現場の裏話コラム|vol.48|ミックスセールが熱い!ドウデュースの半弟も参戦、注目のセリ市場
今週は天皇賞・秋が行われる。ドウデュースが人気を集めそうだが、その弟も栗東トレセンでは話題を集めていた。某日刊紙の記者は語る。「火曜日は調教師がほとんどいませんでしたね。みんなセリに行きましたから。ドウデュースの弟も上場されていましたが、2億6000万の値をつけていましたね」。セリといえばモンスターセールは夏に行われるセレクトセール。ただ調教師の間では「ノーザンファームミックスセール」がかなりの注目を集めているようだ。
ミックスセールは当歳馬と繁殖牝馬が上場される。2019年から繁殖牝馬が上場されてスタートしたが、22年からは当歳馬も上場されることに。初年度の落札馬サトノカルナバルがいきなり函館2歳Sを制し、「セレクトセールより安い価格でいい馬が買えるのでは」と関係者内で評判になっていた。ある栗東の調教師は「セレクトセールの当歳馬は生まれて半年程度。ただ秋に行われるミックスセールはそれから3ヶ月経っているので、もっとしっかりと当歳の良い悪いが判別ができる。今年はドウデュースの弟も上場されているからマスコミの注目度もセリの前から高かった。これからもセレクトセールに近い人気を得るのではないか」と分析していた。
その言葉通り、3年目の今年は「覚醒」。落札額1位の「マーゴットディド」の24(牡、父キタサンブラック)は2億9000万円。競り落としたのはサイバーエージェントの社長・藤田晋氏だ。セレクトセールのみならず、このセリでも今後は爆買いしていくことだろう。ドウデュースの半弟にあたる「ダストアンドダイヤモンズ」の24(牡、父コントレイル)は2億6000万円。落札したのは松島オーナーの関連会社と見られる大空企画。最終的に億超は10頭を数え、落札総額は35億円。これまでの最高額だった19億の倍近くの売り上げになっている。
早速セリから戻ってきた調教師を数人捕まえたが、「セレクトセールよりも質が良いくらいに感じた」という声が結構聞かれた。ある調教師は「今後はセレクトよりこちらを中心に動こうとも思っている。ノーザンファームの育成力というか、セレクトの7月よりもさらに馬をよく見せてくるというか。10月のこの時期の方が当歳で当たりを引きやすいような気がする。馬主さんの中でもこちらを注力していきたいと語る人は何人かいた」と話す。まだまだ一般的に認知度の低いセールではあるが、関係者の評価はうなぎのぼり。馬券を買う際には「ミックスセール落札馬」という記載をチェックするのも、面白いかもしれない。
栗東トレセン情報部:田所