【阿修羅の追い切り速報】重賞以外の追い切り特注馬

【阿修羅の追い切り速報】重賞以外の追い切り特注馬

早いもので2023年の競馬も今週から師走競馬に突入。
先週のジャパンCが「あまりにも感動的なイクイノックスの勝利だった」ということもあり「熱量が落ちてしまっている」とおっしゃられる競馬ファンの方もいらっしゃるようですが、その考え方は正に逆。

競馬界内部では「イクイノックスに白旗状態だったジャパンCより、これからのGI戦線を含めた重賞こそが本番」という雰囲気でございますので、ジャパンCで燃え尽き症候群のようになるなんてことは無いように、お願いいたします。

それでは師走競馬初週に向けた追い切り速報をお届けいたします。

ここで取り上げる注目馬は基本的に「阿修羅認定競走以外」のレースからの選出となっておりますが、好調教馬のみならず先々の指定に向けての【思惑】が絡んだ馬が紹介されることもございますので、推奨馬に関しては当該レースのみならずその後の動向もチェックしておくことをお薦めいたします。

それでは、注目の美浦の追い切りから。

<美浦>馬場寸評(2023.11.29)

【美浦ウッド】は良。中山開催に合わせて右回りに変更。前日からの水まきの成果で、チップは終日湿った状態。速い時計が出る馬場だった。ただ、きょうは追い切り頭数が多く、開門後やハロー車で馬場を慣らした後はコンディションは良かったが、少し時間がたつと砂浜のような荒れた状態に。追った時間で馬場差、時計差が出ている。騎乗した助手は「前半の馬は綺麗な馬場で追えたが、後半はかなり荒れた馬場。直線は馬が沈むような感じで、なかなか前に進まなかった。他の厩舎は傷みの少ない内ラチ沿い、外ラチ沿いで追うなどして対処していたよ」とのこと。日曜中京11R・チャンピオンズCに出走するジオグリフが5F68秒5ー3F38秒5ー1F12秒2。日曜中山11R・ラピスラズリステークスに出走するファロロジーが5F69秒4ー3F39秒2ー1F11秒5。
【美浦ポリトラック】は良。中山開催に合わせて右回り。乾燥して少し硬めのコンディション。ただ走りにくいことはなく、時計も速め。1F11秒台前半も出ている。美浦ダートは良。適度な湿り気があって軽い砂質。走りやすく、時計も速め。1F12秒台前半なら優秀だ。
【美浦芝】は良。芝の色が緑から黄色に。乾燥もしていて硬めのコンディション。きょうは追い切る馬がいなかった。
【美浦坂路】は良。水まきの成果で適度に水分を含んだ状態。チップのコンディションが良く、リニューアル当時からかなり走りやすくなった。1F12秒台前半なら優秀だ。


<美浦>追い切り注目馬

■土曜中山3R 2歳未勝利
 エリカエスティーム(牝2歳)
父:モーリス
母父:EI Corredor
生産:ノーザンF
馬主:三木正浩
厩舎:美浦・宮田敬介

デビュー戦の勝ち馬は次走で重賞V。3着馬はオープンを勝ち、2着馬もすでに勝ち上がっているように、ハイレベルの一戦だった。前走後はひと息入れて成長を促したが、帰厩後の馬体、動きは想像以上の迫力。併せ馬では常に優勢に動き、1週前は古馬相手に馬なりのまま先着。6F82秒4ー3F37秒4ー1F11秒3。今週は5Fからペースを上げたが、直線は持ったままズバッと切れて1F11秒4。追われる相手を子供扱いにして見せた。緩さが残った馬体も引き締まり、トモの盛り上がりが目立つ仕上がり。成長著しい。


■土曜中山9R 葉牡丹賞
 ショウナンラピダス(牡2歳)
父:ドゥラメンテ
母父:Mineshaft
生産:ノーザンF
馬主:国元哲秀
厩舎:美浦・国枝栄

デビュー戦は出遅れて後方からとなったが、直線は外に持ち出すと一気に伸びての差し切りV。ゴール前は手綱を抑える余裕があったように、素質が違った。実戦を1度使ったことでケイコの動きも良化。1週前は坂路で4F53秒1ー3F38秒3ー1F12秒2。追われる相手を尻目に持ったまま力強い伸び脚を披露。今週はウッドで併せ馬。6Fから徐々に加速させて、直線は前を走る馬の内に入って追い比べ。重心がグッと沈むと回転ピッチを上げて真っ直ぐ伸びきった。5F67秒0ー3F37秒2ー1F11秒2。初戦とは反応が明らかに変わってきており、気持ちもうまくコントロールできている。肌もピカピカの状態で、ここ目標に態勢に隙はない。


■日曜中山2R 2歳未勝利
 リアルファインド(牡2歳)
父:リアルスティール
母父:クロフネ
生産:ノーザンF
馬主:吉田勝己
厩舎:美浦・栗田徹

デビュー戦は1番人気に支持されながらも、12着に大敗。初めてのレースの緊張でうまく呼吸ができず、最後は苦しくなってしまったことが敗因だ。ただ1度実戦を経験したこと、間隔をあけて立て直したことで気配がガラッと良化。1週前の3頭併せでは、前2頭を追いかけながらも直線はうなるような手応え。5F68秒0ー3F37秒9ー1F11秒7。2頭に先着を果たした。今週は3頭併せの真ん中に入れてプレッシャーをかけたが、最後まで手応え、脚勢に乱れなし。両サイドを圧倒する迫力の動きで5F67秒6ー3F38秒1ー1F11秒7。体にもメリハリが出て、初戦から大幅なパワーアップがうかがえる。


■日曜中山12R 3歳上2勝クラス
 シゲルファンノユメ(牡4歳)
父:ディーマジェスティ
母父:カーネギー
生産:土田農場
馬主:森中啓子
厩舎:美浦・伊藤圭三

ダートに路線を切り替えて3戦目となった前走が見せ場十分の2着。離して逃げた勝ち馬にただ1頭迫り、3着馬には2馬身半の決定的な差。着実に地力を上げている。ケイコの動きも良く、1週前は馬場の大外に持ち出すと、併せた相手をいつでも突き放せる勢いを披露。今週は田辺が感触を確かめたが、直線は追って食らいつく相手を終始馬なりで圧倒して見せた。軽やかなフォームに、相手が迫れば迫るだけ伸びる勢いのある末脚は、ここにきて心身ともにたくましくなった印象だ。6F82秒4ー3F37秒1ー1F11秒6。輸送があったとはいえ前回よりも2秒速い時計を軽々マーク。寒くなっても肌はピカピカで状態には太鼓判を押せる。


<栗東>馬場寸評(2023.11.29)

栗東の調教スタンドから見える山々も色づいてきてなかなかのいい景色。晴天で全コース良馬場だった。
【Wコース】は、それ程多くはなかたっが11秒台前半で駆け抜けてくる馬もいて、先週よりはいく分走りやすい状態、ラスト10秒台はコーパクリスティ1頭だけだった。
【芝コース】は追い切り少数。見た目は速い時計の出そうな馬場だったが、馬なりのセーブした追い切りのみだった。
【ポリトラック】は大半がラスト12秒をきってきた。手控えた内容が多かった割にはマズマズ速いタイムがでた。

<栗東>追い切り注目馬

■阪神土曜9R さざんか賞
 ピューロマジック(牝2歳)
父:アジアエクスプレス
母父:ディープインパクト
生産:村田牧場
馬主:スリーエイチレーシング
厩舎:栗東・安田隆行

B(ダート)コースで4ハロン52.2-36.1-11.3秒。斉藤が乗って軽く流した程度だったが、ラストはビュッと鋭い伸びを見せた。前向きさも十分で、多少間隔が空いていた前走を叩いて状態は確実に上向き。前走のファンタジーSでは8着に敗れていれば、先行した馬が総崩れのなか、逃げて、勝ったカルチャーデイから0秒6差なら一応の評価はできる。コンディションいい開幕週の馬場で、先行策から粘り込む。


■阪神日曜10R 元町ステークス
 ジュリアバローズ(牝5歳)
父:ディープインパクト
母父:O’Reilly
生産:ノーザンF上村洋行
馬主:猪熊広次
厩舎:栗東・上村洋行

ポリトラックで6ハロン82.9-65.8-51.3-38.1-11.7秒。上り過ぎから加速し、抑えたままだったが、ラストは数字以上の伸びを感じさせる動きだった。シッカリと体を使った走りも好感で元気一杯の様子。レースで道中で力む面があり、それが最後伸びあぐねるところに繋がっている感もあるが、今回は最終追いを速い時計の出やすいポリトラックに替えややソフトな仕上げ。これがいい方にでてレースで気負わなければ十分に勝機もありそうだ。


以上、美浦と栗東の馬場寸評、及び6頭の調教注目馬をご紹介いたしました。

株式会社ASHURA PROJECT
調教班