗東では話題となったのだが、それ以上に話題をさらったのは毎日杯ではないだろうか。

メイショウタバルが6馬身差で圧勝。道悪を味方につけたその走りも圧巻だったが、開業11年目で悲願の重賞制覇を決めた石橋守調教師への祝福の声が、愛馬のパフォーマンスよりも栗東トレセン内では話題となった。関西のトラックマンはこう話す。
「とにかく人間性が評価されている調教師。現役時代も苦労人という言葉がぴったりで、あまりスポットライトが当たらなかったのですが、晩年になってメイショウサムソンと出会って皐月賞とダービーを制覇。メイショウサムソンは途中で武豊騎手への乗り替わりとなってしまいますが、ファンも関係者もメイショウサムソンといえば石橋守ジョッキー、のイメージではないでしょうか。初重賞が同じメイショウ松本オーナーの所有馬だったというのも、非常にドラマチックですね」と振り返る。
 
そしてこの勝利を特に喜んでいたのが、武豊騎手だったそうだ。前出のトラックマンはこう続ける。
「石橋厩舎は、2021年にもかなりの素質馬と出会っています。それがロンですね。ロンは8月にデビューして圧勝すると、続く野路菊Sも4馬身差をつけて圧勝。騎乗した武豊騎手もその能力をかなり評価しており、暮れの阪神JFや翌年の牝馬クラシックでも主役になるだろうといわれていました。ただ阪神JFを体調不良で回避すると、そこから歯車が狂ってしまい、屈腱炎を発症して長期休養に。復帰後も勝利を挙げることはなく、再び故障してターフを去っています。武豊騎手にとって石橋守調教師は兄弟子のようなものでした。メイショウサムソンでバトンを受けたことも感謝しており、それだけにロンで初タイトルを、という気持ちは強かったでしょう。メイショウタバルには騎乗していませんでしたが、勝利を自分のことのように喜んでいたと聞いています」。
 
しかもこのメイショウタバルは、近親にロンが名を連ねており、血統面からもドラマがある勝利だった。
「今年の皐月賞はかなりの混戦。メイショウタバルはサムソンのようなタフさがあるし、クラシックの有力候補といっていいのではないでしょうか。泥臭い走りといい、サムソンとかぶる部分はかなりあります。もしかしたら今回の勝利はドラマの始まりに過ぎないかもしれません」。
ファンにとっては今年のクラシックにまたひとつ、大きな楽しみができたといったところだろう。

栗東トレセン情報部:田所