【NHKマイルカップ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【NHKマイルカップ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 ダノンマッキンリー【評価C】
 藤原厩舎[西] 北村友騎手

[1週前] 北村友騎手
【栗東CW】 稍 64秒6-50秒9-36秒8-11秒7 一杯
[今週] 北村友騎手
【栗東CW】 稍 66秒8-51秒1-36秒5-11秒6 馬なり

CWコースで単走。道中からスピードが上がり、直線へ。手前を替えることなく直線半ばまで夢中になって走った印象。最後は落ち着いて脚を伸ばしたが自分をコントロールできるかが鍵に。前走は全てが上手く行った感もあるし、能力的にはあれくらいやれて当然の馬。ただ乗りにくいところがあるのでGIではそのあたりがネックになりそうで、折り合えるかどうかだけ。

■1枠2番 ノーブルロジャー【評価A】
 吉岡厩舎[西] 松山騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 56秒9-42秒0-27秒0-13秒2 馬なり
[今週] 松山騎手
【栗東坂路】 稍 55秒1-40秒4-26秒3-13秒1 馬なり

坂路で併せ馬。相手に合わせた動きだが、リズムが一定で首の動かし方も悪くない。土曜追い坂路4F50秒8(一杯)は自己ベスト。追い日のタイムは普通だが、それ以上の評価はしてよい。

■2枠3番 ディスペランツァ【評価A】
 吉岡厩舎[西] 鮫島駿騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 56秒4-41秒5-26秒9-12秒8 馬なり
[今週] 鮫島駿騎手
【栗東坂路】 稍 55秒4-40秒3-26秒2-13秒2 馬なり

坂路で併せ馬。パートナーも走る馬と見えて、なかなか並ぶことができなかったが、それでも四肢は高く上がっており、走りそのものは評価できるレベル。最後に馬体を寄せていった点は評価したい。

■2枠4番 イフェイオン【評価C】
 杉山佳厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 長岡騎手 [4月25日(木)追い]
【栗東CW】 稍 66秒8-50秒9-35秒5-11秒4 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 56秒7-41秒6-27秒5-13秒3 馬なり

坂路で単走。首が高く、まだまだ力を地面に伝えられていない感じ。ラストで集中力を欠くしぐさが見られた点もマイナスで、このメンバーに入るとパンチ力不足は否めない。

■3枠5番 ボンドガール【評価B】
 手塚厩舎[東] 武豊騎手

[1週前] 嶋田騎手
【美浦南W】 稍 82秒9-65秒9-50秒7-36秒0-11秒0 G前仕掛け
[今週] 嶋田騎手
【美浦南W】 重 85秒5-68秒7-52秒9-37秒6-11秒2 馬なり

嶋田を背に単走追い。全身バネのようなしなやかなフォーム。馬場の大外に持ち出すと直線は一気に加速してズバッとはじけた。5F68秒7ー3F37秒6ー1F11秒2。スピード感にあふれ、覇気も旺盛。前走も決して上手く乗った訳じゃない。頭を上げる敏感な面はあるが、今回は順調だし、馬体もグッと実が入り、前走からの上積みは十分。

■3枠6番 ロジリオン【評価B】
 古賀厩舎[東] 戸崎騎手

[1週前] 北村宏騎手
【美浦南W】 稍 83秒0-66秒3-51秒2-36秒6-11秒4 馬なり
[今週] 戸崎騎手
【美浦南W】 重 84秒1-67秒3-51秒6-37秒0-11秒4 馬なり

戸崎を背に併せ馬。前を見ながら一完歩ずつ着実に差を詰めると、直線は内へ。馬体が並ぶと気合が前面に出て、引っ張り切れないほどの手応えを披露。最後まで手綱をガチッと締めたままだったが、フットワークは弾んでいた。5F67秒3ー3F37秒0ー1F11秒4。肌を薄く、しっとりと見せているように、体調はかなりいい。

■4枠7番 チャンネルトンネル【評価B】
 福永厩舎[西] 岩田望騎手

[1週前] 調教師 [4月28日(日)追い]
【栗東CW】 良 68秒8-53秒5-38秒2-11秒7 馬なり
[今週] 岩田望騎手
【栗東坂路】 稍 54秒6-39秒8-25秒8-12秒9 馬なり

坂路で単走。フォームは悪くないのだが、時折、首がゆっくりと上がる点が気になる。最後まで集中しきれていない。もう少し集中力が持続すれば、一皮むけてくるはず。とはいえ前回は転厩直後の競馬で全てが半信半疑だったし、テンションも少し高かったが、よく走った。以前の左に行く面もだいぶ修正できている。中2週で長距離輸送はあるが、今回の方が色んな面で上積みは見込める。前走は外を走ってタイム差なしの3着と中身は濃い。

■4枠8番 エンヤラヴフェイス【評価C】
 森田厩舎[西] 菱田騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒4-39秒5-25秒8-13秒1 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 54秒0-39秒5-25秒7-12秒9 一杯

坂路で3頭併せ。じわじわと前に出てパートナーを一蹴。手応え的にも悪くなかった。
ただGIでの好走となるとワンパンチ足りないように映る。

■5枠9番 キャプテンシー【評価A】
 松永幹厩舎[西] M・デムーロ騎手

[1週前] M・デムーロ騎手
【栗東CW】 稍 82秒6-68秒0-54秒1-39秒2-12秒1 稍一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 53秒4-38秒8-25秒4-12秒6 馬なり

坂路で併せ馬。気持ちが散漫なパートナーに対して、こちらはラチ沿いを真っすぐに上がった。脚さばきも一定で文句なし。最後に追いつかれたのも、相手を待ったためで問題ない。
まさかの殿負けと人気を大きく裏切る結果に終わってしまった前走だが、そもそもが危い気性の馬で、前向き過ぎるだけでなく、何かあるとカッと頭に血が上るような瞬間湯沸かし器的な性格。いつ暴走したとしても特に不思議なタイプではなかった馬が、スタート直後の接触により、その一面が表面化…。これが前走の嘘、偽りのない真実といったところであろう。
しかし、だからといって今回も無視すべきかというとノーだろう。
何せ、気性的な危うさを多分に秘めているとはいえ、まともに走ると同馬は手がつけられない。
それこそ2走前のように気分さえ害されることなく運べてしまえば、芝のマイルを楽に1分32秒台でまとめられるだけの能力の持ち主。
そこで注目すべきが直前の坂路のラップ。
急加速した前走時と違い、今回は緩やかな加速に成功している。これこそが前走で暴走した代償、ガス抜きに成功した証とみる。活気自体も十分で大敗のショックを引きずった様子もないだけに一変に要注意。

■5枠10番 ウォーターリヒト【評価C】
 河内厩舎[西] 菅原明騎手

[1週前] 助手 [4月26日(金)追い]
【栗東坂路】 良 54秒6-39秒3-25秒3-12秒3 末一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 54秒7-39秒7-25秒5-12秒7 一杯

坂路で併せ馬。自分の走りに集中して、パートナーが目に入っていない点はマイナスする必要はないだろう。ただ、相手の方が手応えが良かった点がどうか。

■6枠11番 アレンジャー【評価S】
 昆厩舎[西] 横山和騎手

[1週前] 助手 [4月28日(日)追い]
【栗東CW】 良 79秒9-64秒0-49秒3-35秒4-11秒5 一杯
[今週] 横山和騎手
【栗東坂路】 稍 53秒1-38秒3-24秒7-12秒7 馬なり

坂路で単走。重苦しさのない軽快な脚さばき。首をリズミカルに動かし、跳ねるように四肢が動いた。最後まで実に軽やか。日曜追いのCW5F64秒0は自己ベスト更新で、今回同様「中2週で関東遠征」だった1月のジュニアC(4着)時は日曜追いせず、当週の1本のみだけだった。今回はしっかり追えている点も含め十分な上積み。レースでは伏兵扱いだろうが状態はピークで迎えられそうで、追い切り評価はSとさせていただいた。あとは単純に能力が足りるか否か。

■6枠12番 ゴンバデカーブース【評価B】
 堀厩舎[東] J・モレイラ騎手

[1週前] 助手 [4月25日(木)追い]
【美浦南W】 稍 82秒8-65秒9-50秒6-35秒6-11秒3 一杯
[今週] J・モレイラ騎手 [5月2日(木)追い]
【美浦坂路】 重 52秒5-37秒6-24秒5-12秒3 末一杯

モレイラ騎乗で坂路で併せ馬。馬なりのパートナーについて行くのが精いっぱいという見栄えの悪い追い切りだったが、これは相手も動き過ぎたということを忘れない方が良い。もちろんダービー前の一叩きという面はあるが、そもそもが牡馬ながらにコンパクトな馬体の作りで仕上がりには手間取らぬタイプ、ある程度の基礎さえできてしまえば、そこからは早い。いい頃の迫力ある動きまでは見られなかったが、モレイラが騎乗した最終の坂路4F52秒5ー3F27秒6ー1F12秒3に関してはモレイラも90点をつけていた。能力でどこまで食い下がれるか。

■7枠13番 シュトラウス【評価A】
 武井厩舎[東] 北村宏騎手

[1週前] 北村宏騎手
【美浦南W】 稍 94秒2-78秒8-65秒0-51秒4-37秒4-11秒2 馬なり
[今週] 北村宏騎手
【美浦南W】 重 95秒2-78秒9-64秒2-49秒9-36秒0-11秒2 馬なり

この中間より調教を変えてきた。
今までの抑え込む形ではなく、そこそこ速いラップを刻み続けるという調整へ。毎週のように課してきただけあって、成果は上々。おそらくスンナリなら実戦でも何ら問題なく、このリズムを再現できるのでは。しかも、相乗効果で負荷もかかり馬体の研ぎ澄ましも進みまくり。折り合いという課題は残すも、馬体、動きともにスケール感は抜群。1週前は北村宏を背に掛かりながらもラスト1F11秒2でまとめる圧巻の動き。今週も北村宏が騎乗。目の前から出して馬場を1周。前半をゆったりとした入りで、7Fからペースアップ。道中は我慢させながらもコーナーさばきはスムーズ。直線は無理なく馬の気に任せたが、フットワークは迫力満点。7F78秒9ー3F36秒0ー1F11秒2。肌もしっとりと見せて体調自体は文句なし。あとはレースに行っての折り合いだけ。折り合い次第では一発も。

■7枠14番 アスコリピチェーノ【評価S】
 黒岩厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] 北村宏騎手 [4月25日(木)追い]
【美浦南W】 稍 79秒4-65秒0-50秒8-36秒9-11秒1 直強め
[今週] 助手
【美浦南W】 重 82秒2-66秒1-51秒0-36秒9-11秒1 馬なり

1週前は北村宏を背に併せ馬。直線は並ぶ間もなく差し切って4馬身の先着。6F79秒4ー3F36秒9ー1F11秒1と数字も速く、動きの鋭さを含めて完璧なケイコ内容だった。今週も併せ馬。前を走る僚馬を目標に進むと、直線はスッと内へ。相手に合わせる余裕を見せながら最後まで引っ張ったままだったが、鋭く伸びきった。6F82秒2ー3F36秒9ー1F11秒1。馬体も柔らかく、肌もピカピカ。前走からさらに良くなった。中3週ながら、これだけの強度を課し、なおかつ恐いぐらいの集中力まで保たせているのだから大したもの。競っての勝負強さも相変わらず。
あとはルメール次第か。
骨は勿論くっついておらず、テーピングで止めただけ。本人が乗りたいというので今週から復帰で日曜3頭だけ乗るが、馬自体は状態が良いのでしっかりと御せるのかが鍵。

■7枠15番 マスクオールウィン【評価C】
 牧厩舎[東] 岩田康騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 66秒3-51秒2-36秒6-11秒6 強め
[今週] 助手
【美浦南W】 重 83秒2-66秒8-51秒9-37秒5-11秒5 馬なり

跳びが大きく見た目のスピード感はひと息も、直線は2頭の間から楽に抜け出す迫力のある伸び脚。6F83秒2ー3F37秒5ー1F11秒5。ハミを替えて乗りやすくなってると思う。力感あるフォームに馬体もはち切れんばかりの状態で仕上がりは前走以上。ただし、基本的には1200~1400mの馬に見える。今回の岩田康騎乗も、「難しいところがあるのでどうしても乗って欲しい」と調教師が指名したとのこと。となると勝ち負けよりもレースで色々と学ばせることが先決になるか?

■8枠16番 ジャンタルマンタル【評価B】
 高野厩舎[西] 川田騎手

[1週前] 助手 [4月28日(日)追い]
【栗東坂路】 良 59秒1-43秒0-27秒6-13秒2 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 稍 56秒7-40秒9-26秒2-12秒3 馬なり

皐月賞から中2週、当然ながら状態面に上昇の余地などあるはずがない。
それはそうだろう。そもそもが気の良いタイプで仕上がり早、ほっといても仕上がり切ってしまうような馬なのだ。そんなキャラクターが適正距離ギリギリの芝2000メートルで、しかも激流の中を更に早目先頭という負担の大きい競馬をしたとなれば余力など残っているわけがない。
それこそ、レース後など疲労困憊で倒れそうなぐらいだったのでは。要するに前走というのは強い競馬をし過ぎてしまったということ。ある意味で皐月賞をパスして適正距離ドンピシャの今回だけに照準を定めていれば、よっぽど無難にG1のタイトルを獲れていただろう。まぁ、そうはしなかった辺りが陣営の心意気ではあるが…。
そしてその代償は小さくはなかった。やはり、心身共にキツいのだろう。この中間は、今までになくヨレたりと乱れたりが目につく。しかし、それでもラストだけはスッとギアがトップに上がるのだから大したもの。この類稀な操縦性の高さが生きている限り、追い切り自体の評価はBどまりとはいえ、レースで無視などできぬ。

■8枠17番 ユキノロイヤル【評価C】
 小野厩舎[東] 石橋騎手

[1週前] 石橋脩騎手
【美浦坂路】 稍 54秒0-39秒8-25秒9-12秒4 一杯
[今週] 助手
【美浦南W】 重 84秒8-68秒2-52秒4-37秒6-12秒1 強め

1週前は坂路でビシッと追って直前はコースで併せ馬の順調な過程。ただ、モタつく相手に合わせたとはいえ、ゴール前は促しても反応できず。ワンペースで切れを欠く内容で、上積みとなると疑問。

■8枠18番 アルセナール【評価B】
 木村厩舎[東] 横山武騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 96秒4-80秒6-65秒3-50秒5-36秒8-11秒3 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 重 68秒2-52秒4-37秒6-11秒4 馬なり

長めを意識させながら入念な乗り込みを消化。1週前は7Fから96秒4ー3F36秒8ー1F11秒3とビッシリと攻め込んだ。その甲斐あって今週は3頭合わせの真ん中からうなるような勢い。手綱をガチッと押さえたまま、最後はグイッと前に出て先着。5F68秒2ー3F37秒6ー1F11秒4。体の成長はゆっくりだが、動きはピリッとしてきた。