【マイルチャンピオンシップ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【マイルチャンピオンシップ】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 コムストックロード【評価C】
 宗像厩舎[東] 幸騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 67秒4-51秒9-36秒9-11秒6 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 67秒6-52秒2-37秒4-11秒2 馬なり

単走で追ってラスト1F11秒2。ケイコ駆けするタイプで時計は出ているが、動きの迫力、切れは物足りなく映る。馬体の変化もなく、全体的な気配は平凡。

■1枠2番 ブレイディヴェーグ【評価A】
 宮田厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 82秒5-66秒2-51秒9-37秒6-11秒3 馬なり
[今週] 杉原騎手
【美浦南W】 良 82秒8-67秒6-52秒6-37秒0-11秒6 馬なり

11月3日に前走後の初時計。1週前となる6日は3頭併せの内から持ったまま突き抜ける勢い。最後まで手応えたっぷりに伸びて6F82秒5ー3F37秒6ー1F11秒3。今週は杉原を背に3頭併せ。大きく前を走る僚馬2頭を余裕の追走。直線で内に潜ると、脚力の違いであっさりと抜け出して1馬身の先着。6F82秒8ー3F37秒0ー1F11秒6。やる気になればいくらでも動いてしまいそうなほど活気が充満しており、馬体もはち切れんばかりの状態。良化は著しい。

■2枠3番 バルサムノート【評価C】
 高野厩舎[西] 北村友騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 56秒4-40秒7-25秒3-11秒9 馬なり
[今週] 北村友騎手
【栗東坂路】 良 56秒2-40秒7-25秒7-12秒0 馬なり

坂路で単走。道中、首が左を向き、鞍上をてこずらせた。ラストだけ前を向きフィニッシュ。あまり感心できる動きではない。

■2枠4番 ナミュール【評価B】
 高野厩舎[西] C・デムーロ騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 56秒1-40秒2-25秒5-12秒1 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 56秒6-41秒2-25秒9-12秒0 馬なり

そもそもが強い調教を必要としない仕上がり早の牝馬。しかも、もう5歳秋と完成も迎えて久しい。今更、鍛えて云々という状態でないというのは確かであろう。とはいえ、さすがに今回の栗東入り後の調整過程というのはヌルくないだろうか。坂路中心に乗り込むのはいつものことだとしても、ここまで1F重点ばかりだと、さすがに研ぎ澄ます作業として成立していないような…。実際、動きも良い時と比べると物足りなさを感じてしまうのだ。
追い切りでは坂路で単走。残り1Fまでは馬の気持ち重視と見えて、気持ちよさそうにフワフワと。ラストはビシッと動いた。メリハリが利き、さすがという動きだが、同馬というのは前の出が硬いが故に?き込む力が弱い、それを圧倒的に発達した後肢のパワーで補って、ここまで登り詰めてきた後輪駆動型。にも関わらず、この中間は後肢の蹴りにいつもの迫力が見られないのである。本来であれば、まるで動かない前を押し出すかのように後ろが動くと坂路に敷き詰められたチップを弾け飛ばしながらギュンギュン加速していたと記憶しているのだが…。大きな怪我をしていないとはいえ、身体に硬さの出易い非タフネスタイプだけに、やはりドバイ遠征から春にG1を2連戦した反動が少なからず残ってしまったのではないか。出走してくるからには動けないわけではないと思うが、それでもベストとは思えぬのでこの評価まで。

■3枠5番 ジュンブロッサム【評価S】
 友道厩舎[西] 戸崎騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 良 81秒5-65秒5-51秒4-36秒8-11秒7 G前気合付
[今週] 助手
【栗東CW】 良 84秒0-67秒1-52秒1-36秒8-11秒3 馬なり

前走の重賞初制覇をどう評価するかが一つのポイントか。確かに、前走で倒したメンバーというのは、現在の日本国内のトップマイラー達に相違ない。あそこを勝ち切ったのだから同馬だって、もはや同格という見方も自然ではあろう。ただし、忘れてはいけない。この馬が早い時期から高い評価を受けながらも5歳秋の前走まで重賞の一つも勝てていなかったという事実を…。しかも、その本質は何も変わっていない可能性が高いのだ。そもそも、なぜに同馬は勝ち切れないことが多かったのか。良馬場専門、出遅れ癖、折り合いに難あり等色々と表面上の理由はあるが、結局のところ競馬が下手だからでしかない。しかも、それは身体の使い方の硬さからくる不器用さによるもの。そう、要は生まれながらに細かいギアの上げ下げが不得手ということ。これこそが何か少しでも自身の走るリズムを崩されると勝ち切れなくなってしまう要因。それこそ、前走など条件ベストで外目スンナリと恵まれに恵まれただけでしかないのだ。果たして、あれを京都に舞台が替わった上で再現できるだろうか。
追い切り自体は、CWコースで単走。手前を替えるタイミングこそ遅れたが、四肢をしっかりと伸ばしたフォームに好感。首も前へと伸ばし、気持ちよさそうに走っていた。体調の良さがはっきりと見て取れたのでこの評価を下すが、レースに行っての立ち回りには大きな期待をかけるべきか迷う馬。

■3枠6番 オオバンブルマイ【評価A】
 吉村厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 武豊騎手
【栗東CW】 良 79秒8-65秒6-51秒6-36秒6-11秒2 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒5-38秒6-24秒8-12秒1 馬なり

坂路で単走。首の高さこそ気になるが、四肢の動きは非常にダイナミック。地面をしっかりと叩き、そこから反動を得て、高く上がる前脚の動きにはほれぼれする。距離延長のここで追走が楽になるのであれば一発の期待も十分。

■4枠7番 マテンロウスカイ【評価A】
 松永幹厩舎[西] 横山典騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 56秒7-40秒6-25秒6-12秒8 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒3-37秒9-24秒6-12秒5 馬なり

坂路で単走。走りたくて仕方ないという雰囲気で活気十分。ラストは少し疲れてしまうかと予想したが、最後まで踏ん張った。
そもそも左回りは外へ逃げるので右回りの方が絶対いい。ほぼほぼ追えない状態で天皇賞5着だし、だいぶ中身は濃い。JCへ行くことも検討していたみたいだが、個人的には右回りのここに矛先を向けてきたのは正解だと思う。行く馬もそんなにいないので2、3番手で競馬ができそうだし、1番力を出せる条件ではないだろうか。

■4枠8番 フィアスプライド【評価B】
 国枝厩舎[東] A・シュタルケ騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 67秒2-52秒1-37秒3-11秒3 強め
[今週] 助手
【美浦南W】 良 83秒4-67秒0-52秒1-37秒3-11秒7 馬なり

1週前は併せ馬で5F67秒2ー3F37秒3ー1F11秒3。促す程度でスパッと切れた。今週は併せ馬で先行する形。僚馬を誘導して直線は外で馬体を並べたが、相手が来れば来るだけ伸びる脚勢を披露。最後まで集中して6F83秒4ー3F37秒3ー1F11秒7。体が引き締まったように、叩いた効果がうかがえる。
状態自体は悪くないし、 衰えなどなくていい意味で成長している。輸送も特に気にするタイプではなく、春も牝馬同士だったけど頑張っている。
相手は断然強くなるが、あとはこの馬との力関係でどこまでという感じ。

■5枠9番 ニホンピロキーフ【評価C】
 大橋厩舎[西] 田口騎手

[1週前] 田口騎手 [11月9日(土)追い]
【栗東坂路】 良 58秒8-42秒9-27秒7-13秒9 馬なり
[今週] 助手
【栗東CW】 良 82秒5-66秒6-51秒6-36秒5-11秒6 強め

CWコースで単走。道中、うまくコーナリングできず、体が斜めになるシーンも。ラストも、力をうまくフットワークに伝え切れていない感じだった。

■5枠10番 レイベリング【評価B】
 鹿戸厩舎[東] 津村騎手

[1週前] 津村騎手
【美浦南W】 稍 83秒9-67秒5-52秒4-37秒7-11秒7 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 86秒0-69秒5-53秒8-38秒4-11秒5 馬なり

1週前は津村騎乗で併せ馬。ゆったりとしたペースでもうまくコントロールが利いて、ラストも引っ張ったまま一直線の伸び脚。6F83秒9ー3F37秒7ー1F11秒7。今週は単走で馬場の大外に持ち出してたっぷりと負荷をかけたが、手応え、脚勢に乱れなし。伸びやかなフットワークから、ラストも余力たっぷりにはじけて5F69秒5ー3F38秒4ー1F11秒5。落ち着きがあって、好調をガチッとキープ。 個人的には走り方が大好きな馬ではある。あとは力差がどこまであるか。

■6枠11番 チャリン【評価A】
 ヴェリアン厩舎[海外] R・ムーア騎手

[今週] R・ムーア騎手
【京都芝】 良 81秒1-63秒6-49秒5-36秒8-12秒2 G前気合付

京都競馬場に入って芝コースを単走で。思ったほど欧州しておらず、軽くてスピーディなフットワークが印象的。いかにもマイラー然とした、ガシッとした馬体も見映えがする。力は出せるはず。またライアン曰く「ポテンシャルや馬場適性、状態も全く問題ない。普通に勝っておかしくない」と言っていた。ただ輸送してきたのにあまりにもおっとりしてるので、日本の速いペースに前半戸惑うかもしれないが、持ってる力を出せれば勝ってもおかしくない。軽視は禁物。

■6枠12番 アルナシーム【評価B】
 橋口厩舎[西] 藤岡佑騎手

[1週前] 藤岡佑騎手
【栗東CW】 良 83秒4-67秒5-52秒5-37秒4-11秒9 馬なり
[今週] 藤岡佑騎手 [11月14日(木)追い]
【栗東CW】 良 67秒4-52秒1-37秒4-11秒8 馬なり

前走時も仕上がっていたし、中3週なのであまりやる必要はない。Cウッドでサッと流した程度だが、キビキビとした脚さばきでしっかり走れていた。この馬なりに順調だ。
あとは他馬との力関係。

■7枠13番 ソウルラッシュ【評価S】
 池江厩舎[西] 団野騎手

[1週前] 団野騎手 [11月7日(木)追い]
【栗東CW】 良 81秒4-65秒9-51秒4-36秒5-10秒8 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 53秒5-38秒8-24秒9-11秒9 馬なり

前走は、トライアルとしては十分な仕上がりだったが、権利取りに十分な仕上げで臨んだ勝ち馬に展開もハマって負けただけ。
鞍上も前走のレース後に「次はここに出ていた馬にはまず負けないでしょう」と言っていたほど。
追い切りは、坂路で単走。首がもう少し下がればベストだが、四肢の動きは活発で、しっかりできあがったな、という印象。ラストの動きには迫力があった。
担当者に聞くと「先週にしっかりとやりましたので、今週は体調を整える程度でしたが、軽く促すと抜群の反応を見せました。素晴らしい感触でした。これで負けたら仕方ないですね」という仕上がり。一週前も当然良かったが、今週の微調整の雰囲気が素晴らしかった。個人的に、生涯最高の出来だと思っている。これで負けたら相手が強いということ。とりあえず、悔いのない態勢で臨めるのは何より。

■7枠14番 ウインマーベル【評価B】
 深山厩舎[東] 松山騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 稍 81秒9-65秒7-51秒1-36秒3-11秒7 一杯
[今週] 助手
【美浦南W】 良 68秒8-53秒1-38秒0-11秒4 馬なり

この中間はいつも以上にハードな攻め。1週前は併せ馬でビシッと追って2馬身の先着。6F81秒9ー3F36秒3ー1F11秒7。日曜も手加減なく攻め込まれ1F11秒0。迎えた今週は前を見ながらうまく折り合って、直線もうなるような勢い。5F68秒8ー3F38秒0ー1F11秒4。筋肉の盛り上がりが目立ち、肌質も良好。態勢に抜かりはない。

■8枠15番 セリフォス【評価C】
 中内田厩舎[西] 川田騎手

[1週前] 調教師
【栗東CW】 良 79秒5-64秒7-51秒0-36秒9-11秒4 強め
[今週] 川田騎手
【栗東CW】 良 39秒7-11秒4 馬なり

CWコースで単走。道中から首を振ってイヤイヤするシーンも。直線では口を無用に開けるところも見られ、この馬にしては意外な感じ。
そもそも人気を裏切ってばかりの近走。というよりも前走に限っては完全に脚を余してもいた。鞍上も今回は本来の主戦である川田騎手に戻る。今度こそと狙っている方も多いのでは。ただし、この中間の同馬の動きを見る限り、あまり良い印象は受けないことを、ここに明記しておく。そもそもがモチベーションの高さこそが同馬の最大の売り。もちろん、これは良いことばかりではない。かつては、それが裏目に出てイレ込んだり調教で暴走したりと中々ヤンチャしていたもの。しかし、このモチベーションの高さがG1奪取の原動力となったことも紛れもない事実なのである。問題は現在のそれがどうなっているかという点。もう5歳、調教で暴走することもなければレース当日にイレ込むこともない。ただし、その一方で舌を出したり首を突き出したまま身体の伸縮を放棄したりと明らかに走ることへの拒否に近い動きを垣間見せるようになってしまっているのは如何なものか。これこそが走ることへのモチベーションを失いつつある証拠だと思うのだが…。2歳時から活躍してきたことを思うとソロソロ賞味期限切れというのも有り得る話。少なくとも、のびきって走るが故に反応一息の今回はあくまで押さえまでか。

■8枠16番 タイムトゥヘヴン【評価B】
 戸田厩舎[東] 柴田善騎手

[1週前] 上野翔騎手 [11月7日(木)追い]
【美浦南W】 良 81秒2-66秒4-52秒0-37秒7-11秒4 馬なり
[今週] 柴田善騎手
【美浦南W】 良 79秒4-65秒1-51秒4-37秒5-12秒0 馬なり

1週前は6F81秒2ー3F37秒7ー1F11秒4。今週は主戦・柴田善を背に単走で追われ6F79秒4ー3F37秒5ー1F12秒0。馬場の大外を回して、ラストは持ったままキッチリと脚を伸ばした。体を柔らかく使えており、元気の良さが目立つ。
前走は左回りということもあるが、それ以上に、最終追い切りがすごく良くて、そこがピークになってしまった事が敗因と見ている。実際にレースではその辺りの良さがなくて下降気味だった。この馬はピーク手前の、仕上げきらないほうが良いタイプ。先週は上野翔が乗って、全体的なタイムは速かったみたいだけど、レースに向けてお釣りは残してありそうなので、あとは展開が向くか否か。

■8枠17番 エルトンバローズ 【評価B】
 杉山晴厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 西村淳騎手
【栗東CW】 良 80秒3-65秒3-50秒4-35秒8-11秒4 一杯
[今週] 西村淳騎手
【栗東坂路】 良 53秒8-38秒4-24秒3-11秒7 馬なり

坂路で単走。四肢をいっぱいに伸ばして、前方に脚を出そうとしている点は評価できる。大きな完歩の割に回転も速かった。