【宝塚記念】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【宝塚記念】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 シュトルーヴェ【評価B】
 堀厩舎[東] D・レーン騎手

[1週前] 助手 [6月13日(木)追い]
【美浦南W】 良 82秒4-65秒7-50秒4-35秒7-11秒2 強め
[今週] D・レーン騎手
【美浦坂路】 重 54秒8-39秒7-25秒4-12秒6 馬なり

1週前追い切りはウッドで5F65秒7ー3F35秒7ー1F11秒2。ゴール前で気合を入れると、重心をグンと下げて力強く伸びきった。今週は予定通りにレーン騎乗で坂路での最終調整。前の馬を見ながらピタリと折り合って、ラストはしなやかなフットワークを披露。適度な気合乗り、また集中力もあって気配の良さが際立った。4F54秒8ー1F12秒6。雨で重い馬場を考慮すれば時計も十分。出来は高いレベルで安定している。距離はこれくらいがいいし、馬場もフットワークから多少は渋っても大丈夫。
今の段階でどこまで通用するかは、正直お試しのところはあるが、レーンがどう乗ってくるかは楽しみ。

■2枠2番 ジャスティンパレス【評価B】
 杉山晴厩舎[西] C・ルメール騎手

[1週前] C・ルメール騎手
【栗東CW】 良 80秒3-65秒2-51秒0-36秒9-11秒7 強め
[今週] 高倉騎手
【栗東CW】 稍 98秒7-81秒7-66秒4-51秒5-36秒5-11秒3 一杯

CWコースで併せ馬。可動域が非常に大きい、迫力のある動き。追い出されて首が下がった点も評価したい。ゴール後もしっかりと追われており負荷はかなりかかった。ただ、本音の意見を言えば、やはり海外帰りの馬の調整は難しそう…。これが今回の同馬の中間の過程を見た素直な感想である。おそらく、どうしても海外にいくと輸送や環境の違い等による疲労で体調=心身のバランスがいつもとは違う方向へと崩れてしまうのだろう。結果、型に嵌めたくとも嵌められないように見えた。
例えば、本格化した昨年の春以降の同馬の調整というのは、1週前に本負荷をかけて直前は少し抑え込み余力を残してのフィニッシュというのが定番化していた。そして、これで結果も付いてきていたのだから、悪戯に変える必要などないはずだ。しかし、今回はというと、かつての追い日はバリバリと攻めるパターンへと戻してしまっている。なぜか。答えは簡単である。そこまで攻めないと整わないからに他あるまい。疲労回復に手間取り基礎構築が遅れ気味となった結果、研ぎ澄ます作業も後手後手になったといったところか。
さすがに昨年時に比べるとワンランク以上は落ちるか。正直、9分まではないように映るだけに過信は禁物。

■3枠3番 ベラジオオペラ【評価S】
 上村厩舎[西] 横山和騎手

[1週前] 調教師
【栗東CW】 良 98秒4-81秒5-66秒4-51秒5-36秒3-10秒8 叩一杯
[今週] 調教師
【栗東坂路】 稍 54秒3-39秒0-25秒1-12秒5 馬なり

坂路で単走。四肢が軽快に動いている。やや視線が右を向いている点が気になるが集中は保っている。前脚のかき込みが強く、推進力は十分。ラップタイム以上に評価できる。
皐月賞こそ、厳しい展開に巻き込まれてキャリアの浅さを露呈。パニックに陥ってしまい大崩れしてしまった同馬だが、それ以外となると実に堅実である。それこそ、前走のように先行して粘り込むこともできれば、3走前のように好位から抜け出す形もOK。挙句に4走前の日本ダービー時のように中団でシッカリと脚を溜めてやればラストの上がり3Fを33秒フラットでまとめることもできるのだから、とんだ高性能ホースである。この辺りは、伊達に良血が練り込まれてきていないということであろう。
強いて気になるとすれば、距離が延びることぐらい。スタミナだけは豊富ではないだけに、距離が延びることで戦い方のバリエーションが減る分は幾らかマイナスか。とはいえ、好反応が目立つように仕上がりは上々。

■4枠4番 ドウデュース【評価S】
 友道厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 武豊騎手
【栗東CW】 良 96秒0-79秒8-65秒1-50秒1-35秒2-10秒8 強め
[今週] 助手
【栗東芝】 稍 81秒5-65秒3-49秒9-36秒1-11秒8 馬なり

まず、ジックリと時間をかけてこられたのが何より。太りやすいが過度に攻めると疲労困憊になってしまうような弱さがあるのが同馬。それだけに、疲労を抜くついでに緩やかなダイエットメニューを組めた今回というのは理想的だったかもしれない。その上で3週前から研ぎ澄ます作業にまで入れているのだから仕上がりは順調意外の何ものでもなし。肝心の動きも良い時の力強い回転力勝負のフォームなのだから不安は皆無。
最終追いは芝コースで併せ馬。パートナーの背後から内に出す、実戦に即した追い切り。直線を向き、馬体をかなり接近させているあたりはさすが。無理にかわすことはせず相手に合わせる程度。だが、手応えは明らかにまさっていた。
同じドバイ帰りでも9月まで何もできなかった昨年と、5月半ばには帰厩までできてしまっている今年。最早、どちらの状態が良いかなど愚問でしかあるまい。やはり、どんなにキツイ状況であっても、数をこなせば多少の慣れは見込めるということか。思えば、3歳の秋には凱旋門賞を目指して欧州遠征を敢行した過去もある馬。あの時の体験を同馬はシッカリ糧としていたということだろう。もちろん、どの馬にもできることではないし、これは菅理する側の手腕も必要となってくる。結局、この陣営と同馬が巡り合ったからこそ、ここまでのレベルの競走馬が誕生したと言っても過言ではない。

4枠5番 ディープボンド【評価C】
 大久保厩舎[西] 幸騎手

[1週前] 幸騎手 [6月13日(木)追い]
【栗東CW】 良 79秒2-64秒6-50秒5-36秒6-11秒6 G前一杯
[今週] 幸騎手
【栗東CW】 稍 86秒6-71秒5-55秒8-39秒5-11秒9 強め

CWコースで単走。伸び伸びと、楽に動いている点がいい。全身を使って気持ちよさそうな動き。状態の良さがうかがえる。とはいえ、やはり年齢的なものか、いい頃と比べるとキレは物足りない。雨が降れば多少はチャンスが増すだろうが、どこまで肉薄できるか。

■5枠6番 ヒートオンビート【評価C】
 友道厩舎[西] 坂井騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 良 80秒4-65秒7-51秒4-36秒6-11秒6 一杯
[今週] 助手
【栗東芝】 稍 77秒4-63秒0-49秒5-36秒4-12秒2 馬なり

芝コースで単走。手前を替え、四肢の動きもキビキビ。ただ、トップスピードではもう少し首を下げたかった。
馬体のハリはいいし、仕上がり自体は良さそうだが、どこまで力が通用するか。

■5枠7番 プラダリア【評価A】
 池添厩舎[西] 池添騎手

[1週前] 松山騎手 [6月13日(木)追い]
【栗東CW】 良 85秒0-69秒2-54秒2-38秒0-11秒3 稍一杯
[今週] 調教師
【栗東坂路】 稍 54秒1-39秒1-25秒4-12秒7 末強め

坂路で単走。ラチ沿いを真一文字に上がった。集中力が途切れず、リズムも一定。もう少しタイムが出れば文句なしだったが、悪くはない。
そもそもこの馬、重賞での好走は多数あるし、G2だって二つも制している。しかし、どうもG1となるとハッキリと壁があるよう。何せ、今も昔も掲示板に乗るか、乗れないかのラインでの入線ばかりなのだから…。
では、何が足りないのだろうか。それは明確。
それこそ、未完成だった3歳時も完成した今も共通して足りないものなど一つしかない。それはキレ。
結局、G1レベルになると鋭さ負けしてしまうのである。
逆に言えば、鋭さを要求されない状況ならG1でも勝負になるのではないか。
思えば、同馬は未勝利圧勝が示すように、昔から道悪競馬となると滅法強い。つまり、鋭さが全く生きない馬場コンディションなら食い込む余地も。それだけに週末の不安定な天候は願ったり叶ったり。
直前の真一文字の登坂が示すように体調面にも不足なし。馬場悪化なら注目。

■6枠8番 カラテ【評価C】
 音無厩舎[西] 岩田望騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 60秒0-43秒4-28秒0-14秒0 馬なり
[今週] 岩田望騎手
【栗東坂路】 稍 53秒6-38秒2-24秒3-12秒0 一杯

坂路で併せ馬。四肢がしっかりと動き、パートナーよりも効率のいい走りをしていることが見て取れる。ただ。追い出されても首が高いままだった。これまでは脚元が弱くて休み休み。辻野厩舎は治療を大事にする方針だったが、オーナーが使い倒したいとのことで2走前から音無厩舎に。ただ意外に詰めて使うのは合うようで具合自体はいいが、さすがにここは勝負にならないと思う。

■6枠9番 ソールオリエンス【評価A】
 手塚厩舎[東] 横山武騎手

[1週前] 嶋田騎手
【美浦南W】 良 66秒4-50秒6-36秒3-10秒8 G前一杯
[今週] 嶋田騎手
【美浦南W】 重 82秒9-68秒0-52秒8-37秒7-11秒5 馬なり

1週前追い切りはウッドで3頭併せ。直線でしっかりと追われ1F10秒8をマーク。先行した2頭をきっちりと捕らえて1馬身の先着でフィニッシュ。今週は2頭併せ。僚馬を追いかけて6Fから。直線も馬場の外を回ってたっぷりと負荷をかけたが、追われる相手とは手応え、脚勢が違った。6F82秒9ー3F37秒7ー1F11秒5を軽々とマークした走りは、前回から数段のパワーアップを印象づけた。何よりも馬体の雰囲気がガラッと変わっており、一変気配が漂う。

7枠10番 ローシャムパーク【評価B】
 田中博厩舎[東] 戸崎騎手

[1週前] 戸崎騎手
【美浦南W】 良 78秒1-63秒5-49秒7-35秒9-11秒3 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 重 80秒7-65秒3-51秒4-37秒3-11秒5 馬なり

正直、5歳となった未だに操縦性は高い方などではない。むしろ、リキんでリキんで抑え込むのに一苦労というシーンしか今も昔も記憶にないぐらい。追い日の前日の準備運動すら時計になってしまうことが少なくないタイプとして競争馬生活を歩んできたのだから実に困った馬である。ただし、そんな無茶を繰り返してきたからなのか、それとも元々持って生まれてきたものなのかは何とも言えないが、前走辺りから怪物化が止まらない。それこそ、体力がとんでもないのである。あれだけ引っかかって毎日のように時計になるレベルで動いているのに、追い日は追い日で全速力で動けてしまうのだ。
1週前追い切りは戸崎を背に併せ馬。行きたがるのはいつものことだが、鞍上がうまく我慢させて直線は内へ。並ぶと気の強さを見せて、手応え十分のまま6F78秒1ー3F35秒9ー1F11秒3の好時計をマーク。どこに抑え込まれているにも関わらず、5F63秒台をマークできる馬がいるだろうか。しかも、そのゴール後に鞭が飛んで最加速させたりするのだから驚く。よっぽど体力が有り余っているのだろう。
今週も前に馬を置いてスタートさせたが、前半からかなり行きたがる姿。頭を上げるようなところもあったが、直線の伸び脚はこの馬本来の切れがあった。6F80秒7ー3F37秒3ー1F11秒5。迫力ある馬体に肌質も申し分なし。もちろん、この気性だけに暴走の余地は常にある。ただし、その暴走のまま押し切ってしまう可能性まであるのも同馬。この個性派は無視すべきではない。

7枠11番 ヤマニンサンパ【評価C】
 斉藤崇厩舎[西] 団野騎手

[1週前] 助手 [6月13日(木)追い]
【栗東坂路】 良 56秒1-39秒4-25秒1-12秒2 馬なり
[今週] 団野騎手
【栗東坂路】 稍 54秒1-39秒2-25秒1-12秒4 末強め

坂路で併せ馬。パートナーが迫って、ややフラフラ。ただ、その後は脚さばきに乱れはなく、最後まで踏ん張った。

■8枠12番 ブローザホーン【評価B】
 吉岡厩舎[西] 菅原明騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 55秒6-40秒4-26秒3-13秒1 馬なり
[今週] 菅原明騎手
【栗東坂路】 稍 54秒8-40秒4-26秒1-12秒9 馬なり

坂路で併せ馬。僚馬より首の位置が低く、走りにテンポも速い。ラストで動きが一段階、アップしたところもいい。
ここが最大目標だし、道悪は鬼。2走前に引っかかったので前走は着拾いのような競馬で2着。2200mの方が絶対いいのは間違いなく、後は馬体を維持できているかどうか。

■8枠13番 ルージュエヴァイユ【評価A】
 黒岩厩舎[東] 川田騎手

[1週前] 助手
【美浦南W】 良 79秒8-64秒4-50秒3-36秒2-10秒8 一杯
[今週] 助手
【美浦坂路】 重 54秒2-39秒5-25秒4-12秒5 馬なり

2週前追い切りはウッドで6F80秒0ー3F36秒1ー1F10秒8の好時計。大きく前を走る2頭をあっさりと抜き去って5馬身の先着。1週前追い切りは6F79秒8ー3F36秒2ー1F10秒8と2週前を凌ぐ好時計。前を走る2頭を目標に進み、直線はゴーサインに瞬時に反応して、一直線に鋭くはじけた。この2本でほぼ出来上がっていたので今週は坂路。リズム重視の併せ馬も手応えで圧倒すると、最後は持ったまま突き放して4F54秒2ー3F39秒5ー1F12秒5の時計をマーク。前回は正直体が減って体調ひと息だったが鞍上の好騎乗も光り、3着は評価できる一戦。中間は山元トレセンで休ませて体を増やすように調整され、体の無駄が一切なく、毛ヅヤもピカピカで文句なし。研ぎ澄まされたような仕上がり。体調は間違いなく前走以上。体も戻っている。ただ1800mがベストな馬で正直牡馬相手の2200mの大外枠は割引。川田騎手がどうエスコートするかにかかっている。