現場の裏話コラム|vol.57|世代交代の足音2025年リーディング争いの行方

現場の裏話コラム|vol.57|世代交代の足音2025年リーディング争いの行方

 謹賀新年。今年もどうぞよろしくお願いします。2025年を迎え、栗東トレセンでも各関係者が新年の挨拶を行っており、馬券で儲かったマスコミも儲からなかったマスコミも、気持ちを新たにして取材に励んでいる。年が変わるとどんなジョッキーや調教師でも期待と不安が入り交じる。以前、毎年トップクラスの成績を収めているジョッキーが「リーディング表の数字がみんな0になる。当然、僕だって0勝からのスタートになる。もしかしたらこのまま勝てずに数字が伸びないんじゃないか、と不安になってしまうこともある」と語っていた。トップジョッキーですらそう思うのだから面白いものだ。

 さて、昨年はルメール騎手が176勝を挙げて2年連続7度目のリーディングに輝いた。最近は川田騎手と熾烈な争いを繰り広げることが恒例となっているのだが、「今年はそろそろ世代交代があるんじゃないか」という声が、厩舎関係者から多く聞かれた。若手で伸び盛りの坂井瑠星騎手が流れを変えるのではないか、というのである。普段から交流を持つ、某厩舎関係者は次のように話した。
「2016年にデビューして、確実に力をつけている。父が大井で活躍した坂井英光騎手。トップ級の成績を収めていたが、一方で結構遊び人だったといわれている。そんな父からいろいろとダメなことも教わり、瑠星自体はひたむきに競馬と向き合ってきた。デビューしてから数年は、本当にそんなに遊ばないでいいのかと不安になるくらいまじめだったね。自分でも『競馬マニア』と話していたくらい。ただそのマニアぶりがしっかりと実を結んで、技術の向上につながっている。海外へも積極的に遠征して腕を磨いてきた。武豊騎手もかなりの評価をしているジョッキー。今年はリーディング争いに加わるのではないか、と思っている」

 坂井騎手は昨年115勝を挙げてリーディング4位に食い込んだ。その中身も非常に濃く、フォーエバーヤングと世界中を転戦。マッドクールで高松宮記念を制するなど、国内でも存在感を示していた。前出の関係者は「昨年春に食事をした時、今年は100勝が最低ノルマと話していた。目標をかなり高く持っていたのだろうと思う。2025年はさらに上を目指してくるだろうから、当然リーディングは意識してくるはず。年齢的にも27歳でちょうど心身がかみ合ってくるころ。フォーエバーヤングを筆頭に持ち馬も非常にレベルが高いし、ルメール騎手や川田騎手と互角の争いをしてくると思う」。矢作厩舎のバックアップもあるだけに、今年はさらなる飛躍が期待できそうだ。


栗東トレセン情報部:田所