現場の裏話コラム|vol.27|日本馬の挑戦と課題:ケンタッキーダービーと日本ダート路線の行方

現場の裏話コラム|vol.27|日本馬の挑戦と課題:ケンタッキーダービーと日本ダート路線の行方

先週はNHKマイルCでジャンタルマンタルが制し、週末の栗東トレセンは2歳王者の圧倒的な強さに沸いたようだが、それ以上にトレセン内で話題をさらったのがケンタッキーダービーだったという。
フォーエバーヤングが参戦し、激しいたたき合いの末、日本馬では歴代最高となる3着に入った。あと一歩で快挙達成というシーンに、朝から栗東はボルテージが最高潮だったらしい。しかも矢作調教師と坂井騎手の師弟コンビで3着。これには栗東の厩舎関係者も「日本馬がケンタッキーダービーを制する日も遠くはなさそうだ」「外国人ジョッキーではなく、日本のコンビでこうした走りを見せてくれると、栗東の若い騎手にもいい刺激になる」「さすがは世界の矢作調教師。仕上げが見事だった」など、好意的な声が相次いだ。
 
一方で「日本のダート路線があまり盛り上がらなくなっちゃうね」と語る栗東関係者も。その真意はこうだ。「ダート路線を充実させるために、今年からはダート3冠を創設した。1冠での羽田盃では、白毛馬のアマンテビアンコが制しました。新たなスター誕生に沸いたのは確かですが、フォーエバーヤングの快走にかき消されてしまった感は否めません。そもそも羽田盃はフルゲートに全く満たない8頭立てだった。売り上げも13億円で帝王賞や東京大賞典と比べると明らかに少ない。しかも日本馬が2頭しか出ていないケンタッキーダービーが、売上15億円以上でしたからね。注目度、売上ともに米国レースに完敗した感じがあります。次の東京ダービーもおそらくフォーエバーヤングは出走してこないでしょう。そうなるとトップホース抜きの戦いになってしまう。JRAとNARで勝負をかけたダート3冠創設ですが、今後の盛り上がりが心配で仕方がありません」と語る。
 
栗東はダート路線で関東を圧倒しており、ダート馬の一流はほとんど関西馬といっていい状況。今回のフォーエバーヤングの快走を受けて、今後も一流の3歳は米国を目指す流れが出てきそうだ。そうなると、当然ダート3冠は名ばかりの「最強3歳ダート決定戦」になってしまう。「JRAも複雑な気持ちではないでしょうか。もちろん、日本馬の快挙を見たい気持ちはあるでしょうが、結果的にダート3冠の創設が『失敗だった』という声が出てくるのも避けたいはず。今朝の栗東でJRA職員を見かけましたが、各マスコミに『東京ダービーを盛り上げてくださいね』と声をかけていたのが印象的でした」と前出の栗東関係者。
 海外における日本馬の激走が全ていいことばかりを生むわけではないようだ。



栗東トレセン情報部:田所