【日本ダービー】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【日本ダービー】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


■1枠1番 サンライズアース【評価B】
 石坂厩舎[西] 池添騎手

[1週前] 池添騎手
【栗東CW】 良 95秒0-79秒5-65秒7-51秒9-37秒1-11秒6 一杯
[今週] 池添騎手
【栗東CW】 良 99秒4-83秒3-68秒3-53秒4-38秒3-11秒8 稍一杯

CWコースで併せ馬。早めにラップを上げて負荷を掛けた。もう少し体が沈んだ方がいいフォームになるが、僚馬の前に出る時に、いい迫力をにじませたところは評価。皐月賞よりは状態をあげていることは間違いなし。あとは各馬との力関係。

■1枠2番 レガレイラ【評価A】
 木村厩舎[東] C・ルメール騎手

[1週前] C・ルメール騎手
【美浦南W】 良 97秒4-81秒5-67秒0-52秒0-37秒5-11秒4 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 86秒3-69秒4-53秒5-38秒7-11秒8 馬なり

1週前はルメール騎乗で併せ馬。7Fから時計を出す意欲的な調整となったが、直線は追われる相手を持ったまま圧倒。最後まで乱れはなく、真っすぐ伸びきった。7F97秒4ー3F37秒5ー1F11秒4。今週はオーバーワークを避けるように、スタートからゆったりとしたペースで加速。直線は馬体がぶつかりそうなほど両サイドからプレッシャーを受けたが、抜群の手応えで真っすぐ伸びきった。5F69秒4ー3F38秒7ー1F11秒8。肌ツヤの良さも目立ち、状態面は文句なし。この中間も引き続き折り合いを重視したメニューで気負い癖を少しでも消すようコントロール。それでいて直前のゴール後にビシっと攻めれた辺りが心身のバランスが絶妙に取れている証。この相手に勝てるかどうかは別としても、仕上げはメイチである。

■2枠3番 ジューンテイク【評価C】
 武英厩舎[西] 岩田望騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 55秒2-40秒1-26秒0-12秒8 馬なり
[今週] 岩田望騎手
【栗東坂路】 良 57秒0-40秒1-25秒3-12秒5 馬なり

坂路で併せ馬。僚馬に迫る時の反応が薄く、僚馬から馬体が離れてしまった点は大いに不満。最後は馬体が合ったが、精神的にまだ幼さが残る。京都新聞杯のメンバーレベルも疑問符が残り、好枠GETもどこまでできるか。レース経験の多さをどこまで活かせるか。

■2枠4番 ビザンチンドリーム【評価S】
 坂口厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 西村淳騎手
【栗東CW】 良 98秒9-82秒5-68秒2-53秒2-37秒8-11秒4 稍一杯
[今週] 国分優騎手
【栗東CW】 良 84秒8-68秒9-53秒4-38秒0-11秒5 馬なり

CWコースで併せ馬。姿勢を低くして僚馬に取り付き、派手なアクションなくサッと前に出た。クロス鼻革も効いている感じ。前脚がしっかりと前に出て、走りのバランスが非常にいい。そもそも前走皐月賞は大きく出遅れた上に、4コーナーでも致命的な不利。あの着順だけが独り歩きし、人気を下げるのであれば「追加登録料を払ってまで参戦してきた意欲」と「オッズ面での期待値」を汲んで、押さえるのもアリだと申し上げておきたい。大穴中の大穴かはこれか。

■3枠5番 ダノンデサイル【評価C】
 安田厩舎[西] 横山典騎手

[1週前] 横山典騎手 [5月16日(木)追い]
【栗東CW】 稍 79秒6-65秒0-49秒6-35秒1-11秒0 一杯
[今週] 調教師
【栗東坂路】 良 55秒5-41秒0-26秒8-13秒3 馬なり

坂路で単走。後肢がパワフルに動き、チップが舞うシーンもあったが、集中力が途切れる場面も見受けられた。前走取り消しの影響は感じられないし、京成杯では非常に素晴らしいLAPでの勝ち上がりだったことは評価しているが、追い切りの面だけで言えば「もう少し精神的に大人になってほしい」というのが本音。輸送後の落ち着きを確認し、レース当日の状況を確認した上で最終確認したい馬ではある。

■3枠6番 コスモキュランダ【評価A】
 加藤士厩舎[東] M・デムーロ騎手

[1週前] 小林勝騎手
【美浦南W】 良 65秒3-50秒7-36秒8-11秒4 一杯
[今週] 小林勝騎手
【美浦南W】 良 69秒1-53秒2-38秒5-12秒2 馬なり

1週前は小林勝を背に5F65秒3ー3F36秒8ー1F11秒4。4角で早々と促す展開となったが、ゴール前は手応え劣勢ながら力強い伸び脚。今週も小林勝を背に併せ馬。ゆったりとしたスタートだったとはいえ、直線は内からしなやかな伸び脚。5F69秒1ー3F38秒5ー1F12秒2。メリハリを利かせた予定通りの調整ができており、覇気も旺盛。体も張っており、いい状態をキープできている。
そもそもは、未勝利脱出に4戦も要すようなチークピーシーズが手放せない、集中力に多大な難を抱えた馬でしかなかったのだ。それがどうしたことか、年を越して3歳になった途端に差す競馬をマスターし、捲りもこなせば、本格的な流れを粘り強く最後まで走れるまでになっているではないか。そう、ここ2戦の好結果は鞍上の手腕だけで成せたわけではない。同馬がキッチリと指示通りに動いたからである。つまり、それだけの集中力を手に入れたということ。おそらく3歳となり急激に常識がかったのだろう。この中間も真剣な姿で好調教を連発。侮るなかれ。

■4枠7番 ミスタージーティー【評価B】
 矢作厩舎[西] 藤岡佑騎手

[1週前] 藤岡佑騎手
【栗東CW】 良 79秒0-64秒3-50秒4-36秒7-11秒6 一杯
[今週] 藤岡佑騎手
【栗東坂路】 良 53秒7-38秒8-25秒0-12秒3 馬なり

坂路で単走。一定のフォームで集中力が途切れることなく上がることができた。首の使い方もうまく、前脚もよく動く。
ただし、同じ厩舎内での評価という意味では「シンエンペラーの方が上」という評価は変わらない。

■4枠8番 アーバンシック【評価S】
 武井厩舎[東] 横山武騎手

[1週前] 横山武騎手
【美浦南W】 良 82秒6-66秒1-50秒9-36秒4-11秒1 G前仕掛け
[今週] 横山武騎手
【美浦南W】 良 83秒8-66秒9-51秒7-37秒0-10秒9 G前仕掛け

1週前は横山武を背に僚馬の併せの外に持ち出すと、豪快にはじけて先着。6F82秒6ー3F36秒4ー1F11秒1。これだけハードにやりながらも、直前も〝攻め〟の調教。今週も横山武騎乗。前を走る僚馬を目標にきっちりと折り合うと、直線は外に併せて抜き去って見せた。追い出しを我慢させる余裕がありながらも、ラスト1Fは10秒9。動きの迫力に加えて、馬体も無駄肉が一切ない研ぎ澄まされた状態。ここ目標にこれ以上ないほどの仕上げ。左回りの方が間違いなくいいし、走法的にも東京2400mはベスト。楽しみな一頭である。

■5枠9番 ダノンエアズロック【評価A】
 堀厩舎[東] J・モレイラ騎手

[1週前] 助手 [5月19日(日)追い]
【栗東坂路】 良 56秒0-40秒5-25秒1-12秒0 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 82秒0-66秒1-51秒1-36秒3-11秒4 馬なり

日曜に前走後の初時計を坂路でマーク。4F56秒0ー3F40秒5ー1F12秒0。順調に立ち上げて今週はウッドで3頭併せ。2頭で挟んで実戦を意識させたが、リズムを保ったまま軽快な伸び脚。外の馬に楽々と並んで、内の馬には1馬身の先着。6F82秒0ー3F36秒3ー1F11秒4。力みのない柔らかみのあるフォームに、集中力も抜群。前走の疲れもなく、出来は高いレベルで安定している。そもそも前走は7分程度の出来。相手が弱く楽勝だった。堀厩舎サイドで、ブラジルから帰ってきたあと、モレイラがどっち乗りたいか選んで、乗らない方が松山と決まっていた状況。
力んで走らないから距離は延びても問題ないし、立ち回り上手。あとはモレイラの腕でどこまでやれるか。
軽度の骨折があったためこのローテを余儀なくされたが、レガレイラを完封していることを忘れるべからず。

■5枠10番 サンライズジパング【評価C】
 音無厩舎[西] 菅原明騎手

[1週前] 助手
【栗東CW】 良 97秒6-80秒9-65秒9-51秒2-36秒6-11秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 52秒4-37秒7-24秒2-12秒0 馬なり

坂路で併せ馬。一瞬、僚馬から顔をそむけ、馬体がわずかに離れたところは気になった。ここが本番であるので、闘志は燃やせるだけ燃やしてほしいところ。先着はしたが少し不満。

6枠11番 シュガークン【評価B】
 清水久厩舎[西] 武豊騎手

[1週前] 武豊騎手
【栗東CW】 良 98秒8-81秒9-65秒8-50秒3-35秒4-11秒1 馬なり
[今週] 吉村騎手
【栗東坂路】 良 55秒6-41秒0-27秒0-13秒6 馬なり

坂路で単走。そこまで抑えた感じはしないがラスト13秒6が気にかかる。もう少し攻めた方が良かったのではないかとも思えるが、ソフト調整で成長してきた馬。2月のデビューからほぼ休みなく使ってきており、むしろこれくらいが良いのかもしれない。そもそも新馬前は調教師自らが跨ることが多かったが、明らかにオーバーワーク気味で馬も嫌気がさしていた。その後、運がよかったのか否かは何とも言えないが、その調教師が落馬したことで、ソフト調整に変わって今のシュガークンがある。首も終始高く、迫力を感じない走りだが、武豊自身は「これでいい」と口にしており、そこが不気味。常識的には厳しいとは思っているが、レジェンドジョッキーの「肌感」をどう捉えるか。
最終結論はその意味を知る加賀総帥次第となりそうな一頭。

■6枠12番 シックスペンス【評価B】
 国枝厩舎[東] 川田騎手

[1週前] 助手 [5月16日(木)追い]
【美浦南W】 重 63秒8-49秒3-35秒0-11秒3 馬なり
[今週] 川田騎手
【美浦坂路】 良 52秒2-37秒7-24秒2-12秒1 馬なり

1週前はウッドで5F63秒8ー3F35秒0ー1F11秒3。大井の東京ダービーへ向かうことになったサトノエピックと併せて優勢な走り。ただ少しふらついていたことも事実で、週末の運動を見ているとその反動が少し出ていたように思える。とはいえ当週は予定通り坂路。川田が駆けつけて3頭併せを行ったが、脚力の違いであっさりと突き放した。坂路でまっすぐ走らせたし、さすが川田騎手。体全体を使った無駄のないフォームは力感にあふれ、やる気になればいくらでも動いてしまいそうな雰囲気。トモの筋肉が盛り上がり、成長を感じさせる出来。ただ基本的には「マイラー」であることは疑いようはない。あとは川田騎手がどう乗るかだが、肝心の川田騎手は「さほど評価は高くない」というのが本音のようだ。
それでも「レースに行って変わる可能性」もある。当日の気配までしっかり追いたい。

■7枠13番 シンエンペラー【評価S】
 矢作厩舎[西] 坂井騎手

[1週前] 坂井騎手
【栗東CW】 良 79秒8-65秒2-51秒2-36秒7-11秒4 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒4-39秒4-25秒3-12秒4 馬なり

坂路で単走。派手なチークピーシーズを着用し、集中力を高めてきた。スピードが上がるにつれて首が高くなった点は気になるが、前の馬が蹴り上げたチップが目の前を舞っても集中できた。陣営としても、成長を促して何とかなる問題ではないと判断したのだろう。若い、子供っぽい、気を抜く、遊び遊び、これまでも騎乗者に陣営から度々漏れ聞こえていた同馬の性格である。ただし、それでも実戦では連を外すことはなかった。むしろ、ソラを使ったところで急追された3走前に、モタモタしていたら置き去りにされた2走前が良い経験となり、少しずつ真剣味を増してくれれば…そんな未来を陣営は願っていたのでは。しかし、残念ながら、その希望は前走ではかなく裏切られてしまう。抜群の手応えで直線を向きながらも、追っても追っても反応せず。何てことはない、2走前と3走前の反省を生かすどころか、今度は同時に悪癖を発症させたのだ。終わってみれば伸びずバテずの5着。陣営が腹を括ったのも当然か。自らの意思で真剣に走ってくれないのなら馬具で矯正するしかない。チークピーシーズで視覚に制限をかけて大一番へ。そして、いざ装着した1週前の併せ馬で目に見えて反応が良化するのだから面白いもの。何とか走りに真面目に取り組めるようになっての臨戦に成功。一発も十分。

■7枠14番 ゴンバデカーブース【評価B】
 堀厩舎[東] 松山騎手

[1週前] 助手 [5月16日(木)追い]
【美浦坂路】 重 57秒3-41秒6-27秒0-13秒3 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 良 82秒6-66秒3-50秒6-36秒1-11秒4 馬なり

先行して僚馬2頭を引っ張る形でスタート。直線では馬体を並べに来た相手を逆に引き離すほどの勢い。最後まで手応えに余裕を持ったまま、真っすぐ伸びきった。6F82秒6ー3F36秒1ー1F11秒4。中の馬に同入、内の馬には2馬身の先着を果たした。最終追いを坂路にした前回から今回はコースで長めをたっぷりと乗っての仕上げ。滑らかに動けており、出来は前走以上。ただ、やっぱり筋肉質の体だし、2400mがマッチするとは思えない。モレイラがダノンエアズロックを選んだというのが事実であり、どこまで食い下がれるか。

■7枠15番 ジャスティンミラノ【評価S】
 友道厩舎[西] 戸崎騎手

[1週前] 荻野琢騎手
【栗東CW】 良 98秒1-81秒6-66秒9-51秒7-36秒0-11秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 良 54秒2-39秒0-25秒1-12秒1 馬なり

坂路で単走。完歩が大きく、ゆったりと走っているように見えるが、それなりのラップを刻んでいる。前脚もしっかり動き、可動域も大きい。気分良さそうに走っている雰囲気。そもそもこれまで日本の歴史において無敗の皐月賞馬は9頭しか存在しない。その内、無事に日本ダービー出走へ漕ぎ着けた馬となると更に減って7頭のみ。しかし、ここまで辿り着くと勝つ確率はグンと上がってくる。何せ、そのまま無敗で日本ダービーをも制した馬となると5頭もいるのである。単純に考えても無敗の皐月賞馬が2冠馬になる確率は50パーセント以上。つまり無敗で皐月賞を制したというのは、それだけで立派なステータスということ。
そもそもが瞬間的な加速よりも持続性に優れたアクションの大きなタイプ。どう考えてもトリッキーな中山よりも広々とした東京向きの馬でしかない。気になる仕上がりも、わざわざ同厩の調教駆けする馬を相手にビシバシと併せて鍛えることにも余念なしとくれば反動の心配もない。
能力、そして、仕上がりは1枚上。
あとは、以前よりお伝えしている「ノーザンFとの軋轢」の影響がどこまで出るか。

■8枠16番 メイショウタバル【評価】
 石橋厩舎[西] 浜中騎手

※左後挫石により出走取消※

■8枠17番 ショウナンラプンタ【評価B】
 高野厩舎[西] 鮫島駿騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 59秒5-44秒1-29秒0-14秒6 馬なり
[今週] 鮫島駿騎手
【栗東坂路】 良 54秒3-38秒9-25秒1-12秒2 馬なり

坂路で単走。全体的に躍動感があり、地面からの反発を受けて、体が浮き上がるように見えるのもいい。体調の良さは疑いようがない。あとはメイショウタバルの回避により強力な逃げ馬が居なくなったことで自分の競馬はしやすくなった。力関係がどうかということ。

■8枠18番 エコロヴァルツ【評価C】
 牧浦厩舎[西] 岩田康騎手

[1週前] 岩田康騎手
【栗東CW】 良 84秒7-69秒0-53秒6-37秒6-11秒4 馬なり
[今週] 岩田康騎手
【栗東坂路】 良 55秒6-39秒6-25秒0-12秒1 馬なり

坂路で単走。やや体が立ち気味で、スピードに乗り切れていない感じ。手前を替えるタイミングも悪く、集中し切れていないか。
力自体はあるが、この厩舎らしくハミ受けが悪い。
今回は「流れに乗った競馬をして欲しい」とオーダーが出ているようなので、引っ張らずに前受けしそうな状況。
ただ大外枠ということもありそれができるか否か。
メイショウタバルが取り消したことで「だんご状態」で外々を回される可能性もあり、その点をどう考えるか。