【高松宮記念】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【高松宮記念】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


1枠1番 ビッグシーザー【評価B】
 西園正厩舎[西] 吉田隼騎手

[1週前] 助手 [2月28日(水)追い]
【栗東坂路】 良 50秒9-36秒5-24秒0-12秒2 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒2-37秒1-24秒1-11秒9 馬なり

坂路で単走。直線を向いた時、右に行こうとして矯正されたが、その後は真っすぐに前を向き続けて集中力を維持した。四肢も軽快に動いており不満はない。中2週は3歳以降で最短のローテとなるが、一時期の不振から抜けてきていることからも当日の馬場状態によっては注意が必要。

1枠2番 マッドクール【評価C】
 池添厩舎[西] 坂井騎手

[1週前] 坂井騎手
【栗東CW】 不 80秒8-65秒6-51秒1-36秒3-11秒1 一杯
[今週] 坂井騎手
【栗東坂路】 良 54秒2-38秒8-24秒8-11秒7 馬なり

 坂路で単走。首をあまり動かさず、四肢の動きも重苦しいが、それでもラストで追われると11秒7と時計が出た。もう少し活気があればと思うが、この馬の特徴なのだろう。追い切りからは少し重く映るのは確かだが、道悪をこなせる点には警戒が必要。

2枠3番 ナムラクレア【評価A】
 長谷川厩舎[西] 浜中騎手

[1週前] 浜中騎手
【栗東CW】 不 86秒7-70秒5-54秒7-38秒3-11秒3 強め
[今週] 調教師
【栗東CW】 良 82秒9-66秒0-50秒8-36秒5-11秒5 一杯

前走から中4週というローテーションの今回だが、2週前の追い日の時点で早くも坂路で目一杯、1週前の追い日は恒例となっているCWコースでの折り合い重視のメニューを消化し、直前の追い日はいつもの坂路ではなくCWコースに入れて単走ながら意欲的に目一杯。
CWコースで単走。4角を回って、手前を替えるタイミングは完璧。徐々に四肢の回転がパワーを増し、スピードに乗ってフィニッシュ。後肢の可動域の大きさ、蹴りのパワーの強さが目を引いた。
その上で1つ。
一見すると一叩きしての本番らしく上積みを絞り取れるだけ取っての臨戦のように感じるかもしれない。
しかし、これに今までの同馬の調整と実際の動きを紐付けると個人的には疑問が生じる。
重箱の隅をつつくような話ではあるが、そもそも、もう完成を迎えている5歳の牝馬である。
ここまでする必要もないと思うのだが…。
確かに、ここまでG1だけは制せていない。そこへの思い故に調整に熱が入っているのは間違いない。しかし、ここまでフレッシュな久々の方が好走してきている同馬に叩き2戦目のここで強負荷を課すメリットがそれほどあるとは思えないのだが。実際、いつも以上にズブさが目立ってしまって1週前など追いつけずに遅れてフィニッシュしていたので、評価はAまで。この疑問点が「良い方に出るのか」それとも「悪い方に出るのか」は、当日の馬体のハリや活気を確認すべきであるということは申し上げておく。もちろんベストの距離だけに、ベテランらしく安定して力は発揮してくれるとは思っているが、さて結果や如何に。

2枠4番 モズメイメイ【評価C】
 音無厩舎[西] 藤岡佑騎手

[1週前] 助手 [3月14日(木)追い]
【栗東坂路】 稍 53秒4-38秒3-24秒8-12秒5 馬なり
[今週] 藤岡佑騎手
【栗東坂路】 良 52秒5-38秒1-24秒6-12秒8 馬なり

 坂路で併せ馬。僚馬とは逆の方向に首を向けて前へ。併せ馬の形としては、やや不満が残る。手応え的には最後まで楽。潜在能力が高いことはうかがえたが、それでも、坂路ラスト1F12秒8は最終追いとしては自身最も遅い数字。このソフト調整がどうでるか。

3枠5番 トウシンマカオ【評価B】
 高柳瑞厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] 助手 [3月17日(日)追い]
【美浦南W】 良 69秒9-55秒1-39秒6-11秒9 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 67秒7-52秒7-38秒0-11秒4 馬なり

同馬については、まずはそのキャラクターからお話ししたい。
外が伸びる馬場に助けられたとはいえ、アッという間に他馬を置き去りにした2走前の京阪杯。そして一転して正攻法の形から地力の違いを見せつけるかのように捻じ伏せてみせた前走のオーシャンS。この連勝振りに加えて今回より鞍上には国内屈指の名手であるルメール騎手を配しての臨戦。なるほど、いよいよ悲願のG1制覇獲りの時は来たと感じている方が多いのも納得でしかなかろう。
ただし、大いに気になる点が一点存在する。
それは、この馬というのは今までも「勝つ時だけは常に派手だった」という事実。
それこそ新馬戦然り、クロッカスS、オパールSに2022年の京阪杯に近2走と全6勝全てがそうなのだ。むしろ、それだけ派手に勝てる能力を備えていながらも何故に5歳の今の今まで大成してきていないのか。
そう、力はあるがコンスタントに発揮できないのである。これこそが同馬のキャラクター。
その上で今回の中間に目をやる。
日曜に前走後の初時計。順調に立ち上げ、今週は単走追い。少し外に流れるようなところはあったが、ゴール前は手脚が良く伸びてスピード感にあふれた伸び脚。5F67秒7ー3F38秒0ー1F11秒4。大きな上積みはないが、前走の出来はキープできている。中2週もデキは引き続きOK。ただし、スプリンターでありながらも脚が長いバランスであるが故に不器用で、どうしても回転力勝負のスプリント戦だと機動力で劣ってしまう点は忘れてはならない。G1の流れで近2走のようにスムーズに立ち回れるかがカギ。

3枠6番 ルガル【評価S】
 杉山晴厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 西村淳騎手
【栗東坂路】 不 51秒3-37秒3-23秒8-11秒9 一杯
[今週] 西村淳騎手
【栗東坂路】 良 51秒1-36秒6-23秒6-11秒7 馬なり

坂路で単走。首をリズムよく動かして走りに集中。前脚はしっかりと前方をつかんでいる。他厩舎の馬にちらりと視線を送るあたり、闘志もかなりのもの。道悪実績もあるし、ここにきての成長ぶりも著しい。ここ数戦は1週前に比べれば当週の時計は遅めというパターンだったが、GIということもありおつりを残さずしっかり仕上げてきた。この馬としての出来は過去最高といえる。あとはGIで通用するポテンシャルか否か。この馬は発馬がカギだろう。

4枠7番 テイエムスパーダ【評価C】
 木原厩舎[西] 富田騎手

[1週前] 富田騎手 [3月14日(木)追い]
【栗東CW】 稍 79秒6-65秒6-52秒1-38秒0-12秒1 一杯
[今週] 富田騎手
【栗東坂路】 良 51秒5-37秒3-24秒5-12秒1 強め

坂路で単走。いつもそうなのだが、行きたい気持ちが前面に出すぎてしまっている。ラストは12秒1だが、最後に手前を替えたり、重心がブレたりで、あまり印象は良くない。

4枠8番 ソーダズリング【評価A】
 音無厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 不 51秒4-37秒6-24秒7-12秒3 馬なり
[今週] 武豊騎手
【栗東坂路】 良 50秒9-36秒6-23秒9-11秒7 馬なり

坂路で単走。全身をめいっぱい使い、素晴らしくスピードに乗った。見た目以上にタイムが速く、これは完歩が大きいため。目下、絶好調といえる仕上がりといえるので、後は道悪をこなせるか否か。

5枠9番 シャンパンカラー【評価C】
 田中剛厩舎[東] 吉田豊騎手

[1週前] 調教師 [3月14日(木)追い]
【美浦南W】 稍 79秒8-63秒7-49秒5-35秒9-11秒4 直強め
[今週] 吉田豊騎手
【美浦南W】 良 65秒2-50秒2-36秒2-11秒1 馬なり

吉田豊を背に併せ馬。前半は行きたがるのを引っ張って我慢させたこともあって気負いが目立ち、走りのリズムはひと息。直線はうまく息が入って伸びたが、課題を残す仕上がり。馬体ももうひと締まりほしい。NHKマイルCで発表以上に力のいる馬場での好走があるが、初のスプリント戦での対応力が問われる。

5枠10番 ビクターザウィナー【評価B】
 C・シャム厩舎[海外] K・リョン騎手

[1週前] 記載なし
※12日に来日して競馬学校で調整
[今週] K・リョン騎手 [3月19日(火)追い]
【中京芝】 良 68秒5-53秒7-39秒3-11秒2 馬なり

まずはこの馬のキャラクターを申し上げると、「とにかくゲートを出るのがめちゃくちゃ速い」という馬。
香港から遠征参戦となる今回、かなりのキーホースとなる。
というのも「この馬が本気でここでの勝利を目指しているのか」についてしっかり見極める必要があるということ。一部では「同厩のロマンチックウォリアーが安田記念に通用するか否かの”モノサシ”として、同馬を日本馬と対決させるために連れてきた」という話も聞こえ漏れてくるのだ。ただし、逃げたい馬である以上その話が「戦略的なブラフ」の可能性もあることは忘れてはならない。
最終調整は中京競馬場の芝コースを馬なりで息を整えた。先行するとスピードの乗りもよく、しぶとい。前走で持ち前の力を発揮してV。スプリント王国の香港でのGI馬であり、ポテンシャルはむしろ格上。流れ次第で十二分にチャンスがあることは認識しておくべきだろう。

6枠11番 メイケイエール【評価C】
 武英厩舎[西] 池添騎手

[1週前] 池添騎手 [3月15日(金)追い]
【栗東坂路】 良 52秒0-37秒8-25秒0-12秒8 末強め
[今週] 池添騎手
【栗東坂路】 良 53秒1-38秒0-25秒1-12秒9 末強め

坂路で単走。首が高く、やや危なっかしい感じは相変わらず。とはいえ、脚さばきはパワフルで、チップも力強く飛んでいる。ただラストは12秒9でやや物足りない。

6枠12番 ロータスランド【評価B】
 辻野厩舎[西] 岩田康騎手

[1週前] 助手 [3月14日(木)追い]
【栗東CW】 稍 85秒7-68秒8-53秒2-37秒9-11秒4 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒4-38秒1-24秒2-12秒0 強め

坂路で併せ馬。僚馬とピタリと並び、闘志をぶつけ合うという理想的な追い切り。ラストの抜け出し方はきれいで脚さばきも優雅。調子の良さをうかがわせた。この動きからも「力が衰えた」という感じは全くないし、実際に昨年のスワンSではルガルに先着している。 高松宮記念で、なおかつ道悪は過去に走った実績のある条件。12番枠になったのは微妙だが、鞍上の性格を考えれば一か八かで、どこかで内に潜り込んでくる可能性はある。そこは要注意。

7枠13番 ウインカーネリアン【評価S】
 鹿戸厩舎[東] 三浦騎手

[1週前] 三浦騎手
【美浦南W】 重 79秒7-64秒3-50秒4-36秒6-11秒5 強め
[今週] 三浦騎手
【美浦南W】 良 84秒7-68秒5-53秒2-38秒4-11秒5 馬なり

中間も三浦が付きっ切りで調整を続けており、1週前は6F79秒7の好時計。併せた相手を置き去りにして見せた。今週は三浦騎乗で単走追い。馬場の大外に持ち出すと、バネの利いたフォームで一直線の伸び脚。覇気も旺盛で、ひと叩きの上積みを感じる。
この中間の同馬の素晴らしい動きと気配を見ていると、やはり海外への輸送後というのは心身のバランスを整える難易度が格段に上がるのだなと痛感した。元々がそれほどタフではないという同馬のナイーヴな一面が大きく影響しているのかもしれないが、とはいえ、最早いつが良くて、いつが悪かったかなど、この馬の場合は明らかでしかないのだ。前述した通り、この馬の元来のキャラクターは「非タフにして不健康」。
昔から些細なことで順調さを欠いてきたし、爪の病気から長々と戦線を離脱したりもしてきた。
しかし、「数少ない良い時」というのは決まって大きなアクションで颯爽と動いてきたのである。
例に出すなら2年前の関屋記念に昨年の東京新聞杯が解りやすいか。
そして、この2戦に共通していることは、ストレスのない順調な暮らしの中でシッカリと充電期間が設けられていたこと。
おそらく素直な馬なのだろう。
だからこそ、心身どちらの僅かなストレスにも反応し調教の動きすら鈍る(小さくなる)のでは。
その点、今回は理想の過程だけあって文句なく良い。
確かに初距離ではある。とはいえ、スピード勝負なら本場アメリカで経験済み。今のデキなら面白い。

7枠14番 ママコチャ【評価C】
 池江厩舎[西] 川田騎手

[1週前] 水口騎手
【栗東CW】 不 80秒2-65秒2-51秒0-36秒6-11秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒7-38秒7-24秒7-12秒1 強め

坂路で単走。顔を右に左にと向けて、集中しきれていない点は気になる。脚さばきもやや重苦しい。それでもラスト12秒1でまとめるあたりがGI馬のポテンシャルだがさてどう評価するか。
昨秋にG1スプリンターズSを制覇。
名実共に今回は迎え打つ立場である同馬だが、この中間の動きを見ると、正直そこまでの迫力は感じない。
それこそ、前走時の阪神Cの時もそうだったが、左右にブレるような格好で登坂するようになってしまった。
かつては気負いこそ強いものの回転力十分のフットワークでリズミカルに真っ直ぐと駆け上がっていたのだが…。
そして、見直してみた1週前のCWコースでのアクションを見て、やはり何かがおかしいことを確信する。
メニューとしては折り合い重視の実戦形式。追走する形から先導馬を目標に内からタイミング良く並びかけるといったもの。はっきり言ってオーソドックス。折り合いに苦労してきた同馬だからこそ、こんなものは散々経験済み。というより、とっくにマスターしたはずなのだ。しかし、これができなかったのである。一旦抜け出して再度待つ形。ここまではスピードの違いもあり仕方ない。だが、そこからが問題。まさか並ばれると止めるかのように失速するとは…。どうも最後まで集中力が保てなくなっている印象。馬っぷりは良く、前回よりはいいのは間違いないが、温かいときの方が良い馬で、昨年のスプリンターズSの時までには及ばない様子。感触的には、八分前後といったところか。道悪も歓迎ではなくこの評価。

7枠15番 ディヴィーナ【評価C】
 友道厩舎[西] M・デムーロ騎手

[1週前] 助手 [3月14日(木)追い]
【栗東坂路】 稍 54秒2-37秒9-24秒4-12秒2 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒5-38秒2-24秒7-12秒4 末強め

坂路で単走。首の動かし方が一定でなく、走りに集中しきれていない印象を与える。スピードはまずまず出たが、もっときれいなフォームで走れば、もっと速いタイムを刻めたはず。

8枠16番 ウインマーベル【評価S】
 深山厩舎[東] 松山騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 重 67秒3-52秒1-37秒5-11秒5 強め
[今週] 助手
【美浦南W】 良 67秒2-52秒8-37秒4-11秒2 馬なり

以前はケイコは地味で、併せ馬で遅れることもしばしば。
基本的に同馬は硬くなりやすい。つまりクッションが弱く自身が生み出すパワーの反動を必要以上に受けてしまう。その結果、動き切れなくなる。これが3走前までの同馬の状態の真実ではないだろうか。
結果、動けない=モチベーションダウンで煮え切らない昨秋のパフォーマンスとなったのだろう。
ところが昨秋ぐらいからケイコの動きが変わり、たっぷりと充電期間を設けた2走前に見事に立て直しに成功し、今日に至る。
今回はレース間が詰まるが、そこはPコースを使用して疲労を抜いたりと工夫済み。
肝心の動きにも硬さがないのだから何も心配はあるまい。
併せ馬では負けないし、速い時計を軽々とたたき出せるほど。
乗り手を交代させて重心を下げるような騎乗を繰り返したことで、フォームに推進力が出て、前へ前へと動けるようになった。
1週前は併せ馬で先着。日曜には6F79秒6ー1F11秒4の好時計。今週は前を見ながら余裕の追走。直線で内に潜ると手応えたっぷりに伸びて1F11秒2。パンパンに張った馬体からも出来に隙はない。出来は文句なし。あとはこの外枠をどう克服するか。

8枠17番 マテンロウオリオン【評価B】
 昆厩舎[西] 横山典騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 不 51秒7-37秒9-24秒8-12秒9 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒0-39秒1-24秒6-12秒0 末強め

坂路で併せ馬。完全に折り合いを欠いているシーンがある点はいただけない。最後、僚馬が迫ったところを振り切った点は悪くないが、全体で見れば評価はしにくいわけだが、その気性こそがスプリント戦への路線変更の理由だろう。
以前からスプリント路線への参戦を匂わせていたマテンロウオリオン。
見栄えの良くない追い切りではあったが、だいぶピリッとしてきたのも事実で「もう一列前ぐらいで流れに乗れるか否か」がカギになりそう。少し渋るぐらいの馬場なら対応できるタイプで、一か八かの乗り方に徹してきそう。大穴候補に一考。

8枠18番 シュバルツカイザー【評価B】
 大竹厩舎[東] 大野騎手

[1週前] 助手 [3月14日(木)追い]
【美浦坂路】 稍 57秒4-41秒9-27秒4-13秒4 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 82秒1-66秒3-50秒7-36秒5-11秒2 馬なり

スタートから押さえきれないほどの走りっぷり。4角まで引っ張ったままの手応えだったが、直線で手綱を緩めると一気に反応して豪快に伸びきった。6F82秒1ー3F36秒5ー1F11秒2。やる気になればいくらでも動いてしまいそうなほどで、激戦後の中2週とは思えないほど、活気に満ちあふれている。