現場の裏話コラム|vol.11|2024年の注目騎手と調教師

現場の裏話コラム|vol.11|2024年の注目騎手と調教師

謹賀新年。
今年も競馬がスタートする。
競馬業界に休みという休みはほとんどなく、1月3日には各関係者が顔を出し、挨拶や調教に励んでいた。
あるトップトレーナーは

「年の初めになると、すべての数字が0になって、みんなが同じスタートラインに立つ。このまま1勝もできないんじゃないか、と不安になる時すらある」

と関係者ならではの心境を口にしていた。
どれだけトップの成績を残していても、この時期は期待だけでなく多少の不安とも戦っているのだろう。

さて、年始の今回はトレセン関係者に聞いた「注目のジョッキー&調教師」をピックアップ。

その中でも「今年はルメールや川田に割って入って、リーディングを獲れるかもしれない」とかなりの注目を集めていたのが、坂井瑠星騎手だ。

昨年は自身初の100勝超えとなる107勝をマーク。地方交流も合わせてGⅠを4勝挙げただけでなく、夏の小倉リーディングや京都の年間リーディングなど、タイトルをかっさらった。

ある厩舎関係者は言う。

「とにかく競馬に対して真摯に取り組んでいる。普段は全くお酒を飲まないし、本人も『飲むとしても日曜だけ』と話していた。平日に飲むと翌日の体調に少なからず影響するから、と言っていたよ。野球の大谷翔平ではないけど、競馬が趣味で他に趣味がないようなタイプ。こういうタイプは最近珍しいよね」

と話す。

また、あるジョッキーは

「去年はドバイやアメリカ、オーストラリア、韓国に遠征。もともと若い頃から海外志向が強く、今年も積極的に海外へ飛び出していった。そういう積み重ねが柔軟なレースぶりにも表れている。まあプライベート的には遊びがなくて、全く面白くないやつなんだけど…。競馬に関してはリーディングを取るだけのキャリアと意識がある」

と評価している。
ルメール、川田の2強時代に風穴をあけるか。

一方、調教師では3月に開業する福永調教師に早くも各関係者が熱視線を送っているようだ。

辰年生まれで今年の年男。
騎手時代に2636勝をマークした名ジョッキーは、果たしてどんな調教師になるのか。

ある厩務員は

「一緒に働く機会があったらぜひ、と言いたいね。ジョッキー時代に何度か俺の馬に乗ってもらったけど、次にどうすればいいかなど、今後につながるアドバイスを必ずくれた。ひどいジョッキーだと『この馬は能力がない』『状態がよくないから勝てないよ』とか、そんな言葉しか言わないやつらもいるから。ユーイチは違うよ」

と適性に太鼓判を押す。

ある調教師は

「既に仲の良かった馬主に『今後は福永厩舎に預けるから』と預託馬を減らすと言われた。うちだけでなく、福永厩舎に流れていく馬主は多いはず」

と危機感を募らせていた。

坂井&福永。
今年はこの二人に注目してみてはいかがだろうか。

栗東トレセン情報部:田所