現場の裏話コラム|vol.42|飛躍の秋を迎えるジョッキー:その活躍の背景とは

現場の裏話コラム|vol.42|飛躍の秋を迎えるジョッキー:その活躍の背景とは

 夏競馬が終わり、秋競馬がスタートした。いよいよ本格的に盛り上がるシーズンが始まる。栗東関係者のいろいろ話を聞くと、「秋はこのジョッキーに注目していきたい」という声が数人から聞かれた。いずれも同じジョッキーである。それが小崎騎手だ。デビュー11年目で若手から中堅に差し掛かる年齢。一体彼に何があったのだろうか。某トラックマンはこう話した。「今村騎手の離脱により、敏腕の小原エージェントがつきました。これが飛躍にきっかけになりそうです。それに応えていい結果を出している。小倉2歳Sでは8番人気クラスペディアを2着に食い込ませた。人気薄で持ってきたインパクトはかなりありましたね。それも未勝利馬でしたから。デビュー戦同様に前に行ってどこまで、という競馬になるかと思ったのですが、中団から展開。直線では目の覚めるような末脚で2着にきましたね。ジョッキーはその後、『位置にはこだわらずに馬のリズムを重視した』と話していましたが、好騎乗といっていいでしょう。他にもトップトレーナーの友道厩舎で勝利を挙げるなど、腕を見せつけるシーンが増えています」。
 
 小崎騎手はデビュー年に38勝を挙げ、有望な若手として好スタートを切った。2018年にはアスターペガサスとのコンビで函館2歳Sを優勝。その後はなかなか目立つ成績がおさめられなかった。ただ前出のトラックマンによると「一部の調教師からは高い支持を得ていた」という。「大けがによる戦線離脱など濃密な経験をしており、自ら海外へ武者修行に行ったり積極性もありました。どちらかといえば理詰めのタイプです。最近はエージェントをつけずにやっていたので馬が集まりませんでしたが、集まれば結果を残せることを証明しました。それに開業したばかりの福永調教師がかなり評価しているんですよ。確かに理詰めで同じようなタイプ。開業時に調教を手伝ってほしいとアプローチ。非常にまじめな性格を買っているようです」と語る。
 
 小原エージェントに関しては外国人ジョッキーを担当することもあり、今後も小崎騎手のエージェントを続けるかは怪しい。「ただ最近の騎乗でかなりアピールできたのは事実。いい流れをつくることができれば、以前のようにエージェントをつけなくてもいい馬が回ってくるかもしれません。厩舎関係者からも競馬に取り組む姿勢が評価されている。最近の若手は不祥事が多いだけに、改めて小崎騎手のまじめさがクローズアップされてきてもおかしくないでしょう。秋は注目です」と期待を込めた。

栗東トレセン情報部:田所