【安田記念】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【安田記念】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


1枠1番 カテドラル【評価C】
 池添厩舎[西] 斎藤騎手

[1週前] 斎藤騎手
【栗東坂路】 良 53秒3-38秒3-25秒2-12秒3 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒7-38秒8-24秒7-12秒1 馬なり

坂路で単走。脚さばきは非常に機敏。目にも止まらぬスピードで回転する。首の動きがもう少しスムーズなら良かったか。それでも最後まで迫力を失わなかった。
ただし稽古は元々動くタイプ。暖かい時期に調子を上げるけど、この年齢で大きな上積みまでは感じないのでどこまでやれるか。

1枠2番 ガイアフォース【評価B】
 杉山晴厩舎[西] 長岡騎手

[1週前] 長岡騎手
【栗東坂路】 良 52秒4-38秒3-24秒1-11秒8 一杯
[今週] 長岡騎手
【栗東坂路】 稍 53秒0-38秒3-25秒0-12秒5 馬なり

基本的に身体の使い方の硬い同馬。イメージとしてはクッション性の低い自動車を想像してもらうと解りやすいか。簡単な話が、自らが放つ力を逃がしきれずにダメージを受けてしまうタイプで、激走すれば次は少なからずパフォーマンスの質を落としてきている。
つまりG1で2着した前走後など、かなりの確率で危険でしかなかったのである。ところが、今回は同馬が加減して走る前に骨瘤を発症することに…。前走は気持ち云々の前に身体面が持たないぐらいの渾身の激走だったということか…。何はともあれ一頓挫明けとなる今回。シッカリと休ませられた分でダメージは綺麗に抜けたようだが、その代わりに前走時ほどスイッチの入った感じにはない。
坂路で単走。非常にアクションの大きい脚さばき。体調も機嫌もいいことが分かる。多少は無駄もありそうだが、元気の良さをプラスに取りたい。

2枠3番 レッドモンレーヴ【評価B】
 蛯名正厩舎[東] 横山和騎手

[1週前] 助手
【美浦坂路】 良 53秒8-39秒3-26秒0-13秒0 馬なり
[今週] 野中騎手
【美浦坂路】 稍 55秒3-39秒7-25秒4-12秒4 馬なり

間隔が詰まることもあって今回は坂路での最終調整。野中を背に3頭併せ。キビキビとした身のこなしは数字以上のスピード感。外の馬を早々置き去りにすると、ゴール前は内の馬にスッと抜け出して先着でゴール。4F55秒3ー3F39秒7ー1F12秒4。速いところをやる必要もなく、これで十分。好調をがっちりとキープ。あとはマイルをどうこなすか。

■2枠4番 ジオグリフ【評価B】
 木村厩舎[東] 北村宏騎手

[1週前] 北村宏騎手
【美浦南W】 良 98秒1-82秒0-66秒8-52秒0-37秒4-11秒1 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 稍 84秒1-67秒4-52秒5-37秒9-11秒6 馬なり

1週前は北村宏を背に7F98秒1ー3F37秒4ー1F11秒1。併せた相手を手応えで圧倒した伸び脚は、好調時と遜色ない切れと迫力があった。今週は3頭併せ。2頭の間に入れると気合を前面に出してグイグイと加速。引っ張り切れないほどの手応えで力強く伸びきった。5F67秒4ー3F37秒9ー11秒6。力感十分の走りに加えて体もパンパンに張った状態。出来はかなり良く映る。

3枠5番 ナミュール【評価B】
 高野厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 助手 [5月26日(日)追い]
【栗東坂路】 良 46秒3-29秒9-14秒1 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 56秒0-40秒7-25秒5-11秒9 馬なり

坂路で単走。外ラチ沿いをリズム良く登坂。フットワークにブレもなく、後肢の蹴りも迫力十分。チップもしっかりと舞っていた。前回は10日競馬でひと叩きだったし、鞍上が2回目で感覚を掴んでいればガラッと変わってもいい。

3枠6番 ドーブネ【評価S】
 武幸厩舎[西] 菱田騎手

[1週前] 菱田騎手
【栗東CW】 良 77秒9-63秒4-50秒1-36秒8-12秒0 末強め
[今週] 助手
【栗東CW】 稍 81秒6-66秒2-51秒8-37秒2-12秒0 強め

CWコースで単走。道中から脚さばきに勢いあり。直線を向き、前脚の動きがさらに大きくなって迫力を増した。姿勢も低くなってスピードアップ。ただ、そこまで夢中になりすぎていないのがいい。最後は、やや力を緩めつつ。このくらいのあんばいがちょうどいい。馬体的にも10キロ増くらいで出走となりそうで、結構乗り込んでいるし、太い感じはしない。今週も輸送を控えた中、あれだけやれた。追い切りは万全という中で、この強力メンバーでどこまでやれるか。

4枠7番 ロマンチックウォリアー【評価A】
 C・シャム厩舎[海外] J・マクドナルド騎手

[1週前] 追い切りなし
[今週] J・マクドナルド騎手 [5月28日(火)追い]
【東京芝】 良 75秒7-60秒8-47秒3-34秒3-11秒5 馬なり

6Fで5馬身の追走。前を走る僚馬を目標に進み、直線に入ると意識的に真後ろにつけて抜くのを我慢。そこから外に持ち出すと、追われるパートナーを一瞬にして抜き去る絶好の切れを披露。6F75秒7ー3F34秒3ー1F11秒5。重心がしっかりと沈み、ブレのないフットワークからは相当なパワーを感じさせる。肌をしっとりと見せて落ち着きも十分。なんといっても馬体の素晴らしさに驚いた。胸前に胴、トモ何もかもが規格外のデカさ。まさに巨漢なのだ。それでいて驚くべきは走るフォームに一つも持て余した点がないこと。サイズの大きさをそのままに単純な一歩が無駄なくとてつもなく大きいのだから素晴らしい。挙句にスピードに乗せれば、青天井に上がっていく。直前のラスト2F目のラップなど推定だが楽に10秒台に突入していたのでは。スピードもパワーもハイレベル。日本の馬場でのマイル戦で追走できれば圧勝しても驚かない。

4枠8番 エアロロノア【評価B】
 笹田厩舎[西] 幸騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 51秒3-37秒9-24秒7-12秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒0-38秒2-24秒5-12秒1 末強め

坂路で併せ馬。僚馬から顔をそむけているように見えるが、それがこの馬の流儀。意識しすぎないことも大切。並んで、かわす時の俊敏な動きは目を引いた。
ただし良い頃から比べると若干だがキレが落ちてきているのも事実。
どこまで迫れるか。

5枠9番 パラレルヴィジョン【評価A】
 国枝厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 良 66秒8-51秒8-37秒6-11秒8 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 稍 68秒3-52秒4-37秒4-11秒4 馬なり

中間の併せ馬では常に優勢に動いており、1週前は食らいつく相手を寄せ付けずに持ったまま1馬身半の先着でフィニッシュ。5F66秒8ー3F37秒6ー1F11秒8。今週は3頭併せ。先行した2頭の内から楽に並ぶと手応え、脚勢の違いは明らか。追われる2頭をあっさりと突き放す豪快な伸び脚を披露。5F68秒3ー3F37秒秒4ー1F11秒4。やる気になればいくらでも動いてしまいそうなほど活気にあふれ、芯が入ったフットワークは本格化の証明だ。馬体の緩さもなく、ここ目標に完璧な仕上げ。
ここまでダートだとかなんか色々使って試行錯誤してきたが、やはり芝のマイルがベスト。相手は強いが、勢いある今のタイミングでGIを使えるのは魅力。

5枠10番 ソウルラッシュ【評価S】
 池江厩舎[西] J・モレイラ騎手

[1週前] 水口騎手
【栗東CW】 良 81秒5-65秒6-50秒3-35秒9-10秒9 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒1-38秒4-25秒0-12秒1 馬なり

坂路で単走。首を上手に使い、迫力十分。上体にあまりブレがない点もいい。気持ちがしっかりと入り、闘志はしっかりと高まったように見える。
何気に前走で驚いたのは、同馬が長らく装着していたブリンカーを外して挑み、そして何事もなく勝ち切ったこと。
というのも、若かりし頃ならまだしもマイルの距離に慣れたことに加えて年齢的な鈍さが垣間見えつつあった昨年の動向を見ていると、それがとても得策だとは思えなかったのである。何なら、ブリンカーを申請書に書き忘れたのかと疑っていたぐらい。しかし、そうではなかった。シッカリと存在したのだ。同馬に確かな刺激を与えた人物が…。それこそが昨年のMCSと香港マイルで同馬とコンビを組んだモレイラ騎手。なぜ、彼が乗ると馬はその気になるのだろうか…。あくまで端から見てのイメージでしかないが、馬自身が走ることだけに専念できるよう綿密なエスコートに徹しているのでは。これにより馬との信頼関係が深まり魔法のような事象に繋がっているとみるがどうか。何はともあれ、モレイラ騎手とコンビを組んで以降、気を抜く悪癖が解消していたということ。そして、前走の鬼気迫る伸びを見ると勝ちに飢えてすらいたような…。さすがはマジックマンである。この中間も真剣味は増すばかり。柔らかみ十分の動きも目立っており、おそらく生涯最高のデキでの臨戦。

6枠11番 ウインカーネリアン【評価B】
 鹿戸厩舎[東] 三浦騎手

[1週前] 三浦騎手
【美浦南W】 良 78秒8-64秒6-50秒8-36秒4-11秒2 馬なり
[今週] 三浦騎手
【美浦南W】 稍 85秒3-68秒7-53秒0-37秒9-11秒7 馬なり

追い日は三浦が騎乗して調整を続けてきた。1週前は3頭併せ。大きく前を走る2頭を目標に進み、直線も楽な手応えのまま並ぶ勢い。僅かに遅れはしたが6F78秒8ー3F36秒4ー1F11秒2の好時計。今週は単走追い。ゆったりとしたペースでもピタリと折り合い、直線は馬場の大外に持ち出して矢のような伸び脚。活発に動けており、前走同様の出来。

6枠12番 フィアスプライド【評価B】
 国枝厩舎[東] 坂井騎手

[1週前] 助手 [5月26日(日)追い]
【美浦坂路】 良 55秒6-40秒7-26秒3-13秒1 末強め
[今週] 助手
【美浦南W】 稍 83秒9-67秒7-52秒9-38秒0-11秒8 馬なり

日曜の坂路が中間の初時計。うまく立ち上げて今週はウッドで併せ馬。前を見ながらゆったりとしたペースだったが、リズム良く、流れるような脚さばき。直線は外の馬の気合に合わせるように、押さえきれないほどの手応えでスパッと切れた。6F83秒9ー3F38秒0ー1F11秒8。今回中2週でちょっと間隔詰まる点をどう捉えるか。ここ最近は詰めて使ってないのでそのあたりが実践でどう影響するか。現状カイバもしっかり食べてるし状態自体問題ないので、当日のテンションがカギ。

7枠13番 ステラヴェローチェ【評価A】
 須貝厩舎[西] 横山典騎手

[1週前] 横山典騎手
【栗東CW】 良 93秒0-77秒2-63秒5-50秒3-36秒7-12秒0 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒7-38秒5-24秒9-12秒3 馬なり

2歳時から世代のトップ層として活躍し、3歳のクラシック戦線もフル参戦して3着、3着、4着。その年のグランプリ有馬記念でも見せ場十分の4着に入線したぐらいなのだから大したもの。同期で鎬を削っていたのも、エフフォーリアにタイトルホルダー、シャフリヤール。何事もなく順調だったら…。全ては屈腱炎による約1年7ヶ月という長期の戦線離脱、あれで変わってしまったということか。ただし、ここ2戦のレース振りを見ると、まだ捨てたものでもあるまい。トップハンデも何のその、力任せに押し切った2走前に、完全に脚を余しながらも4着と格好をつけてみせた前走には、確かな地力が今も残っていることを示していた。そもそもマイルは重賞Vの実績もあれば、2歳時の話とはいえG1朝日杯FSで2着したこともある距離。むしろ、良くも悪くも未だに道中での気負い癖が抜けていないことを思えば、この距離短縮などプラスでしかなかろう。1週前にビシッと動かした効果で直前はスムーズな加減速が可能となっていたようにガス抜きも完了済み。当週は坂路で単走。一定のリズムで走れており、ピッチ数もまずまず。もう少し迫力は欲しかったが、馬場も不問とくれば一発も十分。穴ならコレ。

7枠14番 コレペティトール【評価B】
 中村厩舎[西] 岩田康騎手

[1週前] 助手 [5月23日(木)追い]
【栗東坂路】 良 52秒6-38秒0-24秒7-12秒3 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒2-38秒4-25秒4-12秒7 一杯

坂路で単走。前脚はしっかりと前方をつかんでいるが、やや緩慢な脚さばき。もう少しキビキビとした感じが欲しい。とはいえそれは理想であり、前走から比べれば俄然動きは良くなっている。前走は着順こそイマイチだが、内容的にはセリフォスの後ろにつけて内容も悪くなかった。Hペースになってくれることを祈っての末脚勝負が決まるかどうか。体調は悪くない。

7枠15番 ヴォイッジバブル【評価C】
 P・イウ厩舎[海外] Z・パートン騎手

[1週前] 助手 [5月26日(日)追い]
【東京ダ】 良 71秒9-56秒0-41秒1-12秒6 馬なり
[今週] 助手 [5月30日(木)追い]
【東京芝】 良 71秒0-54秒8-39秒6-12秒4 馬なり

芝での追い切り。コーナーは外に膨れ気味で、直線も速い脚を見せず。気持ちは入っているが、動き自体は目立たない。ロマンチックウォリアーに比べたら、調整は遅れている。また、2走前のドバイでも惨敗しているように、基本的には内弁慶タイプなのか。

8枠16番 エルトンバローズ【評価B】
 杉山晴厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 西村淳騎手
【東京ダ】 良 84秒2-67秒8-52秒4-37秒2-11秒8 強め
[今週] 西村淳騎手 [5月30日(木)追い]
【東京芝】 良 84秒0-67秒5-52秒2-37秒0-11秒7 馬なり

海外遠征後は東京競馬場に滞在して調整を続けてきた。22日にダートで6Fから84秒2ー3F37秒2ー1F11秒8。26日はダートで半マイルから4F54秒7ー38秒1ー1F12秒2。今週は西村淳を背に芝での追い切り。ブリンカーを着用して走りはスムーズ。直線も余力たっぷりに真っ直ぐ伸びて6F84秒0ー3F37秒0ー1F11秒7。体もふっくらとしており、調整はうまく進んだ。

■8枠17番 セリフォス【評価S】
 中内田厩舎[西] 川田騎手

[1週前] 川田騎手 [5月23日(木)追い]
【栗東CW】 良 95秒1-78秒9-64秒6-50秒7-35秒9-11秒2 馬なり
[今週] 調教師
【栗東坂路】 稍 56秒9-40秒4-26秒2-12秒7 馬なり

坂路で単走。今にも全力で走り出したいところだが、懸命に我慢して鞍上の指示を待った。姿勢も低く、パワフル。最後まで我慢しきった。
ビシビシと攻めまくっていた近2戦に比べると、この中間というのは随分と研ぎ澄ます方向の調整へと以降できたように思う。おそらく、それぐらいに昨年の上半期というのは同馬にとって苛酷だったのだ。振り返ってみれば、それもそうか。ドバイへ遠征し、それを引きずったままでの安田記念激走…。おそらく、昨年の一夏を完全にリセットの期間に充てざるを得ないほどストレスフルな状態に陥ってしまっていたのだろう。
その甲斐あって、心身を異常な緊張状態から開放することには成功した。しかし、今度は弛み過ぎてしまったのだろう。故に筋力を戻すという身体的な意味でも、走る方へとネジを締め直しするという精神的な意味でも、近2戦というのはビシビシと攻めていたとみる。そして、ようやく研ぎ澄ます作業が行えるまでになったのが今回。研ぎ澄ますとは、簡単に言えば、レースへ向けてのプラスアルファである。要は、今までは戦える状態まで、しかし今回は勝ちを意識できるレベルまで引き出しにきたということ。その証拠が近3戦で見れば初となる1週前の実戦形式の併せ馬。あの踏み込みの深さにメリハリの効き具合いなら着実に良化していきていることは明らか。
あとは良馬場の方が良いタイプなだけに、当日の馬場次第か。

■8枠18番 ダノンスコーピオン【評価B】
 福永厩舎[西] 戸崎騎手

[1週前] 助手 [5月24日(金)追い]
【美浦坂路】 良 62秒0-42秒7-26秒5-12秒4 馬なり
[今週] 調教師 [5月30日(木)追い]
【美浦南W】 良 85秒1-69秒1-53秒6-38秒4-10秒8 馬なり

馬場コンディションがいい時間帯だったとはいえ、1F10秒8は優秀なもの。手脚が良く伸びた滑らかなフォームは、スピード感にあふれている。体もふっくらと見せており、早めに美浦に入って調整を続けてきた甲斐はあった。一時のスランプは抜けたとみてよく、流石は福永厩舎と言ったところ。
大外枠がどう影響するかは何とも言えないが、注意は必要。