現場の裏話コラム|vol.12|未来のダート最強馬に注目!
今年も2週が終了。
イクイノックスがJRA賞の年度代表馬に選ばれるなど、昨年の振り返りが終わり、いよいよ完全に2024年モードとなる。
栗東トレセンで毎年、この時期に話題になるのが「今年のダービー馬はどれか」。3歳のクラシックはやはり注目度が高いのだろう。
ただ、珍しく未来のダービー馬より注目を集めている馬がいる。それが未来のダート最強馬。
今年4歳を迎えたヤマニンウルスだ。
同馬は14日に京都競馬場の3勝クラスに出走。無傷の4連勝を決めてオープン入りを果たした。ダート1800メートルのレースでスタートを決めると、無理にハナを奪わず2番手に。デビューから3連勝を決めた必勝パターンに持ち込み、4コーナーであっさりと先頭に立ってゴールした。
栗東のトラックマンが振り返る。「デビュー戦で2着に4秒3差という、歴史的な勝利を収めました。その後は2着馬との着差が1秒0→0秒6→0秒2と縮まっていますが、今回もゴール前は流しています。まだまだ余裕があった感じはしますね。
武豊騎手が2022年の米国の年度代表馬で無傷の6連勝を決めた名馬フライトラインにかけて、『和製フライトラインを目指してほしい』と語るほどの素質馬。底を見せていない感じなので順調に成長すれば大きい舞台、ひょっとしたらブリーダーズカップも期待できるかもしれないですよ」と話す。
この馬のもうひとつの特徴が「馬体増」。栗東の厩舎関係者は「よく歩いている姿を見るけど、どんどん大きくなっている。俺が見た中でも一番大きな馬かもしれない。一緒に歩いているうちの厩舎の馬が、ビクビクしている時もあるよ。あれだけ迫力がある馬は世界的にも珍しいんじゃないか」。その言葉通り、デビュー戦が536キロ、2戦目が560キロ、3戦目が576キロ、今回は582キロ。このペースなら600キロまで行くのではないか、と思わせるほど。それでも斉藤調教師は「太くはなかったし、これからまだまだ増えていきそう」というのだから驚きだ。
斉藤厩舎といえば「馬体増」のプロ。2020年に宝塚記念や有馬記念を制したクロノジェネシスは、デビュー時の440キロから引退レースで478キロまで馬体を増やした。
前出のトラックマンは「この時のノウハウがあるから、ヤマニンウルスの馬体がどんどん増えてもうまくコントロールしそう。筋肉を増やすテクニックを持っている。ダートはやはりパワーがある方が有利。アメリカの砂をこなす意味でも、パワーはほしいですからね。今年は未来のダービー馬より、この馬に注目です」。どこまで連勝と馬体重を伸ばしてくるか。
栗東トレセン情報部:田所