【ホープフルステークス】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【ホープフルステークス】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 ジョバンニ【評価B】
 杉山晴厩舎[西] 松山騎手

[1週前] 松山騎手
【栗東CW】 良 81秒2-66秒0-51秒3-37秒0-11秒6 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 55秒9-40秒1-25秒6-12秒6 馬なり

坂路で単走。首を上げ、集中できない様子が見られた。どう動くのか分からない危なっかしさもあったが、最後の最後はしっかり集中していた。

■1枠2番 ショウナンマクベス【評価C】
 武市厩舎[東] 池添騎手

[1週前] 木幡初騎手
【美浦南W】 良 81秒6-65秒8-51秒7-37秒5-12秒0 一杯
[今週] 木幡初騎手
【美浦南W】 良 82秒2-66秒5-52秒1-38秒0-12秒0 馬なり

1週前の併せ馬はビシッと追って6F81秒6ー3F37秒5ー1F12秒0。実戦さながらの追い比べからしぶとく脚を伸ばした。この1本で出来がグンと上向き、今週は一杯に追われる相手を楽な手応えのままいつでも突き放す勢い。最後まで相手に合わせたが、手綱を緩めればいつでもはじけそうな感触だった。6F82秒2ー3F38秒0ー1F12秒0。体は大きく変わった印象はないが、活発に動けている。

■2枠3番 ジェットマグナム【評価C】
 安達厩舎[西] 丹内騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 54秒0-38秒7-25秒2-12秒6 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒7-37秒8-24秒8-12秒8 一杯

坂路で単走。かき込むパワーは迫力十分で、前脚も高く上がっている。ただ、ゴールが近づくにつれて、首が右を向くようになってしまった点が惜しい。

■2枠4番 クラウディアイ【評価A】
 橋口厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 西村淳騎手
【栗東CW】 良 83秒7-68秒8-54秒0-38秒5-11秒6 馬なり
[今週] 西村淳騎手
【栗東CW】 良 85秒3-69秒6-54秒5-39秒1-11秒6 馬なり

心身共に完成度の高さならば、今回のメンバーで屈指の存在と言っても良いのかもしれない。牡馬ながら410キロ台とデビュー戦の時点で馬体は既にキッチリと完成したかのようにまとまってしまっていたし、肝心のレース振りも内々をロスなく回って危なげなく抜け出すというソツのないもの。今後の成長力という点では疑問符が残るが、このメンバー内での完成度の高さは軽視できない。
追い切りも、CWコースで併せ馬。パートナーの背後から、内に動いてゴーサイン。並びかける時の動きは十分で、俊敏さを感じさせた。
操縦性の高さと好枠を引けたことで穴の資格を得ている一頭と言える。

■3枠5番 レーヴドロペラ【評価B】
 加藤士厩舎[東] 大野騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 良 83秒5-66秒5-51秒1-36秒8-12秒0 強め
[今週] 助手
【美浦南W】 良 88秒0-71秒0-55秒2-40秒7-12秒9 馬なり

1週前は併せ馬で追い比べ。直線は並ぶ間もなく前に出ると、その差を保ったまま力強く伸びて1馬身の先着。5F66秒5ー3F36秒8ー1F12秒0。今週はゆったりとしたペースで前を追いかけたが、ピタリと折り合ってコーナーもスムーズ。直線は早々と手が動く相手を完全に子供扱い。相手のリズムに合わせて楽々と先着を果たした。5F71秒0ー3F40秒7ー1F12秒9。数字以上の切れとスピード感があり、立て直してうまく仕上げた。

■3枠6番 クロワデュノール【評価A】
 斉藤崇厩舎[西] 北村友騎手

[1週前] 北村友騎手
【栗東CW】 良 67秒9-51秒3-36秒4-11秒4 一杯
[今週] 北村友騎手
【栗東CW】 良 84秒3-67秒4-51秒2-36秒1-11秒3 馬なり

黒光りする好馬体はどこか品があり、いざ動かせば大きなフットワークで雄大そのもの。そんなキタサンブラック産駒と言えば、あの稀代の名馬イクイノックスを連想する方が多いのではないだろうか。しかし、近い将来は解らない。ひょっとしたら、全く同じ特徴を持つ同馬が全てを上回ってしまっているかも。僅かキャリア2戦の馬を掴まえて大袈裟なと思うかもしれないが、その2戦で並ではないことはまざまざと証明しているのだ。初戦で後半4Fを全て11秒台前半でまとめるという質の高い持久力を備えていることをアピールしたかと思えば、一夏越した前走では+24キロ、仕上がり7分の状態でラスト上がりを3F33秒3でまとめて溜めれば溜めただけ切れる脚が引き出せることまで発覚。もちろん高い身体能力があればこそではある。とはいえ、それを無駄なくレースで使い切れる馬となるとそうはいない。これぞ、まさしくセンス。思えば、父キタサンブラックも晩年はセンス溢れるレースばかり見せてくれたではないか。
最終追い切りはCWコースで併せ馬。終始、やる気に満ちており、直線を向いて手前を替えると、しっかりと並びかけた。ただ、その後は何度も手前を替えてしまう始末。まだ上の状態があるとみているだけに幼さが残るここはAまでとするが、素質は非凡。

■4枠7番 ヤマニンブークリエ【評価S】
 松永幹厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 良 84秒1-67秒8-52秒3-36秒8-11秒1 強め
[今週] 助手
【栗東CW】 良 82秒4-67秒1-52秒5-38秒3-11秒8 馬なり

放牧を挟んだが、緩めてないし、前走後はここを使う予定で調整が進められてきている。前回は逃げたが、それはスタートが速いという点で逃げたかったわけではない。ペースを落として切れ負けしたけど、勝ち馬も強かった。ここは好位で控えていいポジションで進めれば楽しみ。
追い切りはCWコースで併せ馬。手前を替えるタイミングが良く、ゴーサインが出て姿勢が低くなった点もいい。首をしっかりと上下させ、スピードアップ。前に出てからも気を抜かなかった点も良かった。
後は鞍上がどう乗るか。

■4枠8番 デルアヴァー【評価C】
 松永幹厩舎[西] 三浦騎手

[1週前] 三浦騎手
【栗東CW】 良 81秒6-66秒4-51秒8-37秒7-11秒7 一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 良 86秒4-69秒8-54秒7-39秒8-12秒4 馬なり

CWコースで単走。手前を替えるところまではよかったが、そこから完歩が大きくならず、やや迫力に欠けた感じ。首が高く、走りのバランスもひと息だった。

■5枠9番 アリオーンスマイル【評価C】
 土田厩舎[東] 木幡巧騎手

[1週前] 助手 [12月19日(木)追い]
【美浦南W】 良 85秒1-68秒4-53秒1-38秒1-12秒2 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 80秒5-65秒0-50秒9-37秒7-12秒1 強め

非力な馬体。首も硬くワンペースな走りで、併せた相手に手応え劣勢の伸び脚。6F80秒5ー3F37秒7-1F12秒1。前走からの変わり身は見込めない。

■5枠10番 アスクシュタイン【評価B】
 藤原厩舎[西] 横山武騎手

[1週前] 横山武騎手
【栗東CW】 良 96秒2-80秒0-65秒3-50秒6-36秒0-11秒4 一杯
[今週] 小牧加騎手
【栗東芝】 良 65秒3-50秒5-37秒4-11秒9 馬なり

攻めは動くし、体つきや走り方を見ても短距離っぽいところがある。京都2歳Sで2000mを試してほしかったが、傷腫れや軽い熱発などがあり間に合わなかった。
追い切りは芝コースで単走。やや、フワフワとして集中していないシーンもあったが、直線を向くと動きが良くなった。ラストは完歩も大きく、いいアクションだった。
ぶっつけ本番で最高の状態ではないが、この厩舎らしく、力を出せる態勢にあるので、あとは距離がどう出るか。

■6枠11番 ファウストラーゼン【評価C】
 西村厩舎[西] 杉原騎手

[1週前] 杉原騎手 [12月20日(金)追い]
【栗東CW】 良 97秒4-80秒7-65秒8-51秒0-36秒4-11秒6 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒5-39秒5-25秒3-12秒5 馬なり

坂路で併せ馬。馬体をぴったりと併せ、気合を高め合った。僚馬より姿勢が低く、完歩も大きい。最後は楽に前に出た。

■6枠12番 マジックサンズ【評価B】
 須貝厩舎[西] 佐々木騎手

[1週前] 佐々木騎手
【栗東CW】 良 95秒1-79秒1-64秒8-50秒5-36秒0-11秒5 一杯
[今週] 酒井騎手
【栗東CW】 良 81秒1-66秒3-52秒4-38秒0-12秒0 末強め

前走の札幌2歳Sでハナ差負かしたアルマヴェローチェが、次走のG1阪神JFを快勝。その他にも、決定的な差をつけた3着馬が東京スポーツ2歳Sで味な競馬で掲示板を確保したりしているのだから、なるほど。少なくとも今年の札幌2歳Sのメンバーレベルが高いことだけは疑う余地はあるまい。そうなると当然ながら、その勝ち馬である同馬を高く評価するべきなのだが、この中間の調教欄を見る限りは嫌な予感しかしない。仮にもG1で人気必至の同馬。何も異常がなければ、調教時計など毎週のように順調に出してくるはずなのだ。なのに、2週前の追い日の(12/11,12/12)時計がないのはなぜなのか。結果的に出走回避までには至らなかったのだから、1日、2日休んだ程度の軽度なものだったのかもしれない。とはいえ、今回はG1。追い込まれた時に、その少しの傷跡が足を引っ張る可能性は十分に考慮して馬券は組み立てるべきでは。それに成長力という点にも物足りなさを感じなくはない。良く言えば追わせるタイプ、だが実際のところは追わないと気を抜くのだ。せめて、その心持ちに変化があれば、良かったのだが、残念ながら、この中間も気を抜くのは相変わらず。最終追い切りの動きだけを見れば、CWコース3頭併せで真ん中という難しいポジション。そのような中で、手前をサッと替え、手応えも十分。200を切って自然と前に出たあたりの動きはなかなか。持っているものは確かだけに、どう扱うか一番注意が必要な馬。

■7枠13番 ジュンアサヒソラ【評価A】
 高柳瑞厩舎[東] 横山和騎手

[1週前] 横山和騎手
【美浦南W】 良 82秒0-65秒5-50秒7-36秒0-11秒4 馬なり
[今週] 横山和騎手
【美浦南W】 良 84秒5-67秒5-52秒5-38秒5-12秒6 馬なり

横山和が騎乗。先行馬の内に潜ると、鞍上が横を見て確認するほどの余裕を見せる。脚力の違いで抜け出して3馬身の先着でフィニッシュ。5F67秒5ー3F38秒5ー1F12秒6。重心を低く構えて推進力のあるフットワークは地力強化の証明だ。馬体も張りがあって、前走からさらに良くなった。

■7枠14番 リアライズオーラム【評価C】
 須貝厩舎[西] 菅原明騎手

[1週前] 酒井騎手
【栗東CW】 良 95秒6-79秒5-65秒1-50秒8-36秒3-11秒6 一杯
[今週] 田口騎手
【栗東CW】 良 95秒9-78秒9-64秒9-51秒4-37秒7-12秒0 一杯

CWコースで3頭併せ。一番外を回らせ、距離的な負荷を与えた。追い出されてジリジリと脚を伸ばしたが、もう少し伸びたかった。

■7枠15番 ピコチャンブラック【評価S】
 上原佑厩舎[東] 川田騎手

[1週前] 川田騎手
【美浦南W】 良 81秒8-65秒0-51秒0-36秒9-11秒6 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 67秒8-52秒4-37秒6-11秒2 馬なり

1週前は川田騎乗で3頭併せ。抜群の行きっぷりから、コーナーもうなるような走り。直線は促すと更に加速してフィニッシュ。6F81秒8ー3F36秒9ー1F11秒6。今週は単走でしまい重点となったが、持ったまま矢のように伸びて1F11秒2。フットワークにしなやかさがあって、無理なく楽に時計も出ている。肌もピカピカに仕上がっており、出来は文句なし。
480キロ以上ある牡馬とは思えないぐらいに線の細い、華奢に見せる馬である。おそらく、あと20キロ以上は馬体重が増える必要があるのでは。ただし、現状だと難しいとしか言いようがない。良くも悪くも前向き過ぎる性格。要は常にチャカチャカとしているので否が応にも消耗してしまうのだ。結果、食べたものが実にならない。気性が枯れるのを待つのか、それとも冷静さを学ばせて早々とパンプアップさせられるか、新進気鋭と言われる上原佑厩舎だけに、何をどうしてくるか今回だけでなく今後にも注目が必要か。ちなみに、この中間はというと率直に言えば、とりあえず研ぎ澄ましてきたよう。前走後は外厩にて心身のリフレッシュと基礎構築。帰ってきてからは実戦形式の併せ馬を3本も消化させ、この時期としては珍しいぐらいに鍛えに鍛えての臨戦。その分、身体の線は相変わらず細いものの、これまで見せていた動きの鈍さが解消し、走りの質のレベルを一つ以上上げてきた感。直前をサラッと単走で済ませたことで落ち着きを引き出したりと、見事なぐらいに現状の同馬のベストに到達させてきたのでは。まだ未完成ではあるものの、ここ2戦が示すように素質は確か。

■8枠16番 ジュタ【評価B】
 矢作厩舎[西] 坂井騎手

[1週前] 坂井騎手
【栗東CW】 良 80秒3-65秒8-51秒0-36秒0-11秒0 一杯
[今週] 坂井騎手
【栗東坂路】 良 54秒2-39秒7-25秒8-12秒9 馬なり

500キロを越えるドゥラメンテ産駒。実にパワフルなシルエットの持ち主である。ここに全兄ミッキーラッキーがダートで結果を出していることを踏まえれば、同馬も本質はダートでこそ輝くタイプなのかもしれない。とはいえ、前走の新馬戦とは思えぬ有終な走破時計が示す通り、芝の適正が空っきりということもあるまい。それに、そもそも今時期の2歳馬にとって、ただでさえ2000メートル戦は過酷。相当なタフさが必要なのだ。実際、このホープフルSの過去の結果を振り返ってみたって、タイムフライヤー、ドゥラエレーデにサンライズジパングと意外にも後にダートで大成した馬の名前もチラホラと目につくではないか。おそらく、これはスピードよりもパワー優先である急坂ありきの中山コースが舞台なこととも密接に関係していようが、何はともあれ、同馬のパワーが今回のコース替わりでプラスに作用することだけは、まず間違いなかろう。追い切りでは気になる状態面も一叩きされたことで後肢の蹴りがシッカリとしてフォームに全くといってよいほどブレがなくなり、まるで弾んでるかのように軽快に動けるように。無駄な力を入れることなく、リズム良く登坂する様子が目を引いた。その分、タイムは出なかったが現状での仕上がりは文句なしだろう。

■8枠17番 アマキヒ【評価B】
 国枝厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] C・ルメール騎手
【美浦南W】 良 84秒7-69秒0-54秒2-39秒3-12秒3 G前仕掛け
[今週] 助手
【美浦南W】 良 81秒2-65秒2-51秒2-37秒3-12秒0 強め

1週前はルメール騎乗で併せ馬。重い馬場を苦にすることなく、最後まで手応え十分に力強い伸び脚。6F84秒7ー3F39秒3ー1F12秒3。今週は古馬OP馬を誘導する形。6Fから飛ばして直線も気合を入れる意欲的なケイコとなったが、最後まで粘り強く食らいついた。6F81秒2ー3F37秒3ー1F12秒0。緩さがあった初戦から馬体も引き締まり、心身ともにシャキッとしてきた。
まだまだ完成は先も、ここでどこまで走れるかには注目したい。

■8枠18番 マスカレードボール【評価B】
 手塚厩舎[東] 戸崎騎手

[1週前] 戸崎騎手
【美浦南W】 良 85秒0-69秒8-54秒2-38秒8-11秒9 馬なり
[今週] 嶋田騎手
【美浦南W】 良 84秒7-68秒9-53秒0-38秒1-11秒7 馬なり

馬場入りをゴネるだけでなく、いざ走りだしても気負ったかと思えば途中で気を抜いたりと…。この中間も、相変わらず幼さ丸出しの同馬。そもそもが2連勝中とはいえ、そのレース内容もズブさを見せたりモタれたりと課題だらけで危うさ満点でしかなかったタイプ。それが解消した様子もなく、今回は右回りも初めてなら距離も未経験の2000メートルへ。しかもG1の好メンバーを相手にするというのだから、不安の方が大きいというのが正直なところ。ただし、一方でそれでも何とかしてしまうかもと思わなくもない。ここまでの2戦だって無茶苦茶だったのだ。並みの馬であれば掲示板にも乗れていなかったのではないか。しかし、同馬の場合は直線半ばでちょっと本気になりさえすれば楽に間に合ってしまった。そう、もはや生まれ持って備えているエンジンの質が超A級なことは疑いようのない事実なのである。仮に暴走したとしても不思議ではないぐらいに現状の同馬は若い。ただ、それだけでは消せないほどのスケールの持ち主。直前で僚馬を抜かせなかったりと集中力も徐々についてきているよう。信頼はできぬものの無視までは恐い。
今週も手前から出して前半はゆっくりと進めて6Fからペースアップ。直線は2頭の間に入ったが、両サイドに優勢な手応え、脚勢のまま真っ直ぐ伸びてフィニッシュ。6F84秒7ー3F38秒1ー1F11秒7。体も無駄なく仕上がっており、前走と変わらない状態で臨める。あとは精神面の若さをごまかせるか。