現場の裏話コラム|vol.32|変革の予感:JRA上半期に見る若手ジョッキーの成長と競馬界の課題

現場の裏話コラム|vol.32|変革の予感:JRA上半期に見る若手ジョッキーの成長と競馬界の課題

早いもので今年のJRA上半期の日程が、6月23日に終了した。売上は1兆6596億4509万400円で前年比100.8%。開催場の入場人員は265万7633人で前年比は120.4%。相変わらずの堅調ぶりだ。ただし、上半期のGI最終戦宝塚記念は前年比89.9%。天気が悪かったとはいえ、ドウデュース=武豊、の強力なアイコンがありながらの数字。あまり悠長に構えているわけにもいかないだろう。そのヒントになりそうなのが、宝塚記念当日に起きた二つの現象だ。
 
ひとつめは、少し前から話題に上がり始めていたが、今年GIを別々の騎手が制していたことだ。上半期最終戦の宝塚記念も、デビュー以来のGIそのものが初制覇だった菅原明。上半期に行われた13戦のGIで、2勝したジョッキーはゼロ、という珍現象が現実のものとなった。
 菅原明が23歳で最年少。次いで27歳の坂井瑠が続き、30歳台が菱田、横山和の31歳組に、38歳組に川田、藤岡、津村の計5人。40歳代がルメール(45歳)と戸崎(43歳)に黒岩(40歳)の3人。最年長の横山典(56歳)ひとりが平均年齢を上げている格好(すべて満年齢)だが、要するに、遅ればせながらの世代交代の兆しがみえてきた(残りの2人は、モレイラとマクドナルドの外国人騎手)。
 「ベストテンに20歳代が他に4人。ピッタリの20歳といえば13位の佐々木に、菅原と同期の団野が14位。他に田口が17位、西塚洸が20位と、やっとそういう空気(世代交代)が満ちてきた感じがする」と美浦の中堅級の記者が感慨深げに言う。「馬が主役だから起こるんだけど、柴田善、横山典、武豊ら、記者達よりひと回りも年長の騎手がトップレベルに君臨し続けるのはおかしいでしょう。リーディングを争うことはないにしても、ここ一番のレースを持っていく。凄いというより若手のキャリア不足がすべて」と手厳しい。
 それでも腕があるからこそ、馬主も調教師もベテラン達に騎乗依頼する。そうした側面もあるのではないか。これについても「信者と呼ばれる馬主がバックアップしたりしますからね。一部の調教師だってそうだから」と吐き捨てるように続ける。
 
要するに「業界全体で若手を育てようという気持ちがなかったってこと。〝馬〟というハードは強くなっても、〝人〟は育っていなかった。それがやっと、是正されつつあるのは何よりです」というわけだ。
 しかし、これを聞いていた別の記者が「いやあ、まだまだでしょ」と口を挟んだ。「宝塚の日の東京のメインを見てみな。勝ったのが内田博で2着が柴田善に3着は横山典。3人の平均年齢はザックリ55歳。GIの裏とはいえ、これが東京競馬のメインレースで起きるんだから」と冷ややかだ。
 
そう、宝塚記念当日に起きた現象の、ふたつめがこれ。若手が本当に育つまでは、あくまでクールな頭で競馬を捉えて、馬券作戦を考えるべきなのだろう。キーとなるのは3場開催の、GIの裏の競馬場、とうことか?。頭の隅に入れておいていいだろう。


美浦トレセン情報部:吉本