【大阪杯】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


【大阪杯】認定競走主幹菅原貴史の追い切り寸評


1枠1番 ミッキーゴージャス【評価B】
 安田厩舎[西] M・デムーロ騎手

[1週前] 調教師 [3月21日(木)追い]
【栗東CW】 良 84秒4-68秒1-52秒0-36秒7-11秒3 馬なり
[今週] 調教師
【栗東CW】 不 85秒1-68秒1-52秒4-37秒5-11秒5 馬なり

CWコースで単走。残り1F付近から、鞍上の手が動かなくても自然と重心が下がり、首も下がって四肢が伸びた点は評価できる。安田隆厩舎からの転厩緒戦。前走をメイチで仕上げられていただけに上積みのようなものはないし、環境の変化にも敏感な馬で良くて前走同様だが、動き自体は維持しているし、前向きさをプラスに捉えたい。

1枠2番 ローシャムパーク【評価S】
 田中博厩舎[東] 戸崎騎手

[1週前] 戸崎騎手
【美浦南W】 良 82秒1-66秒5-51秒4-37秒0-11秒2 馬なり
[今週] 上野騎手
【美浦南W】 稍 80秒6-64秒9-50秒5-36秒2-11秒2 馬なり

 3歳の頃の時点にして既に同開催だったG1皐月賞の決着時計よりも速い時計で楽勝した実績。しかも馬場は皐月賞当日が良馬場だったのに対して同馬の勝った時は稍重のコンディションなのだから大したもの。前走というのは噛み合っての結果ではなく、スローの流れを最後方から大外をぶん回す形。内外の馬場差もない小回りの香港を舞台に切れ味が武器でもない同馬でそんな暴挙に出れば、あの結果も当然。
その経験を得ての次戦が今回。つまりは単純にいよいよ真価が問われるということ。
故に陣営の調整にも力が入っている。
1週前は主戦・戸崎が感触を確かめて6F82秒1ー3F37秒0ー11秒2。馬場の真ん中を一直線にはじけた。今週は上野騎乗で併せ馬。行きたがるところを我慢させて直線は内へ。一杯に追われる相手とは手応えが違い、手綱を緩めればいつでも突き抜けそうな勢い。最後まで余力を保ったまま半馬身の先着で1F11秒2。コースと坂路を併用して鬼の運動量を確保し、追い日のメニューも今までとは一線は画すレベルで強化し鍛えに鍛え上げてきた。その結果、ムキムキにパンプアップされた馬体から繰り出される迫力の凄いこと。出来は万全、あとは「発馬」からのポジショニング。

2枠3番 タスティエーラ【評価A】
 堀厩舎[東] 松山騎手

[1週前] 助手 [3月21日(木)追い]
【美浦南W】 稍 82秒2-65秒4-51秒0-35秒8-11秒2 馬なり
[今週] 助手
【美浦南W】 稍 84秒0-68秒3-52秒7-37秒5-11秒9 馬なり

2週前は3頭併せ。6Fから徐々にペースを上げると、直線は重心をグンと沈めて矢のような伸び脚。5F63秒7ー3F35秒1ー1F10秒9の好時計。1週前は単走追い。馬場の内側を通ったとはいえ、余力たっぷりに鋭い伸び脚。5F65秒4ー3F35秒8ー1F11秒2。速い時計を2本マークして仕上がりがグンと進んだ今週は、輸送を考慮して馬の気に任せた調整。体を無駄なく使ったフォームは軽くて弾んでおり、数字以上のスピード感。
ただし強度としては、直近2週を単走としているように、3歳時ほどの負荷ではなく、追い切り過程の見栄えはしない。つまりは、今までほど研ぎ澄ませた中身にないことも確かも具合自体は悪くなく間に合ってはいるという状況。 この調整が吉と出るか凶と出るか。

2枠4番 ハヤヤッコ【評価C】
 国枝厩舎[東] 幸騎手

[1週前] 助手 [3月24日(日)追い]
【栗東CW】 不 71秒6-55秒6-40秒6-12秒9 馬なり
[今週] 助手
【栗東CW】 不 83秒4-69秒1-54秒6-39秒4-12秒7 稍一杯

 栗東入りし、CWで桜花賞出走のステレンボッシュと併せ馬。結果的に突き放されての完敗だったが、もともと稽古は動かないタイプだ。この内容からはさすがにB評価以上は付けられないが、馬はまだ若々しい。

3枠5番 スタニングローズ【評価B】
 高野厩舎[西] 西村淳騎手

[1週前] 西村淳騎手
【栗東坂路】 良 53秒7-38秒4-24秒3-11秒9 一杯
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 56秒1-40秒8-25秒5-11秒9 馬なり

坂路で単走。完歩が大きく、ゆったりとした動きに見えるがタイムは及第点に達している。前脚の動きが素軽く、可動域も大きい。10か月半ぶりではあるが、同馬のキャラクターを考えると実戦で想像以上に動いてしまう可能性が否定できない。牝馬特有の癇の強いタイプで、要はスイッチの入りがとんでもなく良い馬。加えて長らく休んでいたことで硬くなりやすい肉体が全く疲弊しておらず柔らかみを十分に保てている状態とくれば、少なくとも2走前程度には動けるのではないか。そうなると今回の低調なメンバーだと馬鹿にしたものではないかも。距離もコースも申し分ないだけに大穴で狙うのも一興とみる。

3枠6番 ジオグリフ【評価B】
 木村厩舎[東] 北村宏騎手

[1週前] 北村宏騎手
【栗東CW】 良 97秒7-81秒7-67秒6-52秒9-38秒4-12秒2 馬なり
[今週] 北村宏騎手
【栗東CW】 不 82秒0-66秒5-52秒5-37秒9-11秒5 引き張り

いわゆる芝馬の軽い走りではなく、グイッ、グイッとやや硬さのある力強い走り。一時期ダート転向したのがよくわかる。これはこれでこの馬の個性だし、馬体の張りなんかは良好。この馬なりに好状態。ちなみに去年の宝塚記念は不利を食らったが、距離の長い中で見どころがあった。その宝塚よりだいぶメンバーは落ちるし、馬自身も復調している感じがある。騎乗して皐月賞を勝った福永師も「ジオグリフが走れるなら今回ちゃうか」と言っていた。

4枠7番 ハーパー【評価B】
 友道厩舎[西] 岩田望騎手

[1週前] 岩田望騎手 [3月21日(木)追い]
【栗東CW】 良 85秒3-69秒0-53秒2-37秒3-11秒3 一杯
[今週] 助手
【栗東CW】 不 81秒9-66秒4-51秒4-37秒0-11秒7 馬なり

有馬記念はオーナーの要望で使ったので明らかに急仕上げ。ペースUPしたところでドウデュースのマクリに対応できなかったが、そんなに大きく負けてないし、状態を考えればいい内容だった。
最終追いはCWコースで単走。手前を替えるタイミングがやや遅いが、走りそのものは安定しており、バランスが取れている。
今回はここを目標に順調だし、メンバー的にもしかしたらハナを切れそうな組み合わせ。展開の助けがあれば牡馬相手でもチャンスがあるのでは。

4枠8番 プラダリア【評価A】
 池添厩舎[西] 池添騎手

[1週前] 池添騎手
【栗東CW】 良 83秒5-68秒3-53秒3-37秒7-11秒3 一杯
[今週] 調教師
【栗東坂路】 不 53秒2-38秒7-25秒0-12秒4 馬なり

前走はソフトな調整で結果が出たから今回も同じパターン。
坂路を馬なりで駆け上がり53.2-12.4秒。今週の渋り切った馬場なら上等な数字だし、これでもまだ鞍上(=調教師)の手綱は抑えられたまま。前走時もそれなりに仕上がっていたが、使って型通りに良化し、変わりなく順調。京都で勝ったけど、阪神2000mも悪い条件だと思わないし、先行馬が少ないから前に行けるのは強み。

5枠9番 ステラヴェローチェ【評価C】
 須貝厩舎[西] 酒井騎手

[1週前] 酒井騎手
【栗東CW】 良 78秒5-62秒9-48秒8-35秒1-11秒3 一杯
[今週] 酒井騎手
【栗東坂路】 不 55秒2-38秒7-24秒7-12秒3 末強め

坂路で単走。四肢の動きは悪くないのだが、何度か右の方向を向き、集中力が散漫に映る点が気にかかる。前に行ける強みをどこまで活かせるか。

5枠10番 ソールオリエンス【評価A】
 手塚厩舎[東] 横山武騎手

[1週前] 横山武騎手
【美浦南W】 良 84秒5-68秒2-53秒1-38秒4-11秒3 馬なり
[今週] 嶋田騎手
【美浦南W】 稍 81秒1-65秒7-51秒8-37秒3-11秒2 馬なり

ただでさえ先行有利な中山芝1800メートル。しかも馬場は開幕週の上に雨で極悪状態なのだから、そもそも差してこいというのが無理な話。そんな中で後方大外からと何もかもが不利でしかない状況下にも関わらず、前々でロスなく立ち回った馬達の3頭以外はシッカリと捕えての4着入線だった前走というのは、改めて同馬の実力を含めたキャラクターを再認識される結果だったと言えるのではないか。
2週前は美浦ウッドで6F81秒5ー3F36秒2ー1F11秒2の好時計。1週前は主戦・横山武を背に併せ馬。馬場の大外を回しながらも手応え十分に伸びて1F11秒3。今週は嶋田を背に3頭併せ。大きく前を走る2頭を目標に進むと直線は内へ。外の馬は早々と脱落。中の馬はしぶとく食らいついてはいたが、手応え、脚勢の違いは明らか。最後まで相手に合わせながらもリズムを崩すことなく、真っ直ぐ伸びきった。6F81秒1ー37秒3ー1F11秒2。メリハリを利かせた乗り込みを順調にクリア。体も引き締まって、好調時と遜色ない状態でここもデキは高値で安定。
ただし、折り合い面の不安定さ、機動性の低さよりレース振りは不器用。末の型もジワジワ系で爆発力は一息。要は後方一気で安定して勝ち切れるほどの瞬発力は備えておらず、あくまで他力本願型であることは忘れてはならない。

6枠11番 ベラジオオペラ【評価A】
 上村厩舎[西] 横山和騎手

[1週前] 調教師
【栗東CW】 良 97秒3-80秒9-66秒3-51秒6-36秒6-11秒2 一杯
[今週] 調教師 [3月28日(木)追い]
【栗東CW】 稍 83秒4-68秒4-53秒4-37秒8-11秒3 馬なり

水曜の悪路を嫌っての木曜追いということだが、つまりそれは当初の予定を急にずらしたということ。確かにCWコースでラスト11.3秒(馬なり)とシャープな伸び脚を披露したが…。これが予定通り水曜の時計なら間違いなくS評価。ただ、これで不当に人気を落とすことも考えられ、馬券的妙味がでるなら軽視は禁物。曾祖母のエアデジャヴー同様勝ち味に遅い点はあるが、前走もダービーも敗因は「距離の壁」とも言えるだけに、ベストの2000m、パンパンの馬場であれば能力全開。前走は牧場で完全オフにされてからの仕上げ。その意味では急仕上げでもあっただけに、今回の方が上積みもある。最終追い切りの日程の変更はあったが、出来は前走以上。

6枠12番 キラーアビリティ【評価B】
 斉藤崇厩舎[西] 北村友騎手

[1週前] 助手 [2月13日(火)追い]
【栗東CW】 良 85秒4-69秒5-54秒0-38秒2-11秒2 末強め
[今週] 助手
【阪神芝】 稍 59秒1-41秒6-12秒0 馬なり

検疫の関係で香港に直接輸送が出来なかったことから大阪杯に向かった。阪神競馬場での追い切りになっているが、芝コースで59.1-12.0秒と、半マイルだけサッと。帰国直後にしては動きに柔らかみがあり、ラスト1ハロンの伸びも悪くなかった。動ける態勢ではある。

7枠13番 ルージュエヴァイユ【評価B】
 黒岩厩舎[東] 菅原明騎手

[1週前] 菅原明騎手
【美浦南W】 良 80秒8-66秒1-52秒0-37秒8-11秒6 G前仕掛け
[今週] 助手
【栗東CW】 不 82秒6-67秒7-53秒2-38秒2-11秒3 馬なり

桜花賞のアスコリピチェーノと栗東・CWコースで併せ馬。両馬とも推進力満点の走法でグングンと加速し、ラスト1ハロン11.3秒を計時して同入フィニッシュ。ノビノビと走れており、活気十分だ。ただ、前走の状態から比べると少々落ちる。前走はかなりいい出来に見えたにもかかわらずあの着順だけに、牝馬特有の消長の激しさが出てしまっているのか、半信半疑。

7枠14番 エピファニー【評価C】
 宮田厩舎[東] 杉原騎手

[1週前] 杉原騎手 [3月22日(金)追い]
【美浦南W】 良 65秒2-49秒9-36秒5-12秒2 馬なり
[今週] 杉原騎手
【栗東CW】 不 80秒0-63秒4-49秒0-36秒3-12秒6 馬なり

栗東入りし、CWコースで。コントロールが利くか利かないかのギリギリのラインであり、全体時計は速いものの、ラスト12秒6とやや不満の残る数字。失速というほどではないが、伸びあぐねた。

8枠15番 リカンカブール【評価C】
 田中克厩舎[西] 津村騎手

[1週前] 団野騎手
【栗東CW】 良 82秒1-67秒3-52秒8-37秒6-11秒8 強め
[今週] 高倉騎手
【栗東坂路】 不 52秒5-38秒7-25秒2-12秒5 馬なり

坂路で併せ馬。真横にぴたりと併せて、馬体をぶつけ合うくらいに迫力のある調教。その中でもバランスを崩したりすることなく最後まで気合を高められたのは良かった。あとはこの枠をどうこなすか。

8枠16番 カテドラル【評価C】
 池添厩舎[西] 藤岡康騎手

[1週前] 助手
【栗東坂路】 良 53秒4-38秒4-24秒7-12秒2 末強め
[今週] 助手
【栗東坂路】 不 53秒3-38秒5-24秒9-12秒3 馬なり

坂路で単走。四肢の動きは軽快でフォームにもブレがない。首を動かして必死さが伝わってくる点も悪くない。この馬なりに出来は悪くはないが、低調なメンバーとはいえ、このメンバーでどこまで力が及ぶか。