【アルゼンチン共和国杯】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評
※おことわり※
全体的に追い切りで目立つ動きをする馬がそもそも少ないメンバーであり、S評価馬に関しては今回は出現しなかったということは予め申し上げておく。
■1枠1番 ミクソロジー【評価A】
辻野厩舎[西] 三浦騎手
[1週前] 助手
【栗東CW】 良 69秒3-54秒3-38秒8-12秒0 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 55秒4-39秒8-25秒5-12秒9 末強め
坂路で併せ馬。安定感のあるフォームもなかなかだが、時折、僚馬と闘志をぶつけ合うような感じが見られるのがいい。気持ちの方も高めることができたようだ。
■1枠2番 メイショウブレゲ【評価C】
本田厩舎[西] 酒井騎手
[1週前] 助手
【栗東CW】 良 83秒3-67秒4-51秒9-36秒6-11秒8 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 53秒7-38秒6-25秒0-12秒9 馬なり
坂路で単走。姿勢が低く、四肢の動きも機敏。スピードが上がるにつれて重心が上がってきた点が残念だが、活気は十分に感じた。
■2枠3番 ハヤヤッコ【評価B】
国枝厩舎[東] 吉田豊騎手
[1週前] 助手
【美浦南W】 良 67秒3-52秒5-38秒1-11秒6 強め
[今週] 吉田豊騎手
【美浦南W】 重 84秒9-67秒9-52秒7-37秒8-11秒7 強め
吉田豊を背に併せ馬。年齢を重ねて渋くはなっているが、最後までしぶとく食らい付けていた。5F67秒9ー3F37秒8ー1F11秒7。美浦に戻ってからも熱心に乗り込まれ、元気の良さが目立つ。活気十分で馬場悪化の際には常に注意。
■2枠4番 クロミナンス【評価A】
尾関厩舎[東] 戸崎騎手
[1週前] 助手 [10月24日(木)追い]
【美浦南W】 稍 65秒7-51秒2-36秒8-11秒4 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 重 82秒4-66秒1-51秒7-36秒8-11秒6 強め
7歳秋の時点で未だキャリアは13戦。そう、この馬は決して丈夫などではない。それこそ、単純に今までの放牧に出されてた日時を合計するだけで36ヶ月を超えてしまうのだから驚く。実質、競走馬としての稼動など、2年あるかないか…。そういう意味では、陣営の根気の良さには頭が下がる。それはそうだろう。別に厩舎経営は慈善事業ではないのだ。利益を上げなければならないのである。そこに、これだけ健康面が不安定で年間のほとんどを休養という名の放牧に出さざるを得ないとなると陣営によってはとっくに引導を渡されていても不思議ではなかったのでは。とはいえ、そうはしなかったからこそ今があると言えよう。ようやく、脚元が固まってきたか、ここにきてコンスタントに使えるようになってきた。もちろん、それでも他の健康優良児と比べれば、比べ物にならないぐらい稼働率は低い。ただし、それでも実戦経験は何よりも大きいのだ。今やG2レベルならば、崩れないだけの地力を備えていることは明らか。
この中間は併せ馬を丹念に積んで、1週前は5F65秒7ー3F36秒8-1F11秒4。追っての反応、伸び脚ともに鋭く、やる気になればいくらでも伸びそうな勢いがあった。今週は単走に切り替えたが、重心のブレがなく、最後まで力感あふれるフットワークを披露。6F82秒4ー3F36秒8ー1F11秒6。体もパンパンに張った状態で、リフレッシュ効果は絶大だ。遅まきながら完成を迎えた可能性大。
■3枠5番 フォワードアゲン【評価C】
加藤和厩舎[東] 内田騎手
[1週前] 助手 [10月24日(木)追い]
【美浦南W】 稍 69秒1-53秒1-38秒3-12秒1 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 重 64秒1-49秒5-35秒6-11秒6 強め
馬場の内側を通って時計は出たが、フットワークにメリハリがなく、迫力不足は否めない。馬体の変化もなく、出来は平行線。
■3枠6番 マイネルメモリー【評価C】
宮厩舎[西] A・シュタルケ騎手
[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 52秒8-39秒1-25秒4-12秒8 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 56秒5-40秒6-25秒9-12秒6 馬なり
坂路で単走。首の使い方は独特だが、走りに関しては十分に合格点。気持ちは最後まで集中していた。一生懸命さを感じた。
■4枠7番 ペプチドソレイユ【評価C】
武英厩舎[西] 小崎騎手
[今週] 小崎騎手
【栗東芝】 重 66秒5-51秒0-37秒6-12秒7 一杯
芝コースで3頭併せ。1頭だけ後方から迫ったこともあり、ゴール地点では追いつけず。ただ、いっぱいに追えたことで目的は達しているはず。
■4枠8番 ラーグルフ【評価B】
宗像厩舎[東] 丸田騎手
[1週前] 助手
【美浦南W】 良 68秒2-53秒0-38秒3-12秒0 馬なり
[今週] 丸田騎手
【美浦南W】 重 84秒2-67秒4-52秒5-38秒2-11秒9 馬なり
1週前の併せ馬では楽々と先着。今週は大きく前を走る2頭を目標に進んで内に潜ったが、手応え、脚勢の違いは明らか。ダイナミックなフットワークであっさりと抜け出して見せた。5F67秒4ー3F38秒2ー1F11秒9。筋肉量豊富な馬体に、肌質も良化。いい頃の気配と遜色なく、一変可能な出来。
この馬自身、若かりし頃に無理をしていたということなのだろう。どうも古馬になってから、体調が整わず実戦へコンスタントに起用ができなくなって久しい同馬。今回だって順調かと思いきや挫跖で予定を1週スライドしての臨戦。少なくとも万全と言えるほどの状態まで上げ切れてなどいまい。とはいえ、それでも無視できない辺りが同馬の凄さである。結局、ポテンシャルが高いのだ。それこそ未完成状態でしかない2歳時からG1で活躍していたのは伊達ではない。健康面の問題でピークまで研ぎ澄まし切れていないだけであって、その卓越した身体能力は今も全く劣れてなどいないのである。そうでなければ、仕上がり途上の段階でしかないはずの今週の調教であれほどの動きを見せれるわけがなかろう。降りしきる雨で馬場はドロドロ、この日のDWコースなど力の要る過酷なコンディションでしかなかったのだ。それを大追走する形から、直線を向くと僚馬をあざ笑うかのように置き去りにしてしまうのだから何という脚力。今のデキでも、あれぐらいの破壊力を末に乗せられるということか。アクションが大きく不器用なだけに広々とした府中コースも合わないわけがない。忘れずに連下にマークするべき。
■5枠9番 タイセイフェリーク【評価C】
田中克厩舎[西] 大野騎手
[1週前] 助手 [10月24日(木)追い]
【栗東坂路】 良 57秒6-41秒8-27秒2-13秒0 馬なり
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 57秒6-42秒2-27秒4-13秒2 馬なり
坂路で併せ馬。馬場を気にしているのか、乗り手がスピードを上げたくないのか、走りにスピード感がない。
■5枠10番 マイネルウィルトス【評価A】
宮厩舎[西] 石川騎手
[1週前] 助手
【栗東CW】 良 84秒9-69秒3-54秒2-38秒4-11秒3 末一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 52秒6-37秒9-24秒6-12秒3 馬なり
坂路で単走。真っすぐに前を見て上がってくれれば文句なしだったが、走りそのものは悪くない。前脚がしっかり上がっており覇気も感じられた。
鍛えなければ強くはなれない。ただし、鍛えれば馬にかかる負担は大きくなる。馬への負担が大き過ぎれば、サラブレットは生き物。当然ながら、心身のどこかに傷を負ってしまう。結局、そうなると強くなるどうこう以前の問題に…。もちろん、ここに正解はない。それはそうだろう。この馬で成功したから同じ調整で…などというわけにはいかないのだ。仮に名門と呼ばれる厩舎だって必ず成功しているわけではないのだからそういうこと。ゲームのように、所属馬全ての能力をMAX状態に持っていくことなど、もはや非現実的でしかないのである。ただし、今年の上半期の同馬に限ってはバキバキに鍛えることができていたし、実戦であれだけの粘りも発揮できていたように心身共に健康面もすこぶる良好に保てていたと断言できよう。まさに理想の調整を課すことができていたのではないか。その割に結果が出なかったのは、それこそ昨夏に長期の休養を与儀なくされていたからでしかない。むしろ、上半期のハードトレで鍛えに鍛え上げた成果は、この夏の充電で綺麗に諸々の疲労の抜けた、この秋にこそ日の目を見る可能性大。実際の動きもメリハリが効きまくり。8歳馬と侮るなかれ。
■6枠11番 アドマイヤハレー【評価B】
宮田厩舎[東] 田辺騎手
[1週前] 助手 [10月24日(木)追い]
【美浦南W】 稍 82秒6-66秒7-51秒7-37秒2-11秒4 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 重 81秒2-65秒8-51秒1-36秒7-12秒1 G前仕掛け
掛かり気味につついてきた相手に対して冷静に対応。並んでからも余裕があり、ゴール前でビシッと気合を入れると1馬身突き放してフィニッシュ。6F81秒2ー3F36秒7ー1F12秒1。追うごとに体も引き締まり、きっちりと態勢を整えた。
■6枠12番 ジャンカズマ【評価C】
小栗厩舎[西] 木幡巧騎手
[1週前] 助手
【栗東CW】 良 97秒1-80秒9-66秒8-52秒7-37秒9-11秒7 強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 54秒7-39秒0-25秒6-13秒0 馬なり
坂路で単走。やや可動域が狭く、走りがちょこまかした感じ。活気も足りないように映り、もう少し迫力が欲しい。
■7枠13番 サヴォーナ【評価B】
中竹厩舎[西] 池添騎手
[1週前] 池添騎手
【栗東CW】 良 81秒1-65秒4-50秒6-35秒9-11秒3 一杯
[今週] 池添騎手
【栗東坂路】 不 52秒3-37秒7-24秒2-12秒1 馬なり
坂路で単走。気持ちがしっかりと乗って、脚さばきも非常に俊敏。ラストでかき込みがグッとパワフルになった点も評価したい。
しかしながら、競走馬としての能力的にはいよいよ底が割れつつもある。短距離色の強いスニッツェルの肌に距離に融通性があるとはいえ、本質的にはスピード型のキズナが父。決して内在するスタミナは豊富ではないのである。にも関わらず、切れ味より追っての渋太さが武器とスタミナを浪費せざるを得ない戦い方がベース。結果、今や中距離でも条件が揃わないと厳しくなっているというのが現状でしかあるまい。引き続きデキそのものは悪くない。ただし、同馬の好走は前が止まらぬ馬場限定。本格的な府中はどんとこいとも言えず、過信は禁物。
■7枠14番 セレシオン【評価A】
友道厩舎[西] 荻野極騎手
[1週前] 荻野極騎手 [10月24日(木)追い]
【栗東CW】 良 81秒8-66秒3-51秒6-36秒7-11秒4 強め
[今週] 助手
【栗東P】 良 86秒4-69秒2-54秒0-39秒7-11秒4 G前気合付
ポリトラックコースで単走。直線を向いて多少、フワフワしたが、手前はしっかり替えて軽快そのもの。馬体もいい具合に引き締まっている。フォームも最後まで安定。力は出せる仕上がり。
そもそも同馬は若かりし頃から評判の高かったスラリとしたステイヤー体型のハーツクライ産駒。それが、この夏は芝の1800メートルを1分44秒1、2000メートルを1分58秒0と共に勝てなかったとはいえ、鬼脚を駆使して今まで決して得意とはしてこなかった高速決着に対応し始めたとなれば、いよいよ充実期に突入しつつあると誰もが思うのでは。確かに前走のゴール前の脚など鳥肌ものの鋭さではあった。ここにきて父譲りの決め手に磨きがかかってきていることは、まず間違いないところではあろう。ただし、じゃあ今回も同様の脚が使えるのかとなると幾らか疑問も残る。なぜなら、同馬が鬼脚を見せたことがあるのは、平坦新潟の芝コース限定なのだから…。それに、ステイヤー体型ではあるものの、ブリンカーが手離せないように集中力に難があるのは今も昔も変わっていない。この距離だと追走が楽になる分で近3走と違って真剣味を欠いてしまうシーンというのもなくはなさそう。順調に乗り込まれてはきているものの、どうも動きに夏ほどの迫力がない点も大いに気がかり。ハンデ的にも決して恵まれてもいないだけに、期待値的には決して高いとは言えない。
■8枠15番 アドマイヤビルゴ【評価C】
友道厩舎[西] 北村宏騎手
[1週前] 荻野琢騎手 [10月24日(木)追い]
【栗東CW】 良 82秒3-66秒9-52秒1-37秒0-11秒5 一杯
[今週] 荻野極騎手
【栗東坂路】 不 55秒4-40秒1-26秒1-13秒1 馬なり
坂路で単走。舌が出ている点が気になるが、フォームそのものは安定して文句なし。最後まで集中して走れていた。
■8枠16番 ショウナンバシット【評価A】
須貝厩舎[西] 佐々木騎手
[1週前] 見習い [10月24日(木)追い]
【栗東坂路】 良 53秒6-38秒2-25秒1-12秒8 馬なり
[今週] 佐々木騎手
【栗東坂路】 不 54秒0-37秒5-23秒9-12秒1 一杯
坂路で単走。脚さばきは非常に機敏でスピード感にあふれている。首もうまく使って、ブレもない。出来の良さが感じられる。