現場の裏話コラム|vol.2|栗東発:豪脚での2着がむしろ評価を落とすことに繋がってしまった若手有望騎手。

現場の裏話コラム|vol.2|栗東発:豪脚での2着がむしろ評価を落とすことに繋がってしまった若手有望騎手。

先週の秋華賞ではさすがの強さで3冠達成を決めたリバティアイランド。
歴史的名牝馬が確定した瞬間でもあり、栗東トレセンも大盛り上がりだったという。

「アーモンドアイも2018年に3冠を決めているが、あれは関東馬だったからね。2020年のデアリングタクトも当然すごい馬ではあったが、やはりすごみという意味では今回の方が上。今の古馬路線は関東のイクイノックスがリードしており、関西としてはやきもきしている部分もあった。次はジャパンカップで対決するのか?いずれにしてもスーパーヒロインの誕生は喜ばしいことだね」

と栗東の関係者は語る。
どこまで強いのか、今後は強敵が待ち構えるだけに楽しみだ。

一方、このレースに関してはこんな声も聞かれた。

「マスクトディーヴァの最後の脚はすごかった。まともに乗っていれば勝てたんじゃないか。もちろん、リバティも余力はあっただろうけど、あの小回りであれだけの追い込みを見せるのは至難の業。乗り方ひとつで逆転できたのでは、という声が聞かれたのは事実」

と語るのは、栗東の古株調教師。

そして「ジョッキーの差があった、という声が出てきても仕方がないかもしれないね。岩田望騎手は将来有望ではあるけど、まだ中央GIを勝っていないから」と辛らつな意見も口にしていたのだ。

岩田望騎手といえば、岩田康騎手の息子でデビュー時からその素質を開花させていた。
ルーキーイヤーにいきなり37勝を挙げて新人賞に輝くと、2年目は一気に76勝とジャンプアップ。
重賞を勝てずに周囲から「勝負弱い」といわれ、重賞で連敗を続けていたが、昨年からは重賞でも結果を出し始めている。
交流GⅠで初Vも決めており、勝ち星は100勝を突破。今年はさらに勢いが加速しており、ここまで重賞を5勝、ワールドオールスタージョッキーズでも優勝を飾るなど、一流の座をモノにしたようにも見えたのだが…。

「実はメンタル的にそこまで強くない、という話もありました。デビュー時から恵まれた環境で、一流の藤原英厩舎がバックアップ。さらに敏腕エージェントもついて、乗り馬に困ることがなかった。いわゆる雑草的な要素が少なく、それが一時期の重賞連敗にもつながっていたようです。今回はチャンスのある馬だっただけに、もっと積極的に運ぶべきだった。勝ちを意識して前々で運んだルメール騎手のハーパーの方が、『負かしにいった』競馬でしょう。直線で絶望的な位置だったのはもったいなかった。これを糧に思い切った乗り方を身に着けないと、なかなかGIは勝てないですよ」

と前出の古株調教師。

そろそろひとかわむけることができるか。

栗東トレセン情報部:田所