現場の裏話コラム|vol.39|闇に包まれた騎手の死:隠された真実と広がる憶測

現場の裏話コラム|vol.39|闇に包まれた騎手の死:隠された真実と広がる憶測

8月1日の夜、函館競馬場に自家用車で進入し、芝コースを破損させたとして、翌2日にJRAから事情聴取を受け、その後裁定委員会から正式な処分が出るまで騎乗停止となっていた角田大河騎手が、10日になって死亡していたと発表があった。
 発表になったのはここまで。死因についての説明は「遺族の意向によって回答は差し控える」と一切発表されてない。しかし、そのことで、21歳のホープである若手騎手急死の余波は、まったく収まるところを見せていない。それどころか、妙な憶測が次から次へと出てきて、それについての考察もまたSNS上で侃々諤々の論争を巻き起こす有様になっている。
 
もともとJR札幌駅がほど近いJR上野幌駅で2日午後、若い男性による人身事故があったことが報じられたが、それと角田騎手を結びつけたSNSの記事が出回った。それは元JRA騎手である藤田伸二氏がユーチューブ動画ライブ配信中に「角田死亡」の情報を得て、その場で言及したことが要因となっている。しかもほぼ同じタイミングで南関東川崎の元騎手の瀧川寿希也氏も同様のことを発信したから、妙な信憑性を持って拡散されることになった。
 これについて、今度は〝元〟か〝現役〟なのかは、匿名のため判然としないが、JRA職員からの情報として、「謹慎中で存命」と発信する通報者もいたから、「どっちが正しいか」という論争が罵り合いになるなど、SNS上が一時、異様な荒れ方をした。10日にJRA発表があったのは前述の通りだが、それは上野幌駅の人身事故が「20代の滋賀県栗東市の男性」と特定された後であり、それにしても発表内容が薄っぺらいものだったから、「なぜ発表が遅れたのか」の憶測が飛び交い、しかも前後するタイミングでデイリー新潮という大手メディアが、「進入した自家用車に同乗者がいた」と報じたから、ますます闇の部分が強調され始めた。
 
そして8月16日。今度は「同乗者2人」という噂が出始めた。これまた藤田元騎手が発信元になっているようだが、事件発覚後すぐに出回った画像を撮影したとみられる関係者によれば「男女の2人で、そのうち1人は若手騎手」とより具体的な爆弾情報付きだ。現役の騎手がいたとすれば、当然、制裁対象になるはず。それなら発表すればいいだけのことだと思うが、それをしない理由は、それがガセネタだからなのか。
 とにかく人の生死がかかわっていること。このまま真実を明らかにしないでいると、それこそ関係者による犯罪の可能性まで憶測として広がりかねかい。
 
事件発覚後、事情聴取を受けた角田騎手は「ひどく憔悴してまともな精神状態にはなかった」とも報じられているが、もっともらしいことではある。が、それも含めて、どこまでが本当で、どこからが本当ではないのか、いまだに闇の中だ。JRAは売上が好調な今こそ古い隠蔽体質を捨て、公正競馬の指針をはっきりと示してほしい。無理だろうか?

美浦トレセン情報部:吉本