【朝日杯フューチュリティステークス】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評
■1枠1番 ダイシンラー【評価B】
梅田厩舎[西] 岩田康騎手
[1週前] 助手 [12月5日(木)追い]
【栗東坂路】 良 60秒6-43秒5-28秒6-14秒2 馬なり
[今週] 岩田康騎手 [12月12日(木)追い]
【栗東CW】 良 85秒4-69秒4-53秒8-38秒4-11秒8 G前仕掛け
CWで強めに追われる。時計的にはインパクト薄だが、まだ余力の感じさせる動きだった。落ち着いて走れているし、この馬なりに順調に調整されている。
■1枠2番 アドマイヤズーム【評価A】
友道厩舎[西] 川田騎手
[1週前] 荻野極騎手
【栗東CW】 良 99秒3-82秒9-67秒1-52秒2-37秒3-11秒1 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒2-38秒8-24秒8-12秒0 馬なり
坂路で単走。荒れた馬場だが、それを感じさせないパワフルな脚さばき。最後まで疲れも見せず、スタミナも感じさせた。
1勝馬だが、能力的に差はないと思う。ちょっと気が勝ったタイプなので続戦の影響がなければ。
■2枠3番 ランスオブカオス【評価B】
奥村豊厩舎[西] 吉村騎手
[今週] 吉村騎手
【栗東CW】 良 69秒0-53秒0-37秒0-11秒4 馬なり
CWコースで併せ馬。パートナーを追う時のスピード感、直線を向いて手前を替えるタイミングともにいい。最後はかわせなかったが併入は予定通りだろう。
新馬戦を勝って中1週でG1へと挑戦。常識的には厳しいとしか言いようがあるまい。これが、まだ今回と全くの同条件の舞台で結果を出しての臨戦であれば、まだ解らなくはない。だが、同じ京都でこそあれ距離も違えば内回りと外回りの違いまであったとくれば、まるで別もの…。あぁ思い出のための出走なのだなと多くの方が勝ち負けを度外視してのエントリーだと軽く見ている気持ちも解らなくはない。ただし、そうであれば、考え直すことをお薦めしたい。少なくとも、同馬は水準以上の競走能力を備えている素質馬の一頭であることは疑いようのない事実なのだ。それこそ、これはデビュー戦で証明済み。どこの世界に完全に前が有利の舞台設定に流れを完全に無視して大外ぶん回しで楽々と突き抜けられてしまう馬がいるだろうか。しかも、抜け出してフワフワと遊んでしまっていたように本気を出したシーンなど微々たるものでしかなかったのである。それでいて1分22秒5と大幅に新馬戦の水準タイムを上回ってしまうのだから間違いない。常識を覆しかねない、それぐらいのスケールの持ち主ということ。一叩きで躍動感が増し順当にデキも良化とくれば尚更。大穴ならこれか。要注意。
■2枠4番 ミュージアムマイル【評価A】
高柳大厩舎[西] C・デムーロ騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 52秒1-38秒0-24秒6-12秒4 叩き一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒6-38秒2-24秒3-12秒1 馬なり
坂路で併せ馬。僚馬と接近させ、闘争心を高めた。乗り手に高い技術があるからこそ。馬も応えて最後まで踏ん張った。
ここまで1600メートル→1800メートル→2000メートルと距離を延ばしつつ結果を出してきていただけに、このタイミングで距離を短縮して1600メートルの朝日杯へと出走してくるなどとは、まさか夢にも思ってもいなかった。それはそうだろう。同馬は牡馬。来年のクラシックを意識していればしているほど、ここで改めてマイルの流れを経験させることに意味が見出せない。むしろ、せっかく覚えてきたことが台無しの可能性まであるではないか。そもそも、2週後には2000メートルのG1だってある。本来であれば、そこへとエントリーする方がよっぽど自然…。ただし、物事には常に表と裏が存在する。そもそも、同馬が所属しているのは世界の友道厩舎。このチームが勝算なく起用してくるわけがないではないか。それこそ、同馬の近2走の勝ちっぷり。分析すれば、総合力ではなくスピードの違いで押し切っていることは明白。加えて父もマイラーなら母もマイル以下で活躍とマイル色の強い血筋。つまりはそういうこと。逆なのだ。ここで結果を出すために、あえて中距離で経験を積み学ばせていたということ。迫力十分の登坂振りが示す通り、デキもピークに。おそらく当初から狙いはここ。侮るなかれ。
■3枠5番 コスモストーム【評価C】
北出厩舎[西] 秋山稔騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 52秒1-37秒6-24秒5-12秒6 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒7-38秒6-25秒0-12秒2 馬なり
坂路で単走。脚さばきは悪くないが、やや首を硬くして伸び伸びと走れていない印象。ややフラフラして意識が前に集中しない点も気になった。
■3枠6番 アルレッキーノ【評価B】
国枝厩舎[東] C・ルメール騎手
[1週前] 助手 [12月5日(木)追い]
【美浦南W】 良 81秒1-65秒1-51秒7-38秒1-12秒0 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 65秒4-50秒6-37秒0-11秒7 馬なり
テンションを考慮して、この中間はすべて単走追い。1週前は6Fから飛ばしながらも、直線は勢いそのままに伸びて6F81秒1ー3F38秒1ー1F12秒0。今週は馬場入りを嫌ってかなりスタートが遅れてしまったが、いざ走り出したらスムーズでコントロールも利いていた。直線もバネを利かせて切れのある伸び脚。5F65秒4ー3F37秒0ー1F11秒7。馬体もたくましさが出て、体調は上向き。
初戦で2着に敗れてしまったとはいえ、その負けた相手は次戦で東スポ2歳Sを快勝し、現時点では疑いようもなく世代の頂点の存在であるクロワデュノール。実際、2戦目の未勝利戦では、その鬱憤を吹き飛ばすかのように2着以下に1秒以上もの差をつけて楽勝しているのだから、同馬の実力だって馬鹿にしたものではあるまい。むしろ、こと基礎スピードの質に関してであれば、この馬も相当なレベルに達している可能性が非常に高いのではないか。ただし、そのまま真っ直ぐに成長しているかと問われると何とも微妙である。もちろん、これだけのスピード馬。折り合い面に少々難があるのは仕方のないところ。前走など、そこが諸に露呈した格好でしかない。経験を積みつつ、そこへの理解が進めば…といったところだったのだが、この中間の挙動を見ていると、残念ながら、そんな様子は見られず。むしろ、折り合い面の教育のメニューばかりなことに嫌気がさしたのか、調教コースへの馬場入りすら極度に嫌がるように。こうなると当然ながら、何とか馬場入りさせたところで反抗的な仕草が目立ち調教の動きはサッパリ冴えず。どうも、伸び悩んでいる感。素質確かもアテにはできず。
■4枠7番 クラスペディア【評価C】
河嶋厩舎[西] 小崎騎手
[1週前] 小崎騎手
【栗東CW】 良 98秒5-81秒5-66秒6-51秒9-36秒9-11秒3 G前一杯
[今週] 小崎騎手
【栗東CW】 良 83秒4-67秒3-52秒2-37秒2-11秒9 馬なり
CWコースで3頭併せ。直線を向くと、僚馬2頭と併走するタイミングもなく前に出てしまった。本来は、タメをひとつ作りたかったか。手前も替えなかった。
■4枠8番 アルテヴェローチェ【評価A】
須貝厩舎[西] 武豊騎手
[1週前] 武豊騎手
【栗東CW】 良 80秒1-64秒9-50秒3-35秒8-11秒1 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒3-38秒1-24秒6-12秒1 馬なり
坂路で併せ馬。道中から四肢が高く上がっており、追い出しを待つ間も冷静な気持ちをキープ。ゴーサインにもきっちり反応してみせた。
外々を回る安全策ながら終ってみればラスト3Fを加速ラップでまとめて危なげなく抜け出してみせた初戦に、道悪馬場に乱ペースも何のその、まるで他馬を置き去りにするかのように一瞬で突き抜けてしまった前走と、わずか2戦を消化しただけにも関わらず、既にトップスピードの質の高さが並々ならぬレベルに達してしまっている可能性の高い同馬。これで馬体の線の細さが解消した日にはどうなることか…。もはや先々まで楽しみしかないわけだが、気になる点もなくはない。それは良くも悪くも集中力が途切れがちであること。今のところ、それはムキにならないというプラスの方向でしか表面化していないだけに悪癖とまで言い難い。だが、母系にクルソラの名が見受けられるだけに、ここで闇雲に全幅の信頼を置くのも…。何せ、クルソラの一族と言えば、総じて集中力に難あり。それこそ、母のクルミネイトもそうなら母の半兄にあたるピオネロもそうだったではないか。つまり、身体能力こそ高いが同馬も一族特有の集中力散漫な面を強く受け継いでいる可能性が非常に高いのだ。直前で切れのある動きを見せたようにデキそのものは良好も気性面に怪しさあり。過信は禁物。
■5枠9番 エルムラント【評価B】
鹿戸厩舎[東] 藤岡佑騎手
[1週前] 助手 [12月8日(日)追い]
【美浦坂路】 良 62秒3-45秒7-30秒1-14秒9 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 84秒8-68秒5-53秒1-38秒2-11秒7 馬なり
中1週となるがコースでしっかりとケイコを消化。長めから徐々にペースを上げると、直線は馬場の外に進路をとって、最後までしっかりと伸びきった。6F84秒8ー3F38秒2ー1F11秒7。馬体に大きな変化はないが、動きには活気があって引き続き元気。前回は2000mで暴走して失速。今回は藤岡佑騎手だし、おそらくまた行くと思うし、そうなればある程度残ると思う。穴で一考。
■5枠10番 トータルクラリティ【評価S】
池添厩舎[西] 北村友騎手
[1週前] 北村友騎手
【栗東CW】 良 81秒1-66秒7-52秒1-37秒0-11秒5 一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 良 85秒4-69秒2-53秒6-37秒6-11秒6 馬なり
CWコースで単走。直線を迎えてのスピードの上がり方も良く、トップスピードでのフォームもいい。しっかりと首が伸び、四肢の可動域も大きい。気持ちの方も非常に素直。
この中間は折り合いをつけるように調整。1週前もジョッキーに乗ってもらってしっかり負荷をかけた。今週もうまくやってて、動きもいい。
テンションが高めになる仔だけに、京都で輸送の時間が短くなるのはプラス。逆に言えば、当日のテンションと折り合いが課題。当日の気配は要注意。
■6枠11番 ニタモノドウシ【評価A】
高木厩舎[東] R・ムーア騎手
[1週前] 助手
【美浦南W】 良 84秒1-67秒1-51秒9-37秒4-11秒6 G前仕掛け
[今週] R・ムーア騎手
【美浦南W】 良 68秒7-53秒1-37秒7-11秒7 馬なり
札幌戦から間隔はあいたが質、量ともに十分過ぎるほど乗り込まれ、追うごとに力強い走りを披露。1週前は古馬3勝クラスの相手に食らいついて5F67秒1ー3F37秒4ー1F11秒6。今週はムーア騎乗で3頭併せ。2頭の間に入れて実践を意識させたが、手応えたっぷりに伸びて5F68秒7ー3F37秒7ー1F11秒7。追えばいくらでも伸びそうな勢いがあり、数字以上の切れと迫力を感じさせた。馬体もひと回り大きくなっており、仕上がりに隙はない。ただしその馬体の成長の方向性に少しだけ不安が混じる。それは同馬が典型的な短距離馬の体型をしていること。手足に首が極端に短く重心の低いシルエット。挙句に各部位の筋肉も必要以上に発達しているとくれば、少なくともマイルへの距離延長がプラスとは言えまい。どう距離を誤魔化すか、その意味でのムーアか。今回一番取り扱いに悩む一頭となりそうだ。
■6枠12番 パンジャタワー【評価S】
橋口厩舎[西] 松山騎手
[1週前] 松山騎手
【栗東CW】 良 80秒1-65秒4-50秒7-36秒6-11秒8 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒7-37秒4-24秒0-11秒7 馬なり
木曜の坂路をスーッとブレなく流れるように登坂。確かに開門直後の時計が出る馬場だが、それでも馬なりでラスト1ハロン11秒7は強烈だ。近2走よりさらに迫力アップ。
1400mベストの感もある馬だが、調教は本当によく動く。レースでも素晴らしい走りを見せているだけに、この馬もまさに課題は「距離」。この追い切りの良さをレースで活かせるかどうか。
■7枠13番 エイシンワンド【評価B】
大久保厩舎[西] 幸騎手
[1週前] 幸騎手 [12月5日(木)追い]
【栗東CW】 良 82秒7-67秒8-52秒5-36秒7-11秒2 一杯
[今週] 幸騎手
【栗東CW】 良 83秒3-67秒9-52秒9-37秒8-11秒9 馬なり
CWコースで3頭併せ。真ん中の狭いスペースに戸惑うことなく飛び込み、グッと前に出た。ラストのタイムも優秀で、この馬の気持ちの強さが見えた。
フットワーク的には十分にマイルでもこなせそうな脚さばき。短距離馬だと決めつけて侮ることなかれ。
■7枠14番 テイクイットオール【評価C】
中竹厩舎[西] 岩田望騎手
[1週前] 助手 [12月5日(木)追い]
【栗東坂路】 良 52秒9-38秒4-25秒1-12秒7 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒3-38秒7-25秒4-12秒9 一杯
坂路で単走。走りが小さく、ゴーサインが出てもうまく反応できていない。まだまだ覚えるべきことがありそう。
■8枠15番 ドラゴンブースト【評価B】
藤野厩舎[西] 田口騎手
[1週前] 助手 [12月5日(木)追い]
【栗東CW】 良 81秒5-65秒7-50秒8-36秒3-11秒6 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒1-38秒8-24秒8-12秒3 馬なり
坂路で単走。周囲を見たりと、真っすぐ前に集中できないかと思ったが、脚さばきは迫力十分。もう少し前傾できればスピードが上がりそう。
■8枠16番 タイセイカレント【評価A】
矢作厩舎[西] 坂井騎手
[1週前] 坂井騎手 [12月5日(木)追い]
【栗東CW】 良 82秒5-66秒5-51秒7-36秒8-11秒2 一杯
[今週] 坂井騎手
【栗東坂路】 良 54秒6-39秒6-25秒4-12秒1 馬なり
坂路で併せ馬。パートナーの背後で道中は我慢させ、最後に横に出してゴーサインの形。前脚が高く上がり、やる気がみなぎっている。かわす時にグッと力がこもった点もいい。
新馬戦ではまだ仕上がり途上かなという状況で勝ったし、重賞ではまだ足りないのではないかと思っていたが、初戦と違う差す内容で2着。その意味ではけっこう奥があって楽しみな馬ではある。この中間は前より動くようになって瑠星も褒めていたのも事実。そういう意味でも、思った以上の伸びしろがあるのが同馬の面白いところで、いい意味で期待を裏切ってくれるタイプ。馬場が渋っても大丈夫。そういう状況なら前走の勝ち馬も逆転できるだけのポテンシャルは秘めている。あとはゲートの駐立が悪いところが難。そこを上手くクリアできれば。